「シューボコ、噴火の影響で海底に石が降り始めました」
こんにちは。須賀潮美です。
先週はデューク山中の本拠地・安良里で、
ドットコミュ隊員の石丸さんと初めてお仕事させていただきました!
さて、今回は伊豆大島の噴火の続きを。
■前回は→こちら
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三原山が500年ぶりに大規模な噴火を開始したのとほぼ同時刻に、
筆島付近で潜っていた私の頭上にパラパラと石が降り始めた。
噴石が風に乗り、ちょうど風下に当たる筆島周辺に飛ばされてきたのだ。
「何これ、水中に石が降っている!」と驚いたが、
ここは目の前の状況をリポートしなければならない。
「シューボコ、噴火の影響で、伊豆大島の海底に石が降り始めました」
「噴石は軽石のように空気をたくさん含んでいるので、
ヒラヒラと雪のように舞い落ちてきます。シューボコ」
噴石の大きさは直径2〜3㎝。
水の抵抗を受け、ゆっくりと落ちてくるので当たっても危険はない。
だが、音はすごい。頻発する地震で、水中には絶えず
工事現場の圧搾音のような「バッバッバッ」という音が響いている。
魚たちはどうしているのか見回してみると、
突然の噴火に逃げ切れなかったのか、
アジは降り注ぐ噴石を避けながら右往左往する。
砂地の海底は大量の噴石が降り積り、砂利の海底に変わってしまった。
着底する場所を失ったシタビラメは、落ちつかない様子で泳ぎ回っている。
水中ではヒラヒラ舞っていた噴石だが、地上はそうはいかない。
船の上にいるスタッフは石と戦いながら収録を続けていた。
音声ケーブルを通じて船上にいるKディレクターの指示が飛んでくる。
報道一筋のKディレクターは、こうした現場では血がたぎるようで、
「シオミ〜、水面は危ないから顔を出すな〜!」
「カメラは水面に持ち上げろ〜。半水面で水面にバシャバシャ落ちる石を撮って!」
一方には水面に近づくな、もう一方には水面を撮れ…と、
相反する指示をしながらも、的確に現場をコントロールしていく。
最も災難だったのがデッキでケーブルをさばいていたOさん。
降り注ぐ石に耐えかねて、バケツを頭に被り、カンカンと音を響かせながらも、
持ち場を離れるわけにはいかなかった。
噴石は30分もすると降り止み、撮影も終了した。
ちょうどその頃、頻発する地震と噴火に、
全島民の島外脱出が始まろうとしていたのだが、
海に出ていた私たちは知る由もなかった。
これまで誰も見たことのないシーンを撮影したと、
高揚した気持ちで波浮港に引き上げると、
船長の奥さんが「あんたたち何やってるの。私たちはこれから逃げるの。
みんなも早く逃げて!」と、血相を変えて飛んできた。
つづく