ポケットはティンコを押さえるためにある
最初に言っておく。
海もダイビングもまったく関係ない。
そして、10代のうら若き乙女マイミクさん、
ごめんなさい。
ポケット。
小銭を入れたり、財布をつっこんだりと便利なものだ。
手を無造作に突っ込んでクールに決めるためにも重要な存在。
中には四次元の世界とつながっていたりもするらしい。
しかし、真の目的を女子は知らない。
ズバリ言おう。
ポケットは、
ティンコを押さえるためにある。
初めてのデート。手をつなぐ。
想像力のたくましい男子は、この時点でポケットを使う。
あえて言おう。彼ははしたないのではない。
情熱的なのだ。
お互い心が通い合い、キスをする。
直後に歩かねばならないシチュエーションなら、
僕のデータでは、93%の男子が、
この時点でポケットを使うことになる。
食事後にバーで飲む。女性がOKサインを出す。
そして、本当に心が通じるか、
本能のまま心を開放させた男女は、
おとぎのお城へ向かうことになる。
何かにとらわれている人は“一流ホテル”という名の
少々高価なおとぎのお城へ向かうことになる。
いずれにせよ、その道中、男子は99.8%が、
正しいポケットの使い方をする。
きっとポケットも本望に違いない。
「小銭なんか入れてくれるな。僕は愛のシモベなんだ」。
僕にはポケットの声が聞こえる。
ポケットがなかったら。
男子は途方に暮れるしかない。
キスをする。そして、歩き出す。
必死にオカンの裸体を思い浮かべるハメになる。
もしくは、理由をつけてしばらく座ったままでいるしかない。
いわゆるクールダウンな時間だが、
それではつまらない。
テンション、いやパッションが下がってしまう。
ポケットは、燃えたぎる内なるパッションを持続させつつ、
社会的な体裁も繕ってくれるのだ。
しばらく彼女のいない僕。
三十路を超えるというのに、
不覚にも手をつないだ時点でポケットを使ってしまった。
ポケットは言う。
「それは10代のポケットの使い方だ」と。
「三十路は最後の最後で僕を使っておくれよ」と。
そんなポケットの声が聞こえてしまったもんだから、
パッションを抑えてしまい、
「また今度!」と爽やかという名の女々しい笑顔で
彼女を見送ってしまった。
「次はないと思え」
プロの世界で当たり前のことが、僕にはできていない。
アマチュアだ。いや、甘ちゃんだ。
少なくとも三十路のやることではない。
ポケットが泣いている。
「僕は君のパッションを開放するための愛のシモベなんだ。
パッションを開放してくれなきゃ、ただ君の薄汚い肉棒のスケープゴートに成り下がってしまうじゃないか」
すまない、ポケット。
さんざん、お世話になっておいて、
愛を開放できないくだらない人間で。
次があるならがんばるから、
もう一度だけ力を貸しておくれ。
教えてくれ。
僕は何を書いているのだろうか。
ただ、真実を書いていることだけは確かなのだ。