ベビーラッシュの3月が狙い目!ダイバーのアイドル ‟ダンゴウオ”の探し方

ダンゴウオの画像

まんまるボディにくりくりお目め、そしてぽってりとしたタラコ唇がチャームポイントの「ダンゴウオ」。彼らと会うには、繁殖~産卵〜孵化(ハッチアウト)の時期に当たる冬から春にかけてが一大チャンス!

ただし、大きさは成魚でも2cmほど、幼体となると2mmくらいと小さいため、やみくもに探しても見つからないかも。

そこで、サクラダンゴウオ(※1)がたくさん生息することで有名な鳥取県・田後(たじり)にてダイビングサービス「ブルーライン田後」を営む山崎英治氏に「ダンゴウオの探し方」(※2)についてお伺いした。皆様がダンゴウオとの素敵な出会いに恵まれますように!

(※1)田後エリアや日本海側に生息する。太平洋側に生息する「ダンゴウオ」とは別種とされている。
(※2)本記事では便宜上、「ダンゴウオ」として統一。田後に生息する「サクラダンゴウオ」の説明部分のみ、サクラダンゴウオと明記。

ダンゴウオはどう探せばいいの?

ダンゴウオの画像

提供/ブルーライン田後

「ダンゴウオの探し方を教えてください」とオーシャナ編集部から質問を受けましたが、ダンゴウオを探すコツはいくつかあるので、田後のサクラダンゴウオについてひとつずつ説明していきますね。

ダンゴウオのシーズンを把握する

一年の中で、各エリアでダンゴウオが活発になるシーズンを把握しておけば、それに合わせて潜るだけで遭遇確率は上がります。

私がダイビングサービスを営む鳥取・田後の海は、3〜4月に生まれたばかりのサクラダンゴウオの幼魚たちでとくに賑わいます。

サクラダンゴウオの画像

サクラダンゴウオの幼魚たち(幼稚園と言われてます) 提供/ブルーライン田後

幼体の時にしか現れない頭の模様が、まるで天使の輪っかのようなので‟天使のダンゴウオ”とも呼ばれてダイバーにも人気ですよね。

多い時には1ダイブにつき数えると数十匹の幼魚たちが見られるので、必ず見たいならこの時期がオススメです。

この子たちが水温の上昇とともに育って、成体になるのはおおよそ6月くらいでしょうか。
幼魚にこだわらないのなら、6月くらいまでを狙ってダイビングしても(5月中旬以降はナイトダイビングで観察するのがオススメ)。

サクラダンゴウオの画像

成体のサクラダンゴウオ 提供/ブルーライン田後

そのあとは、夏から秋にかけて姿が見られなくなるので、サクラダンゴウオのオフシーズンにあたります。この時期どこに行っちゃうんでしょうか?僕の勝手な個人的予想では、もしかしたら穴の奥の方で冬眠の反対の夏眠してるんじゃないかと…。

そして11~12月頃からまた姿を見せるように。繁殖のために活動が活発になるのでしょう。この時に現れる子たちは、おそらく今年の3〜4月に生まれ育った子たちかと思われます。次の親候補ですね。

サクラダンゴウオの抱卵

提供/ブルーライン田後

年が明けて1〜2月頃になると、おそらく抱卵のために岩に開いた穴などに隠れるため、姿が見えなくなります。この時期はなかなか見つかりにくいです。

そして、3〜4月になると卵からハッチアウト(孵化)する。これがダンゴウオの一年です。

これはあくまで田後の海の話なので、別エリアで潜られる際は、その海に精通した現地ガイドの方に聞いてシーズンを把握したほうがいいでしょう。

ダンゴウオを探すのにオススメな時期まとめ

~田後エリアのサクラダンゴウオのシーズン~
1、孵化〜ダンゴウオ幼魚で海が賑わう3〜4月頃
2、幼魚~成体になる6月ぐらいまで(ナイトダイビングもオススメ)
3、繁殖のために活動が活発になる12月頃

潜る前に色や形、大きさをイメージしておく

ダンゴウオの大きさは成体でも約2cmで、幼体となると約2mmとかなりの小ささですので、広い海の中でいきなり探すのは難しいと思います。

そこで重要なのが、潜る前に‟これから海で見るであろうダンゴウオ”の姿やサイズ感を脳内にしっかりイメージしておくことです。初めての方やフォト派向けに実寸大のサクラダンゴウオ幼魚のフィギアを自社作成してブリーフィングしています(笑)。

実寸大のサクラダンゴウオ幼魚のフィギアの画像

実寸大のサクラダンゴウオ幼魚のフィギア 提供/ブルーライン田後

大きさが2cmなら、実際にメジャーで2cmを測って正確に想像しておくとか、色についても生息するエリアや、成体か幼体かによって違ってくるので、自分がダイビングをするエリアにどんな色のダンゴウオがいるのか事前に聞いておくといいと思います。

ダンゴウオの生態を理解して、生活圏内を探す

田後のサクラダンゴウオは、クロメという海藻にピトッと張り付いていることが多いので海藻の上を探すとよいでしょう。

サクラダンゴウオの画像

お腹にある吸盤で海藻や岩、時には砂の上にピトッとはりついている姿は、なんとも愛らしい 提供/ブルーライン田後

一度張り付いてしまえば、時化や嵐で海中がかき混ぜられない限り、同じ場所にずっといることが多いため、すでに見つけた人の話を聞くのも有効です。

また、ダンゴウオは自分の身を守るために擬態するのが得意。海藻に擬態していると事前に理解していれば、注意深く探せますよね。

ダンゴウオの画像

クロメの上や岩の上など、その場所に合った色に擬態する。写真は岩肌の色に上手に擬態したダンゴウオ 提供/ブルーライン田後

インストラクターやガイドのアドバイス・現地情報に頼る

以前、関東のショップガイドさんから聞いた話ですが、「関東では潮当たりが強いところにダンゴウオがいる」らしいんです。でも、田後はそうじゃなかったり。生息する水深も、田後は10~15m前後の水深が多いですが、地域性があるようです。

なので、引率してくれるインストラクターやガイドからのダンゴウオ探しのアドバイスに頼りましょう。また、現地ダイビングショップ、サービスが発信している情報の収集も欠かさずにしておけば、遭遇確率も上がるはずです。

おまけ:「ヤマザキ春のダンゴ祭り2022」について

田後でサクラダンゴウオを見つけた人には、先着100名に白いお皿をプレゼントするお祭りを毎年開催しています。今シーズン初めて発見されたダンゴウオは2021年12月6日だったので、その日からお祭りをスタートしています。例年だと6月下旬あたりまで開催しています。

サクラダンゴウオの画像

12月6日に田後のダイビングポイント「ゴイシワラ」で発見されたサクラダンゴウオ 提供/ブルーライン田後

某製パン会社さまが毎年春に行う販促キャンペーンになぞらえてプレゼントしている白いお皿は、お客さまからけっこうご好評いただいています(笑)。

毎年通ってくれる常連さんの中には「家族分集まった~!」という方もいて、盛り上がっていますので、ぜひ遊びに来てお皿をゲットしてくださいね。

ヤマザキ春のダンゴ祭り2022にてプレゼントされるお皿の画像

ワンシーズン1人1枚まで。山崎氏は、この頃になると本家に敬意を表してパンを食べることが多くなるとか。

ダンゴウオを探すのがさらに楽しくなりそうな「ヤマザキ春のダンゴ祭り2022」。ぜひ参加してみたいものですね。

ブルーライン田後(たじり)

ブルーライン田後の山崎氏の画像

ブルーライン田後の山崎氏(右)

「地元の海でダイビングショップを開きたい!」との思いから、地元出身の山崎英治氏が日本海に面する鳥取県の田後にオープンした現地ダイビングサービス。

2010年にオープンしてから現在に至るまで、ダンゴウオをはじめ、生物のデータも揃い踏み。多岐にわたるリクエストに応えてくれる。

日本海の撮影ガイドも多く引き受け、NHK取材班とはタツノオトシゴの貴重な交接シーンの撮影にも成功。

施設、港、ダイビングポイントとコンパクトにまとまっており、ダイバーが過ごしやすい施設も整っているので、一日を快適に過ごすことができるはず。潜った後に浴びるシャワーの水圧は必見です!!!

山崎氏:「スタッフものんびりとした田後の雰囲気を大切に、日々の喧騒を忘れて、思いっきり海を満喫して頂けるよう心がけています。ゆったりした時間の中で、マイペースに海遊びを楽しんでください」

ブルーライン田後

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