小笠原を困らすエイリアン!?

小笠原諸島、無事に世界遺産登録されましたね。いや〜よかった。
実は制作中のガイドブック、途中から世界遺産登録を前提に書いていたので、
ここで外れたら泣いてました……。

ということで、新メンバーのササウオくんが空気を読まず、
僕と同じ小笠原をテーマに書いていますが
(そして僕よりもタメになる感じで書いていて辛いところですが)、
めげずに今週も小笠原の話でいきます。

小笠原諸島は屋久島、白神山地、知床に続く4件目の自然遺産に登録されました。
自然遺産に登録されるためには、
4つのクライテリア(判定条件)のうち1つ以上と合致しなければいけません。
その条件とは、「自然景観」「地形・地質」「生態系」「生物多様性」の4つ。
うーむ、小笠原はどれも合致してそうですね。

世界遺産への推薦書を見ると、
小笠原諸島の価値は「地形・地質」「生態系」「生物多様性」にあるとされています。
ということは、4分の3と合致しているわけです。小笠原諸島はかなりデキる子なんです。
この3つの価値についてはいろいろな方が詳しく書いているので、
興味がある方はググってみてください。

世界遺産の登録は、現地でも賛否両論あるようです。
否定派はやはり、観光客増加による環境破壊を心配しています。
特に外来種の問題。これが長い間、小笠原を悩ませているんです。
「ペンションの庭にきれいな緑色のトカゲがいるな〜」と思ったら、
それが在来の昆虫をかたっぱしから食べてしまうグリーンアノールという外来種だったり、
「この森は雰囲気いいな〜」と思ったら、
繁茂しているのが在来の植物を追いやっているアカギという外来種だったり。


父島と母島に生息する外来種、グリーンアノール


母島の桑の木山は、外来種のアカギに覆われている

まあ持ち込まれちゃった動植物に罪はないのですが、優先順位の理論で、
これらの外来種は少しずつ駆除されています。

例えば固有の植物を食べつくしてしまうノヤギは、父島をのぞいてほぼ駆除されています。
外来種であっても、島の生態系にしっかり食い込んでしまっているので、
急激に駆除すると別の問題が発生してしまうのが難しいところ。

もちろん、観光客が新たな外来種を持ちこまないというのも大切なことです。
小笠原はよく「東洋のガラパゴス」なんて呼ばれますが、
本家のガラパゴスは世界遺産に登録されたあと、
環境破壊が進んだことで危機遺産になりました。
現在は危機遺産リストから削除されていますが、
人間と自然の共存というのは小笠原にも共通したテーマ。
本家と同じ道をたどらないようにしたいものです。

何だか難しい話になってしまいましたが、
ルールとマナーを守って持続的に小笠原の自然を楽しめればいいな〜と思うわけです。

■世界遺産の島、小笠原のガイドブック。7月16日発売です♪

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PROFILE
ビーチリゾートをメインにしたトラベルライター。
50以上の国を訪れた経験を生かし、旅行ガイドブックや旅行雑誌などを制作している。
編集プロダクション「アトール」所属。
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