沖縄の現地ガイドに聞いた、沖縄県民がダイビングをしない理由
先日、「沖縄県民がスキューバダイビングをしない理由」を東京在住の沖縄出身ノンダイバーにお聞きしましたが、今回は、沖縄で働くダイビングガイドさんに聞いてみました。
前回、主な理由としてあがっていた3つの理由。
- 海がきれいなのは当たり前(だから素潜りで十分)
- 紫外線が怖い
- 危険生物が怖い
その辺りのことを、スキューバダイビングを仕事にまでしてしまった、沖縄で活躍するダイビングガイドさんはどう思っているのでしょうか。
やっぱり海はきれいで当たり前
素潜り=潜って獲物を捕まえて食べる
まずは、宮古島出身ガイドにして、東京での社会人経験もある24°NORTH 渡真利将博さん。
やはり、渡真利さんも最初は「海が綺麗なのは当たり前さ~」症候群にかかっていたそうです。
しかし、その価値観を変える出来事が…。
「東京で海を見て、今まで自分が見てきた美ら海は、本当はとっても素晴らしいものだったってやっと気付いたんです」
一度外に出て、地元の美しさを再確認できたということですね。
※
次に「素潜りで十分」という沖縄の方の意見が多かったことについて、同じ沖縄出身として解説していただくと、そもそも私たちと目的が違った模様。
観光客がイメージする素潜りといえば、シュノーケリングでゆらゆらサンゴを眺め…なんて優雅な感じですが、沖縄県民の素潜りはというと…。
「沖縄県民は素潜りイコール、潜って獲物を捕まえて食べるまでのことなんだよね」
あっ、なるほど。
それじゃあ、獲物をじっと観察するダイビングには興味をそそられないのかもしれませんね。
海は働く場所で、遊び場ではない!?
前回、沖縄の方は“海が怖い”という教育をされてきたという話がありました。
「沖縄で海の定義といえば、漁業関係者のテリトリーであり、子供が遊ぶなんて絶対にありえなかったんですよ。だから、沖縄のダイビングショップのオーナーは7~8割は県外出身だと思いますよ」
また、沖縄で子供が亡くなる原因は、病気か、もしくは、親の目を盗み、海で遊んでの事故とされることがほとんどだったとか。
そのため、意外に泳げない人はたくさんいるんだそうです。
海には危険がいっぱいという教えは、学校教育で教わるということと合わせて、沖縄県民のアイデンティティに長年組み込まれているのかもしれませんね。
ダイビングにはリスクもありますが、今は安全にダイビングを楽しむための環境、知識も昔に比べて格段に整っています。
「当たり前のように広がる美しい海の風景を、沖縄県民は全員知っています。しかし、一歩進んで見えてくる、沖縄の海が持つ真の美ら海を、沖縄県民だからこそ見て欲しい」
確かに、地元を好きになる良いきっかけにもなりますよね。
愛媛県出身の私も、地元愛を深めるため、道後温泉行ってみよっと。
そもそも沖縄の人はカナヅチ!?
続いては、愛媛から沖縄に渡り、そのまま西表の「ダイビングチームうなりざき」に就職し、今は、うなりざき石垣の曾我勲さん。
曾我さんに「潜らない沖縄の県民性」についてお聞きすると、またまた出てきた、沖縄県民のカナヅチ疑惑。
「沖縄の学校では、プールの授業がないというか、そもそもプールも少ないんじゃないかな。だから今でも泳げない人って結構いると思うんです」
でもでも、沖縄県民こそ泳げた方がいいような…。
命を守ることにも繋がるし、海が近いからこそ水に慣れ親しむことは重要なこと。
そっか、泳げるようになればダイビングをする人が増えるのかも。
これも、昔ながらの「海には危険がいっぱいさ~」という教育が色濃く残っているからなのでしょうか。
※
怖くっても、やっぱり綺麗な沖縄の海。
泳ぎが好きな人だって、もちろんいます。
「シュノーケルを楽しむ人はいますが、いざダイビングとなるとやはり見慣れない器材を付け潜るのに抵抗があり難色を示す人も多いんです」
これは、沖縄以外の方にも共通する不安要素ですね。
「シュノーケルだと場所も限定されてしまいますが、シュノーケルが好きならなおさらダイビングの魅力にも気付けるはずです!」
もし、美ら海水族館を、沖縄の海だと例えるとそれを上からしか見ないって、大きなお世話ですが、あの夢のような水槽の中を知っているダイバーとしては、ちょっともったいない気がしちゃいます。
不安と前向きに向き合った先にある海
そういえば前回、紫外線が怖いと子鹿のように震えていた女性がいましたが、「ゲストの中で、特に印象に残る紫外線対策をしている方はいますか?」と質問。
「もうこれは、全身黒尽くめ。これにつきます、はい」
日に当たった部分に湿疹が出たりする、“日光アレルギー”でも、きちんと対策して、楽しんでいるゲストもいるんだとか。
※症状には個人差があるので皮膚科の先生に相談してくださいね
「沖縄の海は、紫外線は人一倍怖いけど、それでも潜りたいと思わせる、そんな海なんです」
感動。
あれ…もう潜らない理由がなくないですか?(笑)
(文・豊岡咲)