DAN保険改正の裏を読む

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命の次に大事なお金の話にもかかわらず、
少し不可解なので書いてみる。

DAN保険の内容が改定され、
「死亡・後遺障害」の補償額が1千万円から百万円に減額された。
※詳しくはhttp://www.danjapan.gr.jp/

その理由を会報から引用する。

「残念ながら近年事故が多発し、高額な補償が発生しております。
安全に対する意識をさらに高めていただくため
このほど大幅に減額するとともに、
これまでの補償を補完する保険として
新制度『ジョイフルサポート』を新たにご用意しました」

僕は保険のプロではないが、書くことを職業としている人間としては、
この文章を見て頭の中は「?」マークでいっぱいだ。

「安全に対する意識を高める」ために大幅減額という論理が、
しばらく考えてみたが、よくわからない。
「お前ら最近たるんでるから補償額下げてやる。
気合入れて潜らないと死んだら損するぞ」という脅しだろうか?

安心を担保するのが保険であり脅してどうする。
それに、死亡・後遺障害の補償額が下げたら
「こりゃ死ぬわけにはいかんぞ」と安全に対する意識が上がるのだろうか?

さらに、補償額を下げて意識を高めてもらうと言っておきながら、
「死亡・後遺障害」を補償する新しい保険への加入をすすめるのである。

「安全のため」という錦の御旗を掲げて人を思考停止にするという
狡猾な文言に思えるのは自分だけだろうか?

その辺の話をふまえ、
プロの保険屋ダイバーに話をあれこれ聞いてみた。

まず、保険屋さんによると、
保険会社には「引受基準」というものがあり、
複数の損害保険に加入していても、
それらを合わせた補償額の上限が決まっているそうだ。

実際、送られてきた新しい保険の案内のチラシを見ると、
「同種の危険を補償する他の保険契約」と合わせて1,000万円
と書いてある。

ここからは推測だが、
つまり、今までの保険だと1,000万円付いてしまうので、
新しい保険に加入できなくなってしまうので下げたのではないだろうか。
言い方を変えれば、新しい保険への加入を促すために下げた
のではないだろうかと勘ぐりたくなってしまう。

誤解なきよう言っておくと、DANの保険はいいと思うし、
新たな傷害保険だってメリットはある。

だからこそ、もし事故が多発して損害率(保険料に対する支払いの割合)が
上がってしまっているなら、
事故の発生件数の増加のデータや補償金額、
そして損害率を明らかにして(非公開?)、
団体保険として成り立たない事情をしっかり説明すればいい。

それなら、例え保険の維持の条件が「新たな傷害保険の導入」でも
「保険料のアップ」でも納得できるだろう。

「安全意識を高めるため」とよくわからないことを言われると、
「なんか商売始めちゃう気?」と勘ぐりたくもなってしまうのだ。

 

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PROFILE
法政大学アクアダイビング時にダイビングインストラクター資格を取得。
卒業後は、ダイビング誌の編集者として世界の海を行脚。
潜ったダイビングポイントは500を超え、夢は誰よりもいろんな海を潜ること。
ダイビング入門誌副編集長を経て、「ocean+α」を立ち上げ初代編集長に。

現在、フリーランスとして、ダイバーがより安全に楽しく潜るため、新しい選択肢を提供するため、
そして、ダイビング業界で働く人が幸せになれる環境を作るために、深海に潜伏して活動中。

〇詳細プロフィール/コンタクト
https://divingman.co.jp/profile/
〇NPOプロジェクトセーフダイブ
http://safedive.or.jp/
〇問い合わせ・連絡先
teraniku@gmail.com

■著書:「スキルアップ寺子屋」、「スキルアップ寺子屋NEO」
■DVD:「絶対☆ダイビングスキル10」、「奥義☆ダイビングスキル20」
■安全ダイビング提言集
http://safedive.or.jp/journal
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