ダイコン読めますか?

昨日の日記の例として挙げた、
ダイブコンピュータに表示される数字。
あれから“実はわかりません”というメッセを
数件いただいたのだが、
皆さん、ご存知ですよね?
っていうか、知っているといいなぁ……。
知らないからと言って、別に攻めているわけではなない。


というのも、現在のダイビング業界においては、
信じ難いことに“知る機会がない”という状況もあるからだ。
しかも、“知らなくても大丈夫”、
さらに“知らないことを知らない”という風潮さえあるのだ。
つまりは、何というか、悪気がないのである。
何にも知らないダイバーに海で出会っても、
彼らは明るいし、海をエンジョイしているし、
とっても誠実だったりする。
普段はおそらくきちんとした社会人なんだろうとも想像が付く。
でも、
「ダイコン忘れちゃった〜。ま、いっか(笑)」
なのである。
こうした事例を見ても、個人の資質の問題というより、
構造の問題なのだと思う。
だから、たまにプロやベテランたちが、
呆れたり、個人を攻撃することもあるのだが、
それはあまり意味がない。
言えばわかる人たちばかりだから。
もし、これを読んでいる人でダイコンに表示される意味を
知らない、もしくは周りに知らない人がいるという人は、
下記を読んで理解してほしい。10分の労力もかからないので。
ダイビングは見方を変えれば、
“減圧症にならないため”の遊びともいえる。
行動もその実現のために制限されているといってもいい。
もちろん、イントラやガイドは必ず理解しているので
(これは信じたい)、
彼らについていけば、
減圧症になることは、ほぼないのかもしれない。
しかし、命の丸投げみたいで、不安はないのだろうか?
信頼している友人ならともかく、
言い方は悪いが、パッパラパーの好色兄ちゃんみたいな
ガイドと出会うことだってあるかもしれない。
プロと潜るにしても、最低、
減圧症の仕組みと予防法ぐらいは理解しておくべきだと思う。
それに、個人的には、ダイビングの醍醐味は、
海と主体的に付き合って始めて感じられることだと思っている。
初めて自分たちで計画してバディ潜水したときは、
大冒険だった。
海は怖いものだと実感したし、
それ以上におもしろいものだとも思った。
ガイドについていって、
何気なくパラオの「ブルーコーナー」なんて潜っているが、
あれが実はとんでもなくすごいことだというのも、
自分で計画潜水して初めてわかった。
話が脱線したが、
ダイコンに表示される数字は、“無減圧潜水時間”。
この漢字が拒否反応を誘引しているわけだが、
まずは無減圧潜水について説明する。
無減圧潜水とは読んで字のごとく、
減圧停止をしなくても大丈夫なダイビング”のこと。
逆に減圧停止が必要なダイビングというのは、
体に窒素が溶け込み過ぎて、そのまま浮上すると、
窒素が気泡化して減圧症になってしまうダイビング。
なので、減圧停止を行なって、
窒素を排出してから浮上しなければならない。
つまり、例えばエア切れをしても、
浮上できないというリスキーなダイビングで、
ケーブの中にいるようなもの。
水深と時間もかなり厳密に定められているので、
安全停止のときのように、「浮いたり沈んだりしちゃった〜」
などとのん気なことは言っていられない。
そこで、ファンダイビングでは、
減圧を必要としない、
無減圧潜水が基本となっている。
そして、話を戻して、
ダイコンに表示される無減圧潜水可能時間とは、
その水深で無減圧潜水が可能な残り時間
のことを指している。
例えば、10という数字が表示されている場合は、
その水深に10分以上いると、
体に窒素が溜まって減圧停止が必要になってしまいますよ、
という意味。
ちょっとややこしいが、
知らなかった方が理解してくれたら嬉しいかぎり。
さあ、皆さん、安全に潜りましょう!
※ダイコンの数字を信じすぎてもいけないとか、
ダイブテーブルの重要性など、
まだ知ってもらいたいことがあるが、
長くなったのでまた今度。

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writer
PROFILE
法政大学アクアダイビング時にダイビングインストラクター資格を取得。
卒業後は、ダイビング誌の編集者として世界の海を行脚。
潜ったダイビングポイントは500を超え、夢は誰よりもいろんな海を潜ること。
ダイビング入門誌副編集長を経て、「ocean+α」を立ち上げ初代編集長に。

現在、フリーランスとして、ダイバーがより安全に楽しく潜るため、新しい選択肢を提供するため、
そして、ダイビング業界で働く人が幸せになれる環境を作るために、深海に潜伏して活動中。

〇詳細プロフィール/コンタクト
https://divingman.co.jp/profile/
〇NPOプロジェクトセーフダイブ
http://safedive.or.jp/
〇問い合わせ・連絡先
teraniku@gmail.com

■著書:「スキルアップ寺子屋」、「スキルアップ寺子屋NEO」
■DVD:「絶対☆ダイビングスキル10」、「奥義☆ダイビングスキル20」
■安全ダイビング提言集
http://safedive.or.jp/journal
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