スキンダイビングはスキルアップの近道です! ~失われつつある素潜りの機会~

バハマのドルフィンクルーズのイルカ(撮影:越智隆治)

僕がダイビングを始めたころ、まず教えられたのが、この言葉。

スキン上手にダイビング下手なし

その言葉通り、ダイビングと同じくらい、フィンスイムやスキンダイビングの練習をした結果、ダイビングはもちろん、海での遊びがとても楽になりました。

今、イルカやクジラと泳いでるとき、ホールポイントで光のシャワーに包まれるとき、つくづく、あの頃、ちゃんと練習しておいて良かったな~と感謝しています(当時は嫌でしたけど・笑)。

ロタホール(撮影:高砂淳二)

スキンダイビングはスキルアップの基本

スキンダイビングにはスキルアップの要素がたくさん詰まっています。

まず、スキンダイビングの一番のメリットは、“水慣れ”が遊びながらできること。
水や魚と戯れつつ、水への抵抗感を取り除いてくれます。

また、フィンキックなど、水中での体の使い方を覚えられるのもスキンの効力。
息の続く範囲で、自分の体のみを使っての効率的な動きが要求されるスキンダイビングは、BCと呼吸源のあるスクーバより圧倒的にごまかしがききません。

さらに、スキンダイビングを学ぶとイルカやクジラの見方も変わってきます。
単純に近づけるというだけでなく、こう思うのです。

あいつら、上手いな~~。

水の中での効率のよい動きを追求すると、彼らから学ぶことは多くて、師匠のように見えてきます。

例えば、クジラが潜る時、フルークアップなんて言われますが、水面にテール(尾)を出しますよね?

ホエールテール(撮影:越智隆治)

あれ、まさにヘッドファーストの理想形で、僕も水面上のフィンがクジラの尾と同じようになるように意識して練習し、完璧にマスターした時は「クジラに一歩近づいたぜ!」と嬉しかったものです(かなり小さい一歩ですけどね……)。

上達すると、クジラのテールとフィンが同じような動きになる

上達すると、クジラのテールとフィンが同じような動きになる

失われつつある!? スキンダイビングの機会

残念なのは、スキンダイビングの機会が少なくなっていること。

本来なら教えられるはずのCカード講習でも、「え! 習ったことないですよ」なんて声を結構聞きます。

また、昨今のスノーケリングは、安全のため、浮力を確保し「とにかく沈めない」という方針で、ライフジャケットが必須。
時にはフィンすらはかずにロープをつかまなければならない、なんてルールのところもあります。

リスクを減らすという、管理側の理屈で考えれば仕方のないことですし、まったく海を体験したことがない人なんかは、これが正解だと思います。
それでも海は楽しいでしょうし。

ただ、海遊びは、リスクがあるから楽しい、というのも事実。
リスクをゼロにするなら海に入らないのが一番ということですよね。

安全の御旗のもと、海のどこもかしこも「潜っちゃダメ」が定着してしまうと、もっと海を楽しみたい人にとっては、自由度を奪われ、楽しみも半減してしまうと思うのです。

個人的には、太陽光が煌めき、生命豊かな水深10m以浅の世界は、ひょっとしたら海で一番楽しい場所かもしれないと思っています。
また、走る、飛ぶ、と同じように、潜る、も根源的な喜びの回路を刺激してくれるような気がします。

海外でスキンダビングをしようとして、ライフジャケットを着せられ、潜っちゃダメだと言われたとき、ルールなので従いましたが、正直、心の中で舌打ちしていました(笑)。

海をちょっとのぞいてみたい人や無茶しがちな子供をコントロールするには、もちろん、沈めない方がよいですし、ルールは守るべきです。

ただ、ダイバーとしてすでに海の世界にどっぷりつかっている人や、イルカやクジラと泳ぎたい人などは、きちんとリスクを理解した上で、しっかりスキンダイビングの練習した方が、絶対に(言い切ります)海は楽しいと思います。
※ちなみに、水面で浮力を確保した状態でも、フォームをマスターすれば沈めます

また、「泳げなくても、体力なくても、ダイビングはできますよ、イルカとも泳げますよ」という、うたい文句はそれはそれで間違ってはいませんが、イルカやクジラと泳ぐ時に、いつも自分が痛感する一番大事なものは……体力。

身もふたもないのですが、ナチュラルボーンスイマーと遊ぶわけですからね。

体力というとマッスルなイメージがありますが、フィンワークのコツをマスターし持久力があれば、女性でも問題ありません。
というか、クジラを追いかけている時に、女性に華麗に抜かれていったこともあります……泣。

もちろん、その人なりの経験と体力の範囲で無理なく遊べばいいのですが、スキンダイビングの型をマスターして、体力をつけると、ダイビングも含めて、海は圧倒的に楽しくなることも事実です。

パースのアシカ(撮影:稲生薫子)

越智カメラマンが主催するスペシャルトリップは、スキンダイバー憧れの究極の遊び

普段、忙しくて体力作りに時間がない人も、スキンダイビングの知識とフォームを知っておくだけで、海での身のこなしが全然違ってきますし、何より省エネできます。

ぜひ、海を愛する皆さんには、スキンダイビングを楽しんで欲しいと思います。

最後に、ちょっと宣伝になってしまいますが、そんな思いもあって、手軽にスキンダイビングができる機会を増やそうと、最高レベルのメソッドを持つ、フリーダイバーの方とスキンダイビング講習を開催しているわけです。

スキンダイビング講習会(撮影:寺山英樹)

今年も開催していますので、ぜひ、一度参加してみてください。

★現役フリーダイバーが教える!
スキンダイビング&ドルフィンスイム講習会
https://oceana.ne.jp/event/56604

★平日開催! お手軽に基本を学べる
フィーワーク・クリニック
https://oceana.ne.jp/event/56604

★スキルアップした後はイルカと遊ぼう!
御蔵島ツアーのスケジュール
https://oceana.ne.jp/original_tour/mikura_dolphin5

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PROFILE
法政大学アクアダイビング時にダイビングインストラクター資格を取得。
卒業後は、ダイビング誌の編集者として世界の海を行脚。
潜ったダイビングポイントは500を超え、夢は誰よりもいろんな海を潜ること。
ダイビング入門誌副編集長を経て、「ocean+α」を立ち上げ初代編集長に。

現在、フリーランスとして、ダイバーがより安全に楽しく潜るため、新しい選択肢を提供するため、
そして、ダイビング業界で働く人が幸せになれる環境を作るために、深海に潜伏して活動中。

〇詳細プロフィール/コンタクト
https://divingman.co.jp/profile/
〇NPOプロジェクトセーフダイブ
http://safedive.or.jp/
〇問い合わせ・連絡先
teraniku@gmail.com

■著書:「スキルアップ寺子屋」、「スキルアップ寺子屋NEO」
■DVD:「絶対☆ダイビングスキル10」、「奥義☆ダイビングスキル20」
■安全ダイビング提言集
http://safedive.or.jp/journal
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