魚も顔で仲間を認識している!? ~ダイバーが会える特徴的な模様の魚たち~
皆さん知人の顔は見ればすぐにわかりますよね?
たとえ顔と名前がすぐに一致しない人であっても、直接会えば少なくとも「知っている人」という認識はできると思います。
さて、話は変わって魚の世界。
実は、魚も顔で仲間を認識している、という研究結果がこの日本から報告されています。
研究結果を発表しているのは大阪市立大学の研究チームで、2015年11月に世界で初めて、魚が顔の模様の違いで他個体を識別することを実証しました。
これまでもヒトやチンパンジーをはじめ、霊長類や群れで生活をする哺乳類、鳥類ではカラスなどが知られていました。
しかし、2015年の発見はこれまでの常識を大きく覆す発見となっていました。
研究対象となったのはプルチャーという淡水魚で、顔を識別するまでに要する時間はおよそ0.5秒と、ヒトにも劣らぬ顔認識能力があるとされました。
一方で、プルチャーは顔にしか模様がないため、顔を認識しているわけではなく、偶然顔に個体識別の特徴が出ていた可能性も否定できませんでした。
そこで、改めて全身に模様があるディスカスという魚で研究を行ったところ、やはりこのディスカスも顔の模様だけで相手個体を識別していることが示唆され、「顔」が相手の識別において重要な部分であることが2016年5月19日に報告されました。
魚たちもお互いを顔で識別し、それぞれに好みがあったりするのであれば、面白いですね!
ところで、今回の研究には魚の模様がカギとなっていることは言うまでもありませんが、我々の身近な日本の海にも特徴的な模様を持つ魚がたくさんいます。
そこで、今回はその中からいくつかをご紹介!
ヒョウモンオトメエイ
大阪のオバチャンが泣いて喜びそうな柄です(笑)
沖縄などに生息しているのですが、ダイビング中に出会うことは稀なんだとか。
一度は出会ってみたい生物のひとつです。
サクラダイ
名前にあるとおり、桜吹雪のような模様がなんとも日本らしい美しさを醸し出す魚です。
東京湾以南のやや深場で観察することが出来ます。
ちなみにスーパーで見かける桜鯛はマダイのことで、全くの別物です。
タテジマキンチャクダイ
海水魚を飼育する人々からは「ウズマキ」の愛称で人気の魚です。
特徴的な渦巻き模様は幼魚の頃だけに現れ、成長すると以下の通り、全く異なる姿となります。
モンガラカワハギ
水玉模様がとってもキュートな魚です。
タテジマキンチャクダイほどの変化はありませんが、成魚になると水玉模様は身体の下半分に追いやられ、水玉の一つ一つも大きくなってしまいます。
トウアカクマノミ
横から見るとそこまで特徴的とは言えませんが、上から見ると背中にハートを持っているんです!
日本で観察することが出来る6種類のクマノミのうち、最も出会うことが難しいクマノミということもあり、出会えたら幸せになれそう…
ということで、背中から見るとどんなハートマークなのかは、みなさんご自身の目で確認してみてくださいね!
今回ご紹介した魚たちはどれも特徴的な模様を持っていますが、一見地味にに見える魚でもじっくり観察すると、微妙に青い斑点が入っていたり、絶妙なグラデーションが入っていたり…
よく見る魚でもじっくり観察すると新しい発見があって楽しいですよ!
(取材・文/細谷 拓)