冬の伊豆

冬の伊豆。
これが僕の中でずっと課題。
もっと言うと、
そのおもしろさをどう伝えればいいのかが課題。
というのも、自分自身が冬の伊豆に潜るのが
つらかったりもするからだ。
低水温で生物も少ない中、ドライスーツでダイビング。
少々うねりがあったりエントリー口の足場が悪ければ、
もうヘトヘト。
正直、「2本目パス」という誘惑といつも戦うことになる。
イントラで比較的ガタイのいい僕がこうなんだから、
ビギナーで心から「楽しい!」と思える人はどれほどいるのだろうか……。
そんな疑問から、以前、冬の伊豆で出会った人々に
その問いかけをしてみたことがあるのだが、
印象としては、多くの人が“楽しい”ではなく、
“楽しいことにしている”というようなテンションだった。
“楽しいことにする”っていうのは大事で、
最初はまったく興味なかったことでも、
強引にひっぱっていくことにより、
興味を持つようになることもある。
例えば、ウミウシなんて最初は見向きもされない生物だったが、
「おもしろいよね〜」なんて強引に持っていったら、
本当におもしろいことになっているし。
同じように、雑誌でも冬の伊豆をおもしろいことにする
ために“透明度が良く、冬ならではの生物”を強調してきた。
実際に僕もそう書いた。


しかし、いつまでも“楽しいことにする”でいいのか疑問。
というか、僕は「2本目潜りたくねーなー」と思うダイバーだが、
定期的に冬の伊豆には行きたくなるのだ。
つまり、楽しくなくても行く。いや、楽しいんだけど。
海自体が楽しいというわけではなく、旅自体が楽しい気も
するが、やはり海も楽しんでいて……。
さて、問題です。僕は楽しいのでしょうか? (笑)
わけがわからなくなってきたが、
要するにある程度潜ってきた僕は、
たぶん“ダイバー人生”を楽しんでいるんだと思う。
友人と「やっぱ冷たいし、疲れたね〜」と言ったり、
「2本目パスしちゃう?」、「でも、ガイドさんに言いずらいな〜」なんて会話が楽しかったり。
温泉や食事の方がメインだったり。
ダイバー人生がすばらしいことは知っているので、
ダイビングを信頼しきっているのかも。
ダイビング人生の年表ってのが頭にあって、
そこに書き加えていくのが楽しいのだと思う。
だから、ダイビング自体がつまらなくてもおもしろい。
で、たまにおもしろいことが起きると、死ぬほどおもしろい。
結局、ダイビングはおもしろいし、
冬の伊豆なんか最高におもしろいのである。
1回のダイビングで、あまり強引に
「ダイビングって楽しいでしょ〜」と押し付けると、
特にビギナーなんかは“自分とは合わないのかも”と
思ってしまう可能性がある。
それが冬の伊豆だったりしたらなおさらだ。
なので、この長期的な楽しさをわかってもらいたいと
常々思っているのだがこれがなかなか難しい。
パラオの海は温かい。でも、冷たい冬の伊豆はおもしろい。
石垣島はマンタが登場。でも、冬の伊豆ではイザリウオがいるのでおもしろい。
すみません。今月は伊豆の別冊を丸々作るので伊豆について考え過ぎて、わけがわからなくなってきた。
明日、風呂入ってもう一回伊豆を考え直そう。
徒然なる駄文を読ませて申し訳なし。

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PROFILE
法政大学アクアダイビング時にダイビングインストラクター資格を取得。
卒業後は、ダイビング誌の編集者として世界の海を行脚。
潜ったダイビングポイントは500を超え、夢は誰よりもいろんな海を潜ること。
ダイビング入門誌副編集長を経て、「ocean+α」を立ち上げ初代編集長に。

現在、フリーランスとして、ダイバーがより安全に楽しく潜るため、新しい選択肢を提供するため、
そして、ダイビング業界で働く人が幸せになれる環境を作るために、深海に潜伏して活動中。

〇詳細プロフィール/コンタクト
https://divingman.co.jp/profile/
〇NPOプロジェクトセーフダイブ
http://safedive.or.jp/
〇問い合わせ・連絡先
teraniku@gmail.com

■著書:「スキルアップ寺子屋」、「スキルアップ寺子屋NEO」
■DVD:「絶対☆ダイビングスキル10」、「奥義☆ダイビングスキル20」
■安全ダイビング提言集
http://safedive.or.jp/journal
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