きれいなだけが海じゃない

今回の城ヶ島取材。
透明度は、表層はいわゆる“みそ汁”。1?先も見えない。
しかし、水深15?を越えると透明度は一気に良くなり、
15?先でも見える。この独特の海の感じが好き。
城ヶ島は、東京湾、相模湾からの潮に加え、
黒潮の影響も受けるなど潮の流れが複雑。
漁師さんでも読むのが難しいらしい。


おそらく、こんな複雑な潮の環境が潮の層を生み出すのだろう。
要するに、上の水と下の水でやってきたところが違うのだと思う。
伊豆でも下に行けばきれいなることはあるが、
ここまでハッキリした2層の海は2〜3回しか体験したことない。
しかし、城ヶ島は、
以前に潜ったときも同じような状況だったと記憶している。
上方はまるで天井のようで、
暗くて緑なのに透明度がいいという不思議な海。
当時の記事で“グラングリーン”というキャッチを使おうとして、
却下された記憶があるが、そんな感じ。
何だか、雲をつきぬけていくと宇宙というような感覚にドキドキする。
たぶん、ストレスってのもあるが……。
別世界にきた感じ。
生物に関しては、その豊富さもさることながら、
それより何よりガイドさんの力量にただただ感心。
ブリーフィングで、
ウミウシやハナタツ、イザリウオ、コケギンポについての
ミニ知識を教えてもらってから潜ってみると、
おもしろいのなんの。
これほどじっくり魚を見たのは久しぶりかも。
今回、ガイドをしてくれた倉リカさんは城ヶ島ひと筋10年以上。
もう職人と言っていい。
ただ知識があるだけでなく、例え方も上手い。
富戸の村井ちゃんとか八幡野の福ちゃんもそうだが、
その海ひと筋10年以上で、
本気で海と魚が好きなガイドさんと潜るのはおもしろい。
個人的には、同じお店でも料金違っていいと常々思う。
美容室のトップスタイリストは絶対に頼まないが、
トップガイドってのがあったら少々割高でも払ってもいい。
透明度が良くて大物の海だけがダイビングではないと改めて実感。
1週間前はモルディブに潜っていたが、
次元の違うところで同じくらいおもしろかった。
たったの5分の位置にある江ノ島に久しぶりに潜りたくなった。
【取材、はみ出しメモ】
?《城ヶ島ダイビングセンター》の看板犬・バディちゃん。
4時半の鐘で歌うのが趣味なの〜 このワンコすごいんです。
何がすごいって、たぶん世界で一匹のCカードホルダー。
強引にPADIに人間と同じような手続きで申請したら
発行されたらしい。PADIもなかなか粋だ。
確かにCカードがあった。
?ラブゲート
一見、ただのゲートだが……
このゲート、手をつないでくぐると恋が成就するとかしないとか。
8年前の取材時に、
センターの看板娘の晴海さんと手をつないだ写真を雑誌に掲載したが、
今回も久しぶりに晴海さんにお願いして一緒にくぐってもらった。
仕事で女子と手をつなげるなんて役得役得。
この時、意外な事実が判明。実は8年前に掲載したとき、
雑誌を見た晴海さんの彼が
「何、手なんかつないでんだ!」と激怒し、
大喧嘩したとか。全然、ラブゲートじゃない(笑)
?固まる支配人
今回、島を巡っているといい温泉を発見。
こりゃ撮影を交渉しようと思ったが、
そのときの格好は金ピカ和尚。
さすがにマズイと思ったが、時間がない。
仕方がないと温泉のあるホテルにアポなし交渉。
出てきた支配人は和尚を見て固まる。そりゃそうだ。
いつもは雑誌を見せて説明すればすぐに解決なのだが、
支配人が“絶対に触れてはいけない”モードになっていて、
顔は引きつっているのに平静を装っていて、
その反応があまりにもおもしろかったので、
こっちも普通に真顔で話してみる。
「ふう。今日は正装だからよけい暑くて……」
とパスを出してみる。
しかし、「あ、あはははは……」とやっぱり触れてこない。
ついに、交渉がまとまって帰り際になったときに、
「は、派手ですね……」と小さい声で聞いてきた。
なので、事情を説明すると、急にパァっと表情が明るくなって
「そうなんですか〜。変わった趣味の服だと思って〜」
とホッとした様子。
これが普段着だったらくるくるパーだってば(笑)
ってことで、取り急ぎ城ヶ島でした〜。

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PROFILE
法政大学アクアダイビング時にダイビングインストラクター資格を取得。
卒業後は、ダイビング誌の編集者として世界の海を行脚。
潜ったダイビングポイントは500を超え、夢は誰よりもいろんな海を潜ること。
ダイビング入門誌副編集長を経て、「ocean+α」を立ち上げ初代編集長に。

現在、フリーランスとして、ダイバーがより安全に楽しく潜るため、新しい選択肢を提供するため、
そして、ダイビング業界で働く人が幸せになれる環境を作るために、深海に潜伏して活動中。

〇詳細プロフィール/コンタクト
https://divingman.co.jp/profile/
〇NPOプロジェクトセーフダイブ
http://safedive.or.jp/
〇問い合わせ・連絡先
teraniku@gmail.com

■著書:「スキルアップ寺子屋」、「スキルアップ寺子屋NEO」
■DVD:「絶対☆ダイビングスキル10」、「奥義☆ダイビングスキル20」
■安全ダイビング提言集
http://safedive.or.jp/journal
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