マリンレジャーの安全性向上や環境保全に取り組む沖縄の事業者の選び方

美しいサンゴ礁に囲まれた沖縄の海では、スクーバダイビングやスノーケリングをはじめ、さまざまなマリンアクティビティを楽しめる。しかし大勢の旅行客が押し寄せ、環境に配慮をせずに海遊びを行うことで、海には大きな負荷がかかってしまうという側面があるのも事実。また、沖縄県内の水難事故件数は、2021年度に過去10年間での最多を更新(94件)し安全性向上についても考える必要がある。素晴らしい海を10年後、20年後も安全に楽しみ、大切に守っていくために私たちができることはあるのだろうか?

沖縄県が実施している「マリンレジャー魅力向上促進事業」の一環として、本企画では「マリンレジャーの安全性向上や環境保全に取り組む事業者の選び方」について紹介し、皆様と考えていこうと思う。

観光客の増加で今、沖縄の海に起きている問題点とは

観光地として絶大な人気を誇る沖縄県。海で楽しむアクティビティは種類豊富で、多くの観光客の皆さんが楽しんでいる。特にスクーバダイビングやスノーケリングは、サンゴ礁の海にすむ生き物たちに出会え、沖縄の海の豊かさを体感できる人気のマリンアクティビティだ。

しかし、観光客の増加とともに、沖縄の海ではさまざまな問題が生じている。中でも懸念されるのが、安全性の問題だ。

●自分たちだけでスノーケリングをしていて、沖に流されて戻れなくなってしまった。
●正しい器材の使い方を習得していなかったために、水中でパニックを起こしてしまった。

など、一歩間違えば命を落とす危険があるトラブルに巻き込まれたという方は少なくない。

利用者の関心がもっとも高い項目も安全に関する取り組み(令和4年度沖縄県マリンレジャー魅力向上促進事業アンケートより)

利用者の関心がもっとも高い項目も安全に関する取り組み(令和4年度沖縄県マリンレジャー魅力向上促進事業アンケートより)

また海の生物、環境への影響も懸念される。オーバーツーリズムという言葉を聞いたことはあるだろうか? キャパシティを超えた観光客が一気に訪れることで、海の環境にはさまざまな悪影響がもたらされる。

●大勢の人が同じダイビングポイントに入ることで、今まで見られていた生物がいなくなってしまった。
●サンゴ礁のポイントでスキルが十分ではないダイバーが、無意識にサンゴを折ったり傷つけたりしてしまった。

もともとはサンゴが群生していたが、ガレ場になってしまった。一旦このようになると、復活するのには時間がかかる

もともとはサンゴが群生していたが、ガレ場になってしまった。一旦このようになると、復活するのには時間がかかる

このように、沖縄の海では安全性や環境保全の観点から、いろんな問題点が浮かび上がってきている。

「マリンレジャーの安全性向上や環境保全に取り組む沖縄の事業者の選び方」

沖縄県には1,500以上のマリンレジャー事業者がある。その中には前述したような問題について、安全性や環境保全への取り組みをしっかりと行っている事業者も多い。しかし残念ながら、取り組みをおろそかにしている事業者が存在することも確かだ。

そこで私たち沖縄を訪れる観光客側が心がけておきたいのが、「安全性向上や環境保全に取り組む事業者選び」をするということだ。どんな事業者のことかといえば、「10年後、20年後、その先も同じように沖縄の海を安全に持続可能に楽しんでいけるように考えて、取り組みを行っている事業者」といえる。

もちろん事業者を選ぶときに「料金が安い」「場所の利便性がよい」など、いくつかのポイントはあるだろう。また価格や立地条件などの目に見える情報では選択しやすくても、安全や環境保全への対策がどのようになっているのかまでは、なかなかわかりづらいのも確かだ。

そこでマリンレジャー事業者を選ぶ際におすすめしたいのが、これから紹介する2つの基準。ひとつ目は沖縄県公安委員会に、安全対策基準が満たされていると認定された「マル優事業者」。そしてもうひとつが、サンゴを守る取り組み「Green Fins」を導入している事業者だ。

沖縄県公認の「マル優事業者」

「マル優事業者」とは、沖縄県公安委員会が、マリンレジャーを提供するために最低限必要な安全対策基準が満たされていると認めたマリンレジャー事業者を認定する制度。スノーケリングやスクーバダイビングに関して、具体的にどのような基準が設けられているかを見てみよう。

安全対策基準
☑スノーケリング業
・資格要件を備えたスノーケリングガイドの配置
・スノーケリング器材の点検
・安全なスノーケリングができないおそれのある者に対するスノーケリングの禁止
・危険が生ずるおそれがある場所でのスノーケリングの禁止
・スノーケリング者の名簿の備付け及び保存
・スノーケリングガイド名簿の備付け
・事故発生時の警察への通報体制
・スノーケリング上の遵守事項の策定及び周知状況
・緊急連絡用の通信手段の整備
・救命浮輪及びロープまたは救命ボート及びロープの配備
・スノーケリングガイドに必要な知識及び能力の向上

☑潜水業(スクーバダイビング)
・資格要件を備えたガイドダイバーの配置
・ダイビング器材の点検
・潜水者の名簿の備付けや保存
・安全な潜水ができないおそれのある者に対する潜水の禁止
・危険が生じるおそれのある場所での潜水の禁止
・潜水者の名簿の備付け及び保存
・ガイドガイバーの名簿の備付け
・事故発生時の警察への通報体制
・潜水上の遵守事項の策定及び周知状況
・緊急連絡用の通信手段の整備
・救命浮輪及びロープまたは救命ボート及びロープの配備
・ガイドに必要な知識及び能力向上

これらの基準を見てわかるが、海で安全に遊ぶために必ず必要な安全対策だ。スクーバダイビングではガイドと潜ることは一般的だが、スノーケリングでガイドを利用することを考えていないという人は多いかもしれない。しかし沖縄県では、スノーケリングでの事故の増加の対策として、スノーケリングの場合もガイドと楽しむことを推奨している。

また自分たちだけで行う場合も、海況や天気などを事前に確認して安全な状況かを見極め、きちんと器材の使い方を習得したうえで楽しむように注意喚起している。

初めて沖縄でダイビングやスノーケリングをする人や、ビギナーの方は、特に安全性が保障された事業者を選ぶと、安心感を得られるのではないだろうか。

マル優事業者の一覧はこちら

サンゴを守る「Green Fins」導入事業者

「Green Fins(グリーン・フィンズ)」とは、サンゴ礁の生態系を保持するため、国連環境計画(UNEP)が始めた取り組みで、環境に優しいダイビング・スノーケリングの基準を定めている。

現在、沖縄・恩納村で10店舗ほどが「Green Fins」を導入し、認定店として活動している。これらの事業者を利用すればサンゴ礁への負荷をかけずに、楽しくダイビングやスノーケリングを楽しむことができる。具体的にどのような基準を設けているかを紹介しよう。

サンゴを守るうえでは、スノーケリングやスクーバダイビング中に、一人ひとりがサンゴを傷つけたり、壊したりしないように徹底的に意識することが大事だ。

「サンゴの上に立たない」「海底の砂や沈殿物を巻き上げない」「海洋生物を追いかけたり触れたりしない」といった基本的なことを守ること、そしてその取り組みを徹底している事業者を選ぶことで、環境保全につながるダイビングスタイルが身についていくはずだ。

また、Green Finsを導入している事業者では、環境にやさしいダイビングやスノーケリングのレクチャーだけでなく、なるべくごみが出ないように工夫するなど、環境負荷の少ない事業者の運営を行っている。つまり、そういった事業者を選ぶだけでも、自分の旅行中の環境負荷を減らすことにもつながるのだ。

日本国内のGreen Fins認定店はこちら

「安全性向上や環境保全に取り組む事業者選び」について紹介してきたが、いかがだったろうか。

たくさんあるマリンレジャー事業者の中から、安全性が高く、環境にも配慮した事業者を選ぶことは、ひと手間かかって面倒だと思う方もいるかもしれない。

しかし、消費者としてより質の高いもの、自分に合った商品を選ぶことは、普段私たちは普通に行っているはずだ。環境に配慮した洗剤を選んだり、安全性の高い食品を探したりするのと同様に、自分が安心できて、価値があると思えるものを選ぶことが大切だと思う。

沖縄でマリンレジャーを楽しむときも、そんな意識を持って「事業者選び」をしてみてはいかがだろうか。

Sponsored by 沖縄県マリンレジャー魅力向上促進事業

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