法令違反となる小型スクーバタンクの購入・使用に注意
手動で空気を充填でき、スクーバ器材を使用せずに海に潜れるといわれる小型のスクーバタンクが市場に現れ、その手軽さから近年注目を集めている。しかしその手軽さ故に法令違反になる可能性や使用時の危険性について、経済産業省が利用に関しての注意喚起を発表しているのをご存知だろうか。
法令違反になる可能性のあるスクーバタンク、関連器材
経済産業省のHPによると、近年ECサイトなどで販売されている、0.5~1リットル程度の大きさで、最大圧力20MPa程度の小型スキューバダイビング用タンク及びタンクへの詰め替えアダプターや手動ポンプなどが注意喚起の対象となっているようだ。
なぜ法令違反になるのか
現在、スキューバダイビング用タンクの日本国内での使用に関しては下記の条件が必要とされている。
・法令に定める検査に合格し、高圧ガス保安協会の刻印が打刻された容器・バルブを使用する
・一定の圧力を超えるガスを充填する場合は、都道府県への届出をする
・ガス種に応じた塗色、氏名・住所などの表示がされた容器を使用する
つまり、刻印などのないタンクを検査や届出なしで使用することや、無届けで高圧ガスの充填行為を行うこと自体が、日本国内では法令違反となるのだ。また、外面の色で区別ができるように内容物ごとに容器の色が定められている。空気を使用する場合は表面積の1/2以上が灰色のものと決まっており、赤や黄色といった違う色のタンクに空気を充填することはできない。
<参考:高圧ガス規制の例>
〇容器への充てんにあたり、一定圧力を超える高圧ガスとなる場合は、都道府県知事への届出及び技術基準の遵守が必要です。(高圧ガス保安法第5条第2項、第12条)
〇容器検査(附属品検査)に合格した容器(附属品)でなければ、譲渡・引き渡しをすることが原則的にできません。(高圧ガス保安法第44条第1項、第49条の2第1項)
〇高圧ガスを充てんしようとする場合は、その容器は以下に該当する必要があります。(高圧ガス保安法第48条第1項)
・容器検査及び容器再検査に合格した刻印等がされていること
・ガス種に応じた塗色や、氏名・住所等の表示がされていること
・附属品検査及び附属品再検査に合格した附属品が装置されていること。 等
https://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/oshirase/2020/08/20200821_kouatsu_1.html
※詳細については高圧ガス保安法令をご確認下さい。
▶︎高圧ガス保安法
必要な検査や正しく充填がされていないタンクを使用する場合、漏洩、破裂など重大な事故を引き起こす可能性がある。また、スキューバダイビングの知識なしに使用すると、肺の損傷など重篤な事故につながる危険性も無視できない。
すでに購入されている方へは充填されている空気を開放し、法令に則って廃棄することも推奨されている。ECサイトや、SNSで魅力的に紹介されているかもしれないが、簡易だからという理由で購入や使用を考えている方は、もう一度、自身の安全のためにも十分に考え直してから行動に移してほしいと願う。