ウミガメが直面するプラスチック問題。原因と解決策とは?

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ウミガメが直面するプラスチックごみ問題

ウミガメを含む長寿の海洋生物は、海洋プラスチック汚染の影響を最も受けやすい存在。なぜなら、生涯にわたって膨大な量のプラスチックを接触するリスクが高いからだ。

漂流するプラスチックごみや廃棄された漁具に身体を絡め取られ、溺死するケースが後を絶たない。また、クラゲなどの餌をプラスチック製品と間違えて飲み込むことで、消化管の詰まりや破裂が起き、死に至る例も数え上げるときりが無いほど発生している。

ウミガメの胃からは、ビニール、レジ袋、歯ブラシ、ライターなど、私たちの日常生活で使われるあらゆるプラスチックゴミが検出されている。マイクロプラスチックの摂取も多くみられ、将来的な健康被害が危惧される状況でもある。ウミガメにとってプラスチックは、生存そのものを左右する重大な脅威なのだ。

浮遊するビニール袋とウミガメ Photo by adobe stock

ウミガメがプラスチックを誤飲する理由

美味しそうな匂いが原因

今まで、誤食の原因は透明または半透明のプラスチック製品を、自然界での餌であるクラゲや他のゼラチン質の生物と見分けがつきにくいからという説があった。しかし、2020年に発表された、ウミガメの調査と保護を行うCaretta Research Project(カレッタリサーチプロジェクト)の研究員らの研究結果から、ウミガメがプラスチックごみを食べてしまうのは、海を漂うプラスチックに付着する藻類や微生物の臭いが原因ということが明らかになった。藻類もまたウミガメの餌であり、その匂いで餌と認識していたということだ。

このように、ウミガメがプラスチックを誤飲する現象は、海洋プラスチック汚染の深刻な副作用の一つであり、生態系全体に影響を及ぼす可能性がある。海洋プラスチック汚染が進むにつれて、ウミガメがプラスチックを誤飲する確率は高まり、その結果、消化管の障害や栄養不足、内分泌系の乱れなど、健康上の深刻な問題に直面することに繋がる。ウミガメの保護と海洋環境の改善に向けた取り組みは、これらの問題に対処するために不可欠なのだ。

海を漂うプラスチックごみと魚 Photo by Unsplash, Naja Bertolt Jensen

【衝撃映像】ダイビング中に遭遇したウミガメのお尻から出てきたものは……!?

ウミガメだけじゃない。他の生き物にも広がる被害

海洋プラスチック汚染の影響は、ウミガメ以外の生物種にも及んでいる。クジラ、イルカ、アザラシなどの大型哺乳類、アホウドリやカモメなどの海鳥類もまた、深刻な被害に晒されている。

これらの生物の胃からも大量のプラスチックゴミが検出されており、物理的な障害だけでなく、有害化学物質による健康への影響が危惧されている。プラスチックごみを餌と間違えることで栄養失調に陥り、生存競争に敗れる個体も出てきている。海洋生物にとってプラスチックは、避けて通れない死の危険だといえる。

網に締め付けられるアザラシ Photo by Unsplash, Brian Yurasits

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PROFILE
奄美在住。高校生の時にブラジル留学を経験。泳ぐのが苦手で海とは縁がない人生だと思っていたが、オーシャナとの出会いを通じてOWD(BSAC)を取得。オーシャナを通じ、環境問題や海のことについて勉強中。
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