「日本の海」水中フォトコンテスト2020入賞作品発表。審査員総評あり
昨年オーシャナでも取り上げた、日本政府観光局(JNTO)主催の『「日本の海」水中フォトコンテスト2020 ~世界がまだ知らない日本のダイビング~』の入賞作品が遂に決定した。入賞作品を選考するにあたり非常にハイレベルな作品が多すぎて、審査員の阿部 秀樹さん、堀口和重さんに「疲れた」とまで言わしめた今回の作品群をぜひチェック!
「日本の海」水中フォトコンテスト2020が開催。あなたの水中写真で、日本のダイビングの魅力を世界に発信しよう!
「日本の海」水中フォトコンテスト2020結果発表!
銅賞:パパは出産エキスパート
審査員コメント:ヒメタツの放仔(ほうし)の瞬間ですが、この撮影をするにあたり、熟知したダイビングガイドとの連携が欠かせません。その連係プレイを見事に表現した作品だと思います。
銀賞:Floating
審査員コメント:日本海の風物詩である一面に広がるミズクラゲ。その幻想的な光景を見事に表現している一枚だと思います。
金賞:survival
審査員コメント:サンゴの産卵だけではなく、日本の海の多様性が、寸分の隙もなく表現されている作品だと思います。露出、構図、ライティング、すべてにおいて卓越している技術を感じました。
▼入賞作品を全部見てみよう!
「日本の海」水中フォトコンテスト2020の入賞作品発表はこちら
審査員の阿部 秀樹さん、堀口和重さんから総評
審査員長:水中カメラマン 阿部 秀樹さん
今回、「日本の海」水中フォトコンテストに作品を応募して頂き、ありがとうございました。
「日本の海」審査員を拝命したことは私自身にとっても名誉なことです。ご存知のように日本は北から南まで、寒流から暖流、流氷からサンゴ礁、世界に類を見ない多種多様な海があります。私自身の取材の本拠地は国内全域ですから、その素晴らしいシーンを応募写真の中でいかんなく見させて頂いたのはなによりも嬉しいことです。
昨年春からの新型コロナ禍の影響で応募に陰りがあるのではと思いましたが日本の原風景や生態シーンなど想像を超える素晴らしい写真が多く、選考は”ワクワク、ドキドキ”良い意味で苦労が多い審査になりました。
入選作品の各々の選評は「日本の海フォトコン入選発表」を見て頂くとして、入選作品のどれもが日本の海の魅力を表現している秀作でした。
身近過ぎる自国の水中風景ですが今のコロナ禍を”吉”と考え、世界トップクラスの日本の海を再発見するのも良いのではないでしょうか。
●阿部 秀樹さんプロフィール
1957年神奈川県藤沢市に生まれる。流氷からサンゴ礁までの全てがそろう日本の海、その自然の姿や海とつながる人々の姿などを多角的に取材活動している。水中生物の繁殖行動の記録は百種以上にのぼり、浮遊系生物の撮影にも30年以上取り組んでいる。国内外の研究者との連携も多く国際的な評価も高い。映像でも自然番組の撮影・出演・コーディネートなど多数。仏映画「OCEANS」ではスチル写真も担当した。
審査員:水中カメラマン 堀口和重さん
日本の海フォトコンテストへの沢山のご応募ありがとうございました。今回のフォトコンテストは写真一つひとつの技術が非常に高く、前年以上に困難な審査が今も心に残っています。
特に印象に残ったのは、生態など一瞬を上手く捉えた作品が多かったことです。
そこまでの瞬間にたどり着くまでどれほど待ち続けたのか、その瞬間が訪れた時にどれだけ冷静な判断で撮影できたのかが、写真越しにグイグイと伝わってきました。
グランプリのサンゴの産卵とチョウチョウウオの捕食の写真も、その瞬間に対する気持ちやライティング技術の高さがひときわ目立つ素晴らしい1枚でした。
美しくも他とは違う海の表現、その一瞬にかける情熱、様々な角度からの日本の海の素晴らしさが伝わる作品が多い素晴らしいフォトコンテストだったと思います。
●堀口 和重さんプロフィール
日本を拠点に活動している水中カメラマン。カメラマンになる以前はダイビングガイドをしながら数々のフォトコンテストに入賞している。現在はダイビング・アウトドア・アクアリストなどの雑誌やウェブサイト、新聞などに記事や写真を掲載中。水中生物の図鑑や教科書にも写真提供している。昨年の「日本の海」水中フォトコンテスト 2019年の審査委員や今年の大瀬崎カレンダーフォトコンテスト2020の特別審査員にもなっている。近年は訪日ダイビングツーリズム促進を目的として NPO 法人、Japan Diving Experience としての活動も行っている。