危険と安全の挟間にある好奇心

この記事は約4分で読めます。

実はたまに(いや、頻繁にか?)、ご批判というか
ご指摘のメッセージをいただく。
雑誌に在籍していたときも、たぶん一番もらっていたと思う。
どんなに理不尽なクレームでも、
会社ってのは大事にするもんなので、もみ消していたが(笑)
理由は?
“ノリ優先”に“おっちょこちょい”が加わるからだろう。
よく言えば、細部より文脈を大事する。
なので、リスクヘッジに目がいかない。
「おもしろい!」と思えば、
そのおもしろさを伝えることばかりに目がいってしまう。


僕の原稿には、校正さんや編集者からよく赤字が入る。
例えば、普通に「ポコチン」とか「ジジババ」とか書くと
「OK?」と書いてある(笑)
マリンちゃんを雑誌に初めて登場させたときも批判はあった。
ダメダメダイバーのマリンちゃんがショップにだまされたり、
減圧症になったりと2㌻に渡って紹介したとき、
「これはダイビングのネガティブキャンペーンか?」と
怒る人もいた。
全体で言いたいことを理解してほしいのだが。
まあ、そんなわけなので、ダイビングに関しても
いつも危険と安全の狭間で悩む。
例えば、和尚の衣装。
僕は「水中でも和尚だったらおもしろい!」と単純に思う。
しかし、社内だけでなく、読者やマイミクさんからも
「それは安全面でどうなんだ」とか、
「マネして事故が起きたらどうするんだ」という意見が出る。
“マネしないでください”と書くか。
「するか!」と総ツッコミされるだろうが(笑)
馬鹿らしい。そんなの自分で考えてくれ。と思ってしまう。
しかし、これも程度問題。
馬鹿らしいと自分でも自信を持っていえないこともある。
実例を挙げる。
今回、雲見の牛着岩の頂上に登って、
おもしろい絵が撮れたのだが、
もちろん、「危ない」、「マネしたらどうするんだ」
という意見が聞こえてくる。
本音を言えば、う〜ん知らねぇよなんだが、
メディアの人間なので、発信するからには責任があることは心得ているつもり。アメリカではアウトな気もする。
電化製品のように注意書きをするべきか。
「取材のため万全の態勢を整えています」とか
「足元を滑らせる危険性があります」とか。
そして、いつも批判が出るのがバブルリング。
これは雑誌のときから多い。
もちろん、理由は水中でレギュレーターを外すからだ。
講習では「何時もレギュレーターを口から外さない」と
言われているにもかかわらず、多くのガイドさんが
口からプカ〜とやる。
実際、禁止しているお店も少なからずある。
何でもかんでも安全だからいいのか。
なら、潜らなければいい。
ドリフトダイビングもケーブダイビングもやらない方がいい。
バブルリングは原始的だが、
ダイビングのおもしろさが詰まっていると僕は思う。
しかし、僕にも落ち度があった。
先達が“死なずにチャレンジャーであり続けるためには練習と準備しかない”と言っていたが、“準備”の部分を怠った。
正確にいうと、自分自身の準備は怠っていないが、
人に伝える立場の僕としては、“準備”の方法論を
示さなければならない。
バブルリングにはリスクがある。
鼻から水が入ってきやすいし、中層で浮きながらは危険。
初心者はマスクをつかみ、体を固定し、レギをつかんでおきんがらやらなければならない。
雑誌では注意書きを書くことの方が多いが、
mixiでは日記だからと書きはしなかった。
リングの楽しさを伝えたいと思っただけで、
リスクは自分で判断してくれと思っていたが、
確かに影響は少なくないし、そういう立場なのかも。
なので、必ず注意書きをかくことにする。
水中キスも同じようにレギをはずす指摘をされたことがある。
また、「息を吐き続けなくていいのか」とも。
詳しくは説明しないが、いいと思う。
実は僕が水中で一番好きなことは、
マイナス浮力にして素足になって砂地を歩くこと。
そして、バック転をしたり、根から根を飛んだり。
これは“重力と遊べる”のでとっても楽しい。
海を実感する瞬間だ。
そんなこと雑誌で書こうもんなら、
「フィンを脱ぐと流れにハマッタときに危険が……」とか
「砂地に生物がいないことを確認しておりますので……」など
注意書きが膨大になってしまうだろう。
危険と安全の狭間にある好奇心。
周りの空気から察するに、
僕は好奇心が暴走しがちなのかもしれない。
そこは自覚せねば。
※誹謗中傷でなければ、ご批判はウエルカムですよ。
いろいろ考えるきっかけになります。

\メルマガ会員募集中/

週に2回、今読んで欲しいオーシャナの記事をピックアップしてお届けします♪
メールアドレスを入力して簡単登録はこちらから↓↓

writer
PROFILE
法政大学アクアダイビング時にダイビングインストラクター資格を取得。
卒業後は、ダイビング誌の編集者として世界の海を行脚。
潜ったダイビングポイントは500を超え、夢は誰よりもいろんな海を潜ること。
ダイビング入門誌副編集長を経て、「ocean+α」を立ち上げ初代編集長に。

現在、フリーランスとして、ダイバーがより安全に楽しく潜るため、新しい選択肢を提供するため、
そして、ダイビング業界で働く人が幸せになれる環境を作るために、深海に潜伏して活動中。

〇詳細プロフィール/コンタクト
https://divingman.co.jp/profile/
〇NPOプロジェクトセーフダイブ
http://safedive.or.jp/
〇問い合わせ・連絡先
teraniku@gmail.com

■著書:「スキルアップ寺子屋」、「スキルアップ寺子屋NEO」
■DVD:「絶対☆ダイビングスキル10」、「奥義☆ダイビングスキル20」
■安全ダイビング提言集
http://safedive.or.jp/journal
  • facebook
  • twitter
FOLLOW