おススメしないショップ体験談・前半
「おススメしないショップ体験談・序章」
http://diving-commu.jp/divingspirit/item_3086.html
※以下、赤字は編集部。
■東京都/匿名希望 (女性・84本)
○きっかけは飲み会
遠い知人Aの開いた飲み会。そこにいた日焼けした明るい元気な女の子。
なんでもダイビングのインストラクターをやっているという。
Aが最近ダイビングを始めたそうで、その担当インストラクターらしい。
ここ数年、めっちゃめちゃ興味あったダイビング。
でも周りでやっている人などいない。
それゆえ縁遠かったダイビング。そんなときにこの偶然。
これは神様のお告げでは!?
「今度、お店行く! ダイビング始める!!」。鼻息荒くすっかり浮かれモードな私。
この時点でもっと気をつけていればよかった。
聞いてもハッキリ店の名前を言わない目の前の女の子に不信感を持つべきだった。
知人Aのブログを読むと、講習の様子などが書かれている。
すんごく楽しそう……ああ早くダイビングやりたいなあ!
この飲み会で知り合い仲良くなったBさんも始めたらしい。
私は仕事ビッチリで身動き取れない状態。ああ……早く追いつきたい。
○沈船に潜りたい! 安い講習は危ない!?
10万円の講習を決意
約一ヵ月後。
ギュウギュウだった仕事がひと段落し、これから次の仕事まで数週間。
その短期集中で一気にCカードを取るつもりの私。
インストラクターの女の子と交わした何度目かのメールで
ようやく教えてもらった都内某所のダイビングショップに行く。
この時点で早くも気分は海の中……♪ テンション高すぎ。大変な状態である。
とにかくやる気に満ち溢れている私は、
チャッチャと契約してチャッチャと講習始めたい!
その一心で細かい部分まで見てなかった。というか見えなかった。
やたら大声ではしゃぐ数人のスタッフ。
やたら大声で私をチヤホヤするスーツの上司らしき男性。
異様にテンション高い店内のおかしさに気づかなかった。
自分のテンションも高かったから。
ただひたすら知人Aや先に講習を始めたBさんに早く追いつきたかった。
来店当日はオリエンテーション。
スクーバダイビングとは何か? ということから教わる。
スタッフが3人くらいで私を取り囲み、次から次へと美しい海中写真の載った雑誌を持ってくる。
「こんなにすごいものが見られるんだよ!」、「海ってすばらしいよ!」と
テンションMAXで教えてくれる。
私が一番心惹かれたのが沈没船。これがすんごいのである。
海中に沈んだ本物の軍艦を目の前で見られるのだ。
映画のセットじゃあない、ホンモノの軍艦! 見たいいいい! 早く早くうう!!
まるで明日にでも潜れるようなテンションである。なんせ浮かれているから。
スタッフも沈没船ツアーの説明なんてしてくれる。
ええ! こんなお安い値段で見に行けるの?? いやああ! 絶対行きたいぃいい!!
さて。実はこの時点で巧みな「誘導」が入っているのである。
ウンザリするほど愚かな私は、この後見事にこの「誘導」にひっかかるのである。
みなさんが思うダイビングCカード講習費用は大体いかほどだろう。
海外旅行のついでにCカード取っちゃおう!なんてツアーもあるし、
ハワイ旅行に毛が生えたくらいを想像するだろう。
私も事前に飲み会で出会ったイントラの女の子に聞いていた。
彼女いわく「10万円」だという。
ううーん、ううーん。正直かなりの大金である。
完全なるレジャー、遊び、趣味である。それにポンっと出せる金額ではない。
おまけに海外旅行がついているわけではない。都内のお店とプール、伊豆の海である。
すると、彼女が安いCカード講習の危険性を話し始める。
イントラ一人に生徒5人なんて当たり前。
いい加減な講習、手入れの行き届いていないレンタル器材……。
とにかくイントラの彼女たちから見たらゾッとするほどひどいらしいのだ、
安い講習は。
確かに想像しただけで恐ろしい……。先生一人に生徒5人。
私がパニくってもイントラの目に入らないんじゃなかろうか。不安でいっぱいである。
そんな中、彼女のショップでは完全マンツーマンで丁寧な講習がウリだという。
10万円の価値はあるという。
ううーん。なんといっても命を懸けて遊ぶわけだしここはケチってはいけない気がする。
よしゃ、出そうじゃないか10万円! これでとことん楽しんでやる!
○2時間後、48万円の契約をあっさり決意
沈没船ツアーに心奪われる中いよいよ本題。講習費用の話だ。
「ええとね、講習は大体これだけかかるんだけど……」
スーツの上司らしき男性が紙に書いた数字に仰天する。
48万円である。
「えええっ??10万円って聞いていたんですけど???」と問う私。
なんでも10万円で取れるCカードは初級クラスなんだそうな。
これだと浅瀬でウロウロするのみで、
水深30メートルにある沈没船など見に行けないと言うのだ。
(この時ここまでしか行けない、
と見せられた写真は水深4〜6メートルくらいのほんとに浅瀬だった)
ということは、ダイビングツアーに参加しても周りの人たちは
楽しいスポットまで行けるのに私だけこんな浅瀬でチャプチャプ待機なの?
そんな! ツマンナイ!
雑誌やテレビで見るいわゆるスクーバダイビングの水中映像ってヤツは
みんなアドバンスという上級クラスのCカードを持っている人のみ
体験できる世界だったのか〜〜?
知人Aもひと足先に講習を始めたBさんも二人とも
上級クラスまでの講習を受けているらしい。
48万円もする講習である。48万円。とんでもない巨額である。
むむむむむーっ。ここで発動するのがいわゆる「私だって……」という心理である。
知人AやBさんが支払っているのである。私だって頑張れば払えない額ではない。
上級クラスまでやれば水中で自分の位置を把握する訓練のほか
レスキューなどの講習も受けられるらしい。安心な気がする。
命がけのスポーツなのだから初級編の講習だけで終わらせるより
どんな状況にも対応できるスキルを身につけたほうがいいに決まっている。
人生は一度しかないのだ。やるならとことんやりたい。
もうこの時点になると自分の中で48万円を支払うための理由探しが始まっている。
見事だ。見事としか言いようがない。
最初に見せた美しい水中写真
→だけどこれは10万円では手に入らない
→安心、安全、夢を手に入れるための48万円
→周りのみんなも支払っている→私だって払えるもん。私だってみんなと一緒に行きたいもん!!!
この間、約2時間くらいだろうか。
私は48万円の契約をあっさり決めていたのである。
言っておくが誰からも強要も強制もされていない。全部自分の意思で決めている。
欲しいもの(夢&上級クラスのCカード)を前にした
無防備な心の隙間を狙われた見