初笑い……でいいのか?

地元の友人Sと久しぶりに会うが、何だか元気がない。
聞けば、愛犬のラッキーが死んでしまったらしい。

父親が散歩中、ラッキーがほんのちょっと大通りにハミ出してしまったところ、
歩道寄りに走っていた車が轢いてしまうという悲惨な事故。
手綱を握ったまま愛犬が轢かれてしまったSの父親のショックは想像を絶するが、
突然、愛犬を失ってしまったSの落胆も大きい。

気の毒過ぎて、慰める言葉もうまく見つからないし、
「正月早々、こんな話してゴメン」と無理やり話を変えたり、
明るくふるまおうとするSも逆に痛々しい。

そんなとき、遅れてやってきたTが空気を察して
「どうした、どうした」と会話に入ってくる。
ひとしきり話を聞いた”スーパーがさつ人間”の異名を持つTが、
難しい顔をしながら放ったひと言。

ってか、ラッキー、アンラッキーじゃね?

ちょ、おま、な、何を……。や、やばい笑いがこみ上げてくる。
お笑いでいうところのお手本のような”緊張と緩和”のシチュエーション。

真面目なSは「ホント、アンラッキーだったよ」と普通に返すのだが、
不意をつかれ完全にツボに入ってしまった僕は、
うつむいて小鼻をぷくっとさせながら肩を震わせ我慢。
しかし、頭の中は「ラッキーなのにアンラッキー」がリフレイン。

微妙な初笑いとなったのでした。

それにしても笑いと不謹慎の境界線は難しいものだが、
子供のころ、ご遺体の鼻に詰まった綿を指さして笑っていた感覚は
なるべく失わない方向ではいきたいと思う2011年の年始め。

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PROFILE
法政大学アクアダイビング時にダイビングインストラクター資格を取得。
卒業後は、ダイビング誌の編集者として世界の海を行脚。
潜ったダイビングポイントは500を超え、夢は誰よりもいろんな海を潜ること。
ダイビング入門誌副編集長を経て、「ocean+α」を立ち上げ初代編集長に。

現在、フリーランスとして、ダイバーがより安全に楽しく潜るため、新しい選択肢を提供するため、
そして、ダイビング業界で働く人が幸せになれる環境を作るために、深海に潜伏して活動中。

〇詳細プロフィール/コンタクト
https://divingman.co.jp/profile/
〇NPOプロジェクトセーフダイブ
http://safedive.or.jp/
〇問い合わせ・連絡先
teraniku@gmail.com

■著書:「スキルアップ寺子屋」、「スキルアップ寺子屋NEO」
■DVD:「絶対☆ダイビングスキル10」、「奥義☆ダイビングスキル20」
■安全ダイビング提言集
http://safedive.or.jp/journal
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