漂流
1月にパラオのペリリュー島で漂流したダイバーに話を聞く。
もちろん、無事だからこそ話が聞けたのだが、
その方の冷静な判断力に驚かされるとともに、彼の話は、
ダイバーにとって重要な心構えや装備に関する大事な教訓が多く含まれている。
彼が「漂流した」と感じた時点で考えたことをいくつか抜粋する。
■捜索は島周辺から行われ何本か潮があれば順に捜索される。
■ 以前にペリリューで遭難したダイバーがマニラに漂着した。
■日没は18:30である(前日ヤップでの日没がそうだった)。
■前日の夜、ヤップからコロールに向かう飛行機から見下ろした月は三日月だった(大潮)。
■低体温症が怖い(2人はスーツを着ていなかった)。
■陸上には5人を残してきており必ず事故に気がつき捜索が始まる。
■信頼できる仲間と一緒。
■夜になれば精神的に耐え難い。
■ペリリュー島まで約6㌔。
とにかく冷静。瞬時に、可能な限り情報を集めようと考えを巡らせている。
その後、彼らは潮の流れや速さなどを計算した上で、“島へ泳ぐ”という選択をする。
この選択に関しては、少し思うところはあるが、
自ら判断し行動している点はとにかくすばらしく、ダイバーの鏡だ。
話を聞いていて彼のような行動を取れるだろうか?と思う。
彼の話は合理的だが、同じように考え行動ができるダイバーは、
全体の1割にも満たないかもしれない。かくいう僕だって怪しいものだ。
ペリリュー島はちょくちょく流されることがあり、残念ながら死亡事故もある。
今回の漂流は、彼の話から考えれば、サービスのミスが大きいが、
いざ、漂流してしまったときはそんなことはどうでもよく、生き残るスキルが必要。
こちらも常に準備が必要なのだ。
その後、彼が送ってくれたレポートには僕らが実践できそうなことも多く含まれている。
例えば装備の話。スノーケルを持つことや南国でもフードベストをかぶる重要性など。
これは寺子屋でもよく言っているが、実際の漂流体験者の言葉になると説得力が違う。
ということで、
こういう貴重な体験は、読んでおくだけでも意味があると思います。
4月号か5月号の寺子屋で詳しく詳細する予定なので、ぜひご覧ください。