[連載] ダイビングとは無縁な人生だと思っていたカナ・ヅチ子が、金槌エピソードを振り返る
泳げない、いわゆる金槌ながらもCカードを取得することができた初心者ダイバー 海南槌子(仮名 カナ・ヅチ子)。そんなカナ・ヅチ子(以下、ヅチ子)が、ハンマーヘッドシャークに出会い一緒に泳ぐという夢を叶えるまでの道のりを書き留める連載「一人前のダイバーになれるのか!?泳げない初心者ダイバー”カナ・ヅチ子”の奮闘月記」。海や泳ぐことに対してネガティブな印象がある方も一緒に楽しめるような、初心者だから感じるダイビングのアレコレを赤裸々に綴っていきたい。
第1話では、この連載が始まることになった経緯や、「ハンマーヘッドシャークと泳ぐ」という目標を決めたことを宣言した。そして、第2話目となる今回は、ヅチ子がそもそもどのくらい金槌なのかを知っていただけた方が、連載を進めていく上で一つの指標になるかなと思い、海や水に対して近づいてはいけない存在と思うきっかけとなった、ちょっぴり恥ずかしい金槌エピソードをお届け。
ヅチ子と同じで泳ぐのが苦手な方は似たような経験をしたことがあるであろう、はたまた、泳げる方は、嘘でしょ!? とあまり実感が湧かないかもしれない。共感いただくもよし、そんな馬鹿なと笑っていただくもよし。寝る前に歯を磨きながらでも、初心者ダイバーのちょっと恥ずかしい体験談をお楽しみくださいまし。
ヅチ子選りすぐりの代表的な金槌エピソードをご紹介
小学校のプールの授業で自分が泳げないということを痛感したヅチ子。でも、それはそこまで大した問題じゃないと思っていたし、泳がなくとも、ビーチの浅瀬で浸かるぐらいでも十分に海を楽しめた。しかし、生きていく中で何度か命の危機を感じる瞬間を経験してからは、海は舐めてはいけない存在だと思い知らされ、ダイビングなんか自分の人生とは絶対に無縁の存在だと信じきっていた…。
エピソード1:海で置いてきぼりになった高1の夏休み。
高校1年生の夏休み、地元の仲良し男女9人ぐらいで海水浴に行くことに。ヅチ子は愛知県出身で、あまりきれいな海がないこともあり、この時初めて友達と海水浴に行けることがとても楽しみだった。もちろん、金槌なので浮き輪をつけた状態で、ビーチボール遊びや水の掛け合い、波に揺られたりと水辺遊びを楽しんでいた。ちなみに、他のみんなは泳ぎが得意というわけではないが、人並みにはできていたのを記憶している。
夕方ごろには満潮となり、最初にいたはずの深さよりも水位が上がっていて、ライフセーバーのお兄さんも海水浴客に向け、岸に上がるように呼びかけ始めたのでみんなで岸に戻ることになったのだが、その時に事件は起きた。
浮き輪をつけていれば問題ないと思っていた私は、バタ足でみんなと同じペースで帰ろうとしていたのだが、おかしなことにどんどん距離が広がっていく。でも、あまりみんなに迷惑もかけたくなかったのもあり、まあゆっくりでも自分のペースでと思っていた。
ん?なんか、全然進んでない気がするのは私だけ?
私のバタ足どうなってんだよ!?
と頭で思っている頃にはみんな岸に上がって、私の帰りを待ってくれていた。後から聞いた話だが、全然戻ってこない、むしろ、遠くになっていくヅチ子。他の海水浴客も「あの子大丈夫?流されてない?」と心配していたらしい。
しかし、もう声も届かない距離感。半べそをかきながらとりあえず岸に進もうと頑張っていたら、一回岸まで戻ってクタクタであろう、女友達のくりちゃんが泳いで迎えにきてくれた。
くりちゃん「大丈夫〜?全然戻ってこないから、これはやばいと思って迎えにきたよ」。
ヅチ子「ありがど〜(泣)。ずいまぜん。バタ足じでるのに全然進まなぐで〜」。
くりちゃん「正直きついけど、じゃんけん負けちゃったからさ」。
え…、大事な友達(自分で言うなですが)が海で流されている中、あなた達はじゃんけんに負けた人が迎えにいくというやり取りを岸の上で繰り広げていたの? と迷惑かけているながらに、すごく悲しくなった。
私は陸に戻るやいなや、くりちゃんには心の底からありがとうを伝えるとともに、「じゃんけんで迎えに来る人決めたなんてひどい!」と残りのメンバーに伝えたところ、予想外の返答が。
「いや、お前のことだから、まだ海の上に残って遊んでたいんだと思って。そんなやつ迎えに行くのめんどいやん。じゃんけんしただけありがたいと思え!」。
私が必死にバタ足で岸を目指していたのに、友達からは海の上で1人漂って遊んでたい女に見えていたようだ…。
どちらにしても、私がみんなに心配をかけたことには間違いないし、浮き輪をつけていたとしても、海では進みたい方向にすら進めないんだと気づくことにも。これからは浮き輪をつけていても、足がつかない場所にはもう行かないんだからと心に誓った出来事であった。
エピソード2:海外のプールを舐めていた!高2の苦い留学体験
2つ目のエピソードは、高校2年生にブラジル留学していた時の話。留学生友達やホストシスターたちと、ブラジル北部セアラ州にある、崖と海の風景で有名な人気観光スポット「モーホ・ブランコ」に遊びに行った時のお話。
その日は、宿泊するアパートに付いているプールで水中鬼ごっこをすることに。「まあ、泳げないけどプールだったら大丈夫だろう。」違う国の人たちと言葉の壁を越えて楽しみたかった私ヅチ子は、そんな浅はかな気持ちで、泳げないことを他の人に隠して鬼ごっこに挑むことにした。
しかし、そのプールには大きな落とし穴があった。アパートのプールだしそんなに深くないだろうと思っていたら、なんのなんの。深さが3メートルぐらいあったのだ。さすが海外のサイズ感。予想外すぎて一瞬泳げないことを伝えるか迷っていたが、その頃にはもうじゃんけんを終え、鬼ごっこがスタートし始めていた。
とりあえず、沈んでいかないように片手をプールサイドに置いて、プールの端をひたすら移動し続けてしのいでいた。が、そんなの狙われるに決まっている(笑)。とうとうヅチ子が鬼になりみんなを追いかける番。悔しいことにみんな泳ぐのが上手で移動が早い。もう、どうなるかわからないけどやるしかない!とプールサイドから手を離して自分なりの平泳ぎや犬かきをして泳いでみた。
お!意外と泳げた!となるはずもなく、ブラックホールに吸い込まれていくかのように、鬼であるヅチ子はプールの中に沈んで行きました。しかも、水を飲んでしまい溺れかけ。
友達に助けてもらい無事でしたが、その時から、深さに対する恐怖を感じるようになってしまいました。
みんなから「なんで泳げないこと言わなかったの!プールサイドで休んで。」って優しい声をかけてもらったが、その後、水中鬼ごっこで盛り上がるみんなをプールサイドのベンチで眺めているだけのなんとも面白くない時間がとても悲しかった。今でも鮮明に思えているぐらい、泳げないことで命の危機と惨めな思いを同時に味わった恥ずかしい出来事でした。度を超えた強がりは良くないですね。
2つのエピソード、いかがでしたか?当時のことを思い出しながら書いたヅチ子自身、意外と大きくなってからのエピソードで「バカな高校生だな」と他人事のように失笑しました。
それはさておき、ヅチ子は正真正銘の金槌ということがおわかりいただけたでしょか。このレベル感を踏まえて、今後のハンマーヘッドシャークに出会うまでの連載を読んでいただけると、より、ヅチ子のレベルアップ具合が目に見えてわかっていただけるかなと。
次回は、「ダイビングとは無縁な人生を送る予定だった私が、ダイビングをはじめるまで」をお届けします。
Cカードを取得する前に、沖縄で初めてダイビングを体験した時の感動と恐怖の気持ちなど、金槌の方が気になるポイントを押さえながら、その時の感情を細かくお話ししていきます。是非お楽しみに。
それではまた次回。
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- 泳げない初心者ダイバー、いつかハンマーヘッドシャークと一緒に泳ぐってよ。
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