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【Q&A】講習を受けないとスノーケリングをしてはいけないの?閲覧無制限

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徒然コラム

編集長なんでもQ&A

バハマドルフィンスイム2012年第4週

これからは、オーシャナメンバーシップのクルーの皆さんからの、ダイビングや海に関する疑問や質問にも、なるべくお答えしていこうと思います。
今回は、オーシャナでも力を入れている、スノーケリングやスキンダイビングについての質問です。

Q.
私は南の島に行ったときに海で素潜りをするのが好きですが、沖縄のとあるお店に行った時、ライフジャケットを着ないと泳がせないと言われました。
ライフジャケットを着たら潜れません…。

また、娘にスノーケリングをさせようと思ったら講習を受けなければいけないと言われました。
安全な方がいいのはわかりますが、スノーケルまで講習しないといけないという感覚が、小さい時から海で泳いでいた私にはわかりません…。
■女性/匿名希望(45歳・800本)

講習は有効
でも、全員じゃなくてもよい!?

まず、ライフジャケットを付けずに泳ぎたい気持ちはよくわかりますし、娘さんにも同じ体験をさせたい感覚もおかしくありません。

自分の子供を海に連れていくとしたら(いないですが…)、やはり素潜りの世界を見せてあげたいと思いますが、“潜る”楽しみを教える一方、素潜りを安全にできるノウハウも教えます。
そんなノウハウを伝えられるであろう匿名希望さんはそうすればよいと思います。

しかし、利用したお店にお金を払い、船で海へ連れていってもらっているような時は、お店のルールに従うべきです。
お店はルールを持っていることと、それをきちんと守っていることで、管理責任を果たしているということになりますからね。

また、海に慣れておらず、ノウハウを持たない人が講習を受けて海で遊ぶのは、効率的で安全だとも思います。

まあ、これはその人のレベルや状況によるという当たり前の結論になってしまいますが、割と海と慣れ親しんでいる自分であれば、ライフジャケットを着なくても潜らせてくれるお店を探す、あるいは、自分で場所を探してスキンダイビングをして遊びます。

つまり、何か起きた時に、他人の迷惑にならない状況で、自分の責任の範囲であればよいのかと。

また、自分の子供にスノーケリングを教える場合、海が好きで慣れ親しんでいる親(例えばダイバー)であれば、特に講習を受けさせる必要もないとも思っています。

誤解なきよう言っておきますが、スノーケリングの講習は、海を安全に楽しむための“導入”として、とても大事な存在だと思います。
効率よくノウハウを得られ、その海を一番よく知っている人に楽しみ方を教えてもらえるチャンスです。

しかし、十把ひとからげに、必ずライフジャケットを着ないと海に入らせないとか、不安感をあおって「だから、講習を受けるべきだ」と言われたり、ダイビングのCカードのような認定制度になって、スノーケリングをする際に認定証を提示、なんて流れになるとしたら、それは違うんじゃないの、選択すればいいんじゃないの、そんなに危険かな? と言いたくなります。

今でも根拠になっているデータ
「スノーケリング事故急増」のあやしさ

スノーケリングの講習を受けることは効果的だと思いつつも、認定制度となると「そこまでやる必要ある?」と思うのは、以前も書いていることですが、スノーケリングの認定制度に対する個人的な不信感が原風景にあるからかもしれません。

海水浴の延長上にあった気軽な遊び・スノーケリングが、安全対策の対象となり、今のようにひとつのレジャーという存在になったきっかけのひとつが、沖縄マリンレジャーセイフティービューロー(OMSB)が始めたスノーケリングの認定制度(Sカード)だったように思います。

OMSBの役員名簿を見ると、知事を始め、警察関係者、マリン事業者など、沖縄の官民一体となった認定制度で、まあ、そもそも認定制度が商売・利権と無関係ではなく、そこはバランスを持って受け止めるしかないのですが、当時は「スノーケル事故急増」を受けてのことだったので、安全のためには意義ある認定制度というとらえ方をしていました。

実際、その認定制度自体を取材しましたが、講習自体はきちんとしていて、安全に貢献する内容だと思います。
自分も雑誌時代に肯定的に特集を組んで紹介しました。

しかし、認定制度発足の大きな根拠なった、平成18年の「沖縄におけるスノーケリング事故調査報告」を読むと、どうもあやしい。

もっと言えば、「スノーケリング事故が急増した」と県警は発表していたのですが、どうとでも読めるデータで、結論ありきという印象を受けました。

おかしいと思ったのは3点(特に3つ目が強引)。

1.
“他のレジャーよりスノーケルの事故が多い”としていますが、ほかのレジャーも含め参加者数(分母)がわからない。
つまり、絶対数ではなく事故率を考えないと意味がなく、参加者が多かったとすれば、そりゃ、その分、スノーケリングの事故数も多くなる、という話です。

2.
「スーケリング事故急増!」という結論ですが、H15年で12件→H16年で14件→H17年で19件が、そもそも急増といえるのか?
しかも、やはり分母がわかっていないので、どれだけスノーケリングをした人がいて、その中のどれだけの人が事故にあったのかはわかりません。

3.
そして、最大の疑問点は、「観光客を中心とした死亡事故が大幅に増加」という読み解き方。
狡い!と思いつつも、逆に感心させられました。
まず、データを見てください。

【スノーケリングによる死亡事故数】
H16年12件、H17年9件

【観光客の人のスノーケリング死亡事故数】
H16年7件、H17年7件

「観光客を中心とした死亡事故が大幅に増加」と書かれたら、何となく死亡事故が大幅に増加した気になりますが、死亡事故自体は減っています。
さらに、観光客の死亡事故も横バイ。
少なくとも急増しているようには思えません。

では、どうしてこういう理屈が出てくるかというと、死亡事故のうち観光客の割合が増えたことに注目し、“観光客を中心とした”死亡事故が増えていると言っているのです。

ただ、これは全体の死亡事故が前年より減ったからこそ、観光客の死亡事故の割合が増えていて、もう一度言えば、観光客の死亡事故数は横ばいなのです。
恣意的な読み解き方と言われても仕方ありません。

こんなデータを深く読もうとする人自体いないですし、権威あるところが「急増している」と言えば、急増していると思い込んでしまいます。

実際、今でもこのデータは、スノーケルに対する危ないという印象に大きく貢献していますし、スノーケル事故に関する検索をかけると、場合によってはトップに出てきます。

僕がこのデータを見て思ったのは、「この事故調査データをもとに、事故が急増しているから、スノーケリング認定制度を作った」のではなく、「認定制度を作り方かったので、事故が急増している結論にする必要があった」のだなと解釈しました。

うがった見方でしょうか。

最後に、もう一度、言っておきますが、スノーケリングの講習には多くのメリットがあり、特に導入としてはとても優れています。
また、管理された状況で体系だって教えてもらえると上達も早いと思います。
※僕らオーシャナでも、スノーケリング講習会とスキンダイビング講習会を開催しています

ただ、“安全”という錦の御旗のもと(しかもそれがあやしい)、海の楽しみ方の多様さや、これまであった自由が奪われるような動きには、つい警戒してしまいます。

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