ケーブ(水中鍾乳洞)に眠るカメの骸骨と、マヤ人の頭がい骨
ダイビング中にケーブ(水中鍾乳洞)の中でカメの骸骨を見たというブログやダイバーの声を何度か聞いたことがあります。
気になって、ケーブダイビングの経験豊富な三保耳鼻咽喉科院長の三保仁先生に何気なく聞いてみると、やはり、何度か経験があるそうです。
クジラの墓場と同じように、ケーブの中にカメの墓場があって、死ぬ間際にやってくる…なんて、つい神秘のストーリーを考えてしまいますが、三保先生の見立ては少し違うようです。
(撮影/三保仁)
「私もそういう話を聞いたことがありますが、海のちょっとしたカバーンや穴の入り口で死ぬのであればわかりますが、ケーブで亀が死んでいる場合、ケーブに入るときにはスリット状のところからすっと入れるけれど、すぐにライトを消したら真っ暗という完全なフルケーブエリアで死んでいるのです」
となると、迷い込んでしまったのでしょうか…。
「そうですね。入り口からちょっと迷って入ってしまったら、偶然に出口を発見しない限り、広くて枝分かれしているケーブ内をうろうろとしてしまい、生還は不可能なトラップだと思うのです。ケーブで亀が死んでいる時は、ケーブの中から見たら簡単に出口がわからない状況のケーブばかりですから、私は迷って入ったと考えています」
海の生物でも出て来られないケーブ。
人間が潜るときは、より注意と用意が必要なのは言うまでもないようですね。
ところで、カメ以外にもケーブ内で骸骨を見つけたことはありますか?
「マヤ人の頭がい骨を発見したことがあります。
あるとき、メキシコでガイドと私が、メインラインからちょっと離れたところで遊んでいたら、突然目の前に頭蓋骨が転がっているじゃないですか!
メキシコのケーブは、ケーブが地上にあった時代に古代マヤ文明時代の人たちが生活したり、死体を安置するなどで利用していたこともあったり、動物が迷い込んで死んだりして、ときどきそのような化石や遺物を見ることができます。
でも、発見されて知れ渡ると、多くの場合に調査目的でみんな持ち去られてしまいます。
この様に、完全に形を残したマヤ人の頭蓋骨は極めてレアです。
よく周囲を見ると、全身の骨がきれいに残っていました。
メキシコで、この様な完全なマヤ人の人骨を見られたのは、とても意外で貴重なことでした」
古代のロマンを感じる貴重な体験談ですが、水中でいきなり頭蓋骨を見つけてしまったら、さて…(汗)。