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春の海 終日のたりのたり……かな!? ~三寒四温と桜の開花~閲覧無制限

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徒然コラム

八幡野のソフトコーラル(撮影:越智隆治)

気象予報士くま呑みの“ダイバーのためのお天気講座”

東京では、ソメイヨシノが開花しました。
いよいよ春です。
海の中にも光が明るく射し始め、いきいきと様々な生き物が活動を開始しますね。

沼津から西伊豆に向かって走っていくと桜と富士山が綺麗に見えたりして、日本の美しさをあらためて感じます。

しかし、この時期せっかく桜が咲いたというのに、また急に寒くなったりして、いったいいつ海に行ったらいいのかという感じですよね。

まさに三寒四温。

なんで、こんなに極端に寒くなったり暖かくなったりするのでしょう?

日本の上空でせめぎ合う冬と春の空気。

そもそも、日本という国は、世界的にも珍しい「四季の変化がはっきりした国」です。
四季折々の美しい自然に出会えますし、それぞれの時期の食べ物を楽しむことができます。

しかし、別の言い方をするなら、温帯域の島国にしては、珍しいほど気候の変化が極端で住みにくい国でもあります。

これは、日本が偏西風の大きな流れの中にあって、日本の「上流」にヒマラヤの山塊があるからなのです。

だから、日本には、大雑把にいうとヒマラヤの北を通ってくる冷たい空気と、ヒマラヤの南を通ってくる暑い空気しかやって来ず、“調度良い”空気はあまり来ないのです。

そのため、春といっても、半袖で汗ばむような天気になったかと思うと、翌日にはコートとマフラーといった天気になるのです。

ソメイヨシノの開花を決めるのは、冬の寒さ。

それにしても、ソメイヨシノなどの桜の花は、こんなに気温が“乱高下”する中で見事に咲きそろいますよね。

同じ地域の木は、あまり日向日陰に関係なく、ほぼ一斉に咲きます。
だからこそ見事なのですが、これはいったいどういう仕組みなのでしょうか。

実はソメイヨシノなどの桜の花芽は、なんと前の年の夏までにできるのです。
前の年に咲き終わって、葉が繁ってきた陰で、翌年の花芽はもう育ち始めます。

ところが、面白いことに花芽は暖かくなりすぎると、一旦「休眠」といって成長を止めてしまいます。花芽を育てるのを抑止する物質が、葉から花芽に供給されるためです。
そして、寒くなると改めて目を覚まして(休眠打破)成長を再開するのです。

成長を再開してからは、春の気温の上昇と共に花芽を成長させていき、花を咲かせます。
気温の上昇を感じて花が成長するため、冬が寒くて急に春の気温が暖かになると、花が早く咲く一方で、暖冬傾向の年には、春の気温がある程度上がっても、気温の上昇が感知しにくく、開花は遅れる傾向にあります。

ですので、よく「2月に入ってからの気温の合計が○○℃以上になると……」といった説を見ますが、これはある程度の指標にはなるものの、冬の寒さの影響があるので、正確には予測ができないのです。

ただ、いずれにしても、ソメイヨシノが一斉に咲くのは、冬から春へと気温が急激に変化するからで、いつも暖かな南の島などでは、なかなかきれいには咲きません。
まさに、日本のこの「住みにくい極端な気候」がもたらした美しさなのです。

「春の海 終日のたり のたりかな」 かな?

与謝野蕪村の「春の海 終日(ひねもす)のたり のたりかな」という句があります。

私達も、春というと、なにかのんびりとして、イメージとしては、海も非常に穏やかでたゆたっているようなそんな気になるかもしれません。

しかし、このように気温が急変化するということは、春も大気の状態は不安定になりやすいということなのです。

もちろん、夏の海は台風などの嵐に注意が必要ですが、「春の海」であっても必ずしも「ひねもすのたりのたり」していてくれるとは限りません。

朝穏やかでも上空に冷たい空気が入ってきたり残っていたりすると、午後にはいきなり積乱雲が発達するといったことも起こりえるということです。

天気予報で、「今日は大気の状態が不安定」と言ったことが聞かれたら、ダイビングの計画には十分の余裕をもってくださいね。

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