水族館

水族館が好きだ。
そりゃダイバーだからおもしろいに決まっている。
行くときはだいたい女性も一緒なので
(男同士はちょっと……)、
楽しいものとして刷り込まれているだけかもしれないが。
でも、やっぱりちょっと微妙な気持ちがするのも確か。
今日は水族館について考えてみる。


水族館のはじまり
もともと動物園やら水族館、
博物館などが世界中で作られるようになったのは、
19世紀の中ごろヨーロッパ社会。
いわゆる植民地政策で世界に進出しているころ。
当時の貴族や外交官は、その知的好奇心の求めるままに、
世界中の植物、動物の標本を集めては競うように本国に送り、
送れないものは、精密なスケッチに記録した。
異常な収集癖で江戸幕府からスパイの疑いをかけられて
追放されてしまったシーボルトは有名だ。
当時は、各国の博物や標本画を書かせることは、
貴族や外交官たちの仕事であり教養であった。
きっと、収集した動物や植物を収集して、
見せることが文化度や国力を主張する手段だったのだろう。
テレビのない時代、
その具体的手段が博物館であり水族館。
これは、何も昔のことではなく、
現在でも博物館や動物園を持てる国は
世界のわずかな豊かな国に限られている。
格差だのなんだの言っているが、
日本は間違いなく豊か。
水族館の現在
水族館は進化を続け、現在でも多くの人を集めているが、
動物愛護や自然保護の声が高まる昨今、
風当たりも強くなっている。
まあ、人間のために魚や動物に野生を捨てさせ、
オリや水槽に閉じ込めておくわけだから、
満腹な人間にとっては保護の声でもあげたくなる。
僕自身も、
水族館はものすごく教育的な意義があると思うのだが、
さすがに小さな水槽で芸をするイルカやシャチを見ると、
「なんだかな〜」と……。
横の女子を見ると「すご〜い」とか「かわいい〜」と
喜んでいるので、まあいいかと思いつつも、
その姿にもなんだかな〜感が……。
まあ、僕のなんだかな〜感なんて、
隣の女子のかわいさに左右されてしまう程度だけど。
日本は世界的に最も水族館の多い国のひとつ。
“人間にとって”巨大な水槽が作られ、
それを免罪符に、マンタやジンベエザメ、イルカ、
アザラシ、アシカ、大型回遊魚、アザラシ、アシカなど、
あらゆる大型海洋生物が飼育されている。
生物への影響は?
巨大な水槽といっても、
あくまで人間にとって巨大なだけで、
とてもじゃないが、
これらの動物が本来もっているダイナミックな
生活環境を再現できるはずもない。
僕が読んだ資料では、イルカやシャチは、
野生に比べて飼育されていると非常に短命という記憶がある。
※この野生との比較データが重要なのだが、調べる時間がないので許してくださいまし。日記ということで。
※今後、野生と飼育の比較データで、違う結果が出るような環境が作れたら僕の見解も変わる。ってか、どっかに違うデータがあるかもしれない。
まあ、とにかく水族館が残酷なのかどうなのかは、
冷静にデータを見極める必要があり、
感情的にグリンピース的な激しさで批判するのも
いかがなものかと思うのだが、
世界の動物園や水族館で、
大型の猛獣や海獣を展示しないケースが増えているらしい。
その理由は、動物愛護の側面と、
展示したところで本当の生態を見せることに
ならないということから。
確かにメディアが発達した現在、
わざわざ展示しなくても、むしろ展示しない方が、
その動物の本当の姿を見せることができるのかもしれない。
ましてや無理に芸をさせるってのは批判される時代なのかも。
個人的には見ていてつい笑ってしまうし、
かわいそうとも思わないが、
スマートじゃない気もする。
何ていうか、自分でも立場をはっきりさせたいのだが、
やっぱり微妙なんだよなぁ。
水族館の今後
イギリスでは1990年に、
とても厳密なシャチやイルカなどの飼育基準か決められた。
確か、飼育するプールの大きさや数はもちろん、
騒音対策、照明、塩分などの水質管理、
人間の食堂レベル以上の餌の衛生管理とか。
さらに、驚くべきことに、
1つ種を1頭だけ飼うことは許されず、
イルカ同士で社会的な関係を結べるように要求されている。
結果、この基準が守れる水族館はなく、
どうやら、イギリスからはイルカ館が10年以上前になくなって
しまったようだ。たぶん。
難しい問題だが、水族館のショーを見るたびに感じる
この“何だかな〜感”を解消したい。
そのためには本を読み込む必要があるんだが、
ちょっと時間がない。でも、考えねば。
ちなみに、かのジャック・イブ・クストーは、
モナコの海洋博物館の館長だったが、
生きた魚の展示をするより、ビデオや映画を効果的に使って、
動物の生態を見せるべきだと主張している。
さすが、クストー。
ダイビングの世界を切りひらいただけでなく、
ダイバーの進む姿を示唆しているようだ。
※クストーを知らない人は、ダイバーなら知っておくべきかも。ネットで調べてね。
ダイバーがナチュラリスになるのか、
インベーダーになるのか。
こういうことを考えることから始まると思うのだが。
※この日記は、記憶をもとに思いのまま書いているだけで、
ちゃんと文献を調べていません。

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PROFILE
法政大学アクアダイビング時にダイビングインストラクター資格を取得。
卒業後は、ダイビング誌の編集者として世界の海を行脚。
潜ったダイビングポイントは500を超え、夢は誰よりもいろんな海を潜ること。
ダイビング入門誌副編集長を経て、「ocean+α」を立ち上げ初代編集長に。

現在、フリーランスとして、ダイバーがより安全に楽しく潜るため、新しい選択肢を提供するため、
そして、ダイビング業界で働く人が幸せになれる環境を作るために、深海に潜伏して活動中。

〇詳細プロフィール/コンタクト
https://divingman.co.jp/profile/
〇NPOプロジェクトセーフダイブ
http://safedive.or.jp/
〇問い合わせ・連絡先
teraniku@gmail.com

■著書:「スキルアップ寺子屋」、「スキルアップ寺子屋NEO」
■DVD:「絶対☆ダイビングスキル10」、「奥義☆ダイビングスキル20」
■安全ダイビング提言集
http://safedive.or.jp/journal
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