ダイコンが壊れたらどうする? のtグレーゾーン

フリーダイビング講習、安良里での実験ダイビングと、
濃い伊豆行脚の3日間だった。
そして、いわゆる昔のドリカム状態の中村正人の気持ちも痛感(笑)。
そういえば、彼も天パだ。
和尚、実験中〜
フリーダイビング講習・ドキュメントは明日から日記で書くとして、
今日は安良里でのファンダイビング中のトラブルのお話。
しかし、なぜ、こうトラブルが多いのだろうか……。
確実にダイビングの神様に愛されていない。本気で何となくマズイ。
話を戻してトラブル。


結論から言えば、水中でダイコンが壊れてしまったのだ。
ガイドの中野さんが水深30㍍付近をずっと泳ぐので、
「今日は深いな〜」と思いつつ、
何とかデコが出ないように気をつけていたが、
さすがに1分の表示が出てしまったので、
“デコ出るまで1分なので、水深上げてください”とジェスチャー。
しかし、中野さんは不思議そうに首をひねり、
僕のダイコンを覗き込み驚いた表情を見せた後、
自分のダイコンを僕に見せる。
中野さんのノーデコタイムは40分以上。
僕はびっくりしてダイコンの水深を見ると、
中野さんの水深より10㍍も深い。頭上を見ると確かに30㍍もない。
そう、水深計がいかれてしまったのだ。
そりゃ、減圧停止の表示も出るわけだ。
同じ計算モデルの友人のスティンガと僕のモスキート
水深計が約10㍍違っている……
ここで問題。
水中でダイコンが壊れたらどうする?
ダイコンのマニュアルやダイビング関連の教材を見ると、
ほとんどが「すぐにダイビングを止めて浮上」とある。
しかし、これは現実的ではない。
雑誌でもこう書くしかないのだが、どうにも気持ち悪い。
実際にイントラやガイドの話を聞いても、
こういうケースでは自分より浅い水深で潜ることを前提に、
ダイビングを続けることをがほとんどなのだ。
現実的ではないが、
リスクを避けるためにもマニュアルではそう書くしかない。
まあ、マニュアルはそういう性質のものであっていいのだが。
法定速度40㌔の道路と同じことだろう。
ここで、例え話。
多くのダイバーが参加するパラオのツアー。
天候が悪かったが、最後の1本で憧れの「ブルーコーナー」でダイビング。
みんなのテンションは最高潮。エントリーして10分後。
いざギンガメ渦巻く夢の世界でドリフトダイビングを始めようとしたときに、
自分のダイコンがぶっ壊れる。
浮上しましょう!
言えますか?(笑)
さて、ここからは自分ならどうするかの話。
僕は以前から、ダイコンが壊れたケースの対処は明確に決めている。
まず、僕は長期ツアーと短期ツアーで異なる。
例えば、前回行ったモルディブツアーなどの長期ツアーの場合は、
ダイコンを2つ用意し、ひとつは腕に、
もうひとつはポケットかDリングなどにかけて一緒に潜っている。
このときは減圧モデルが同じのダイコンが理想なので、
僕はいつも友人のまこっちゃんからスティンガを強奪し(一緒に潜らないとき)、
自分のモスキートと併用している。
まこっちゃんのスティンガの方がカッコいいので、
モスキートをサブにして(笑)。
で、水中で壊れればサブをメインにするだけで問題解決。
長期ツアーの場合、それまでの窒素の蓄積が大事になるし、
事故ったときにダイコンを守ったかどうかも重要になるので。
しかし、日帰りや1泊などの短期ツアーの場合はダイコンひとつ。
壊れた場合は、自分の頭で考えることにしている。
そして、ここが重要だが、完全にオウンリスクと了承して潜る。
今回で言えば、みんなより浅い水深を意識して潜り、
2本目は20㍍にも行かない水深で、
1本目の水深とダイビング時間から導き出したテーブルの範囲内で潜った
(マニュアルでは、これもダメということになっているが)。
僕はこれで安全だと思っているし、
減圧症になっても誰のせいにするつもりもない。
そして、減圧症になったのはルール違反をしたからとも思わない。
要するに、ダイコン使用法の一般的ルールから外れるが、
より保守的な潜り方をする。
しかし、ルールを守らないことのリスクは負うということだ。
あとは、これを読んだダイバーが考えてくれればいい。
ポイントは減圧症やダイコンのことを理解することと、
自分の立ち位置を明確にするってこと。
ダイコンを1つしか持っていない人がほとんどだろうから、
一度、頭で整理しておくといいかもしれない。
しかし、自分がゲストではなく、
今後ゲストを連れてプロとしてやっていくってことになると、
やはり2つ付けなければいけないと今回の件で痛感。
財布は痛いが、ダイコンもう一個買います……。
自分のダイコンが壊れたケースはもちろん、
ゲストのダイコンが壊れたときに、
自分のサブを貸すのもありだと思っている。
なしという立場もありだと思うが。ややこしい。
僕はモルディブツアー中にダイコンが壊れたゲストに、
原理原則にのっとって「24時間ダイビング禁止」とすぐには言わないだろう。
そういう立ち位置。
もちろん、ガイドやイントラが1つしか持っていなければ仕方ないが、
逆にガイドやイントラが2つ持っているのが親切だと思ってします。
ルールから外れる以上、双方、ある程度のリスク
(体というより法的な)はあるので、
本人としっかり話をした上で、本人が望めば、
ダイコンを付けたときより保守的に潜った上で、
自分もリスクを負いつつ潜ればいいと思っている。
正しいかどうかはわからないが、
「ダイコンが壊れたらすぐに浮上」って指針が、
ちょっと手抜きというか、ズルイというか、そんな気がしてしまうのだ。
ということで、トラブルばかりのダイビング人生だが、
ダイビングの神様が、いろいろ考えろと言っているのかもしれない。
と、プラスに考えておこう。

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PROFILE
法政大学アクアダイビング時にダイビングインストラクター資格を取得。
卒業後は、ダイビング誌の編集者として世界の海を行脚。
潜ったダイビングポイントは500を超え、夢は誰よりもいろんな海を潜ること。
ダイビング入門誌副編集長を経て、「ocean+α」を立ち上げ初代編集長に。

現在、フリーランスとして、ダイバーがより安全に楽しく潜るため、新しい選択肢を提供するため、
そして、ダイビング業界で働く人が幸せになれる環境を作るために、深海に潜伏して活動中。

〇詳細プロフィール/コンタクト
https://divingman.co.jp/profile/
〇NPOプロジェクトセーフダイブ
http://safedive.or.jp/
〇問い合わせ・連絡先
teraniku@gmail.com

■著書:「スキルアップ寺子屋」、「スキルアップ寺子屋NEO」
■DVD:「絶対☆ダイビングスキル10」、「奥義☆ダイビングスキル20」
■安全ダイビング提言集
http://safedive.or.jp/journal
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