1万匹の魚群と白の洞窟! ダイバーが熱狂する南大東島の冒険ダイビング
沖縄のダイビングポイントで世界に誇れる場所はどこだろうか?
多くの外国人ダイバーが訪れる与那国島の海底遺跡とハンマーヘッドシャーク、マンタとの遭遇率が高い石垣島・西表島、ワイド派に人気の宮古島の地形ダイビング、そして抜群の透明度で人々を魅了する慶良間諸島などが候補にあがるだろう。
これらの沖縄離島ダイビングの「王道」を制覇したダイバーには、次なる冒険として新たなポイントを提案したい。
久米島、伊江島、多良間島、伊平屋島など、ダイビングサービスがある離島はいくつかあるが、今回オーシャナが特におすすめする場所は、沖縄本島から約360km離れた南大東島。
![平坦な南大東島の海岸をドローンで空撮](https://oceana.ne.jp/wordpress/wp-content/uploads/2024/12/Minamidaito-drone.webp)
平坦な南大東島の海岸線
人間が住み始めたのが1900年、そして現在のダイビングサービスが本格的に営業を開始したのが2023年と歴史の浅い島だ。周囲の水深が2,000mを超える独立峰のような孤島で、「太平洋で最も美しい海水」とも称されている。
未開拓のエリアが多く残るこの島は、世界中のダイバーの冒険心をくすぐる、新たなアドベンチャーダイブの聖地となるポテンシャルを十分に秘めている。
今回は、ocean+αで2シーズン目の取材を行った南大東島で注目を集めるダイビングポイントを2つ紹介する。
魚群・大物狙いの「塩屋のハナ」と、稀有な地形を楽しめる「ホワイトホール」。この2ヶ所をダイバーたちの脳裏に刻みたい。
南大東島のビッグポイント
塩屋のハナ
![横縞が特徴のインドオキアジ](https://oceana.ne.jp/wordpress/wp-content/uploads/2024/12/Minamidaito-Shioya-1.webp)
横縞が特徴のインドオキアジ
南大東島の南西部に位置する潮通しの良いコーナーで、水深35〜40mをドリフトダイビングで潜るポイント。
メインの見どころは1万匹を超えるインドオキアジの群れと、それを狙って集結するグレイリーフシャーク(オグロメジロザメ)、2m級のイソマグロやカスリハタが垂涎物だ。
潜降するとすぐに海底に群れるインドオキアジが見えてくる。水深50m付近で見られると言われており、体長は約40cm。この魚は非常に美味なアジらしい。サメもマグロも大好物なのだろう。
潮の流れが弱い時は群れが散ってしまうこともあるが、流れがある時はダイバーの至近距離を大群が通り抜ける光景を楽しむことができる。見慣れない中型のアジが数万匹も群れる景色は、パラオにも勝る迫力だ。
![南大東島の巨大な海綿とインドオキアジ](https://oceana.ne.jp/wordpress/wp-content/uploads/2024/12/Minamidaito-Shioya-2.webp)
巨大な海綿とインドオキアジ
また、このエリアはフラットな地形に南大東島特有の巨大な海綿(カイメン)が点在しているのも見どころ。
6億年前から地球に存在する海綿は、海水を吸い込み浄化する役割を持つとされる。いつも美しいボロジノブルーをありがとう、海綿。
![追いかけずに撮影すればインドオキアジ達はかなり近くを通過していく](https://oceana.ne.jp/wordpress/wp-content/uploads/2024/12/Minamidaito-Shioya-3.webp)
追いかけずに撮影すればインドオキアジ達はかなり近くを通過していく。GoProなど広角レンズのアクションカメラでの動画撮影も十分に楽しめる
![インドオキアジの光る体を理想的に表現したい](https://oceana.ne.jp/wordpress/wp-content/uploads/2024/12/Minamidaito-Shioya-4.webp)
時には近すぎてストロボの光量調整が間に合わないことも。何度もチャレンジし、インドオキアジの光る体を理想的に表現したい
海底にそびえ立つ隆起環礁の南大東島は潮がぶつかることで湧昇流を生み出し、深層の栄養豊富な海水が湧き上がり、多くの魚が集まる。
しかし、夏でも深場の水温は25℃以下になることがあるため、ウエットスーツは慎重に選択しよう。
また、透明度が良すぎる島なので、エントリーしてすぐ海底が確認でき、水底からも海面が見える。深さを錯覚しやすいのでNDLには注意しよう。
減圧症になってしまった場合、沖縄本島まで戻らないと高気圧酸素治療が受けられないため、南大東島では徹底したダイブプランの管理とダイバー自身の自己管理が求められる。
冒険心を掻きたてる、南大東島が誇る地形ポイント
ホワイトホール
![南大東島のホワイトホールは宇宙空間のような洞窟ダイブ](https://oceana.ne.jp/wordpress/wp-content/uploads/2024/12/White-hole.webp)
まるで宇宙空間のような洞窟ダイブ
南大東島に新たに発見された「ホワイトホール」は、まるで地球の内部を探検するような冒険心を掻き立てるポイントである。
島内の2つのダイビングサービスが協力して発見したこの場所は、他にはない独特の地形と神秘的な光景が広がっている。
ホワイトホールへの入り口は、水深20m地点にあるトンネル状の海底洞窟である。隆起サンゴの地形が特徴的で、洞窟の外に広がる青い海と、内部の白い岩肌との変化が非常に美しいポイントだ。
南大東島の地下には鍾乳洞や地底湖が200ヶ所以上あり、島に降った水は地下を巡って海に流れ出ている。その淡水の出口の1つだと思われる。
![南大東島の水中洞窟の外に広がるブルーが美しい](https://oceana.ne.jp/wordpress/wp-content/uploads/2024/12/Minamidaito-White1.webp)
隆起サンゴでできた宮古島や伊江島と同様に、水中の地形はサンゴの岩壁と堆積した砂地という環境だ。洞窟の外に広がるブルーが美しい
![洞窟内に住む南大東島のホウセキキントキは侵入者を恐れずに堂々と生きている](https://oceana.ne.jp/wordpress/wp-content/uploads/2024/12/Minamidaito-White2.webp)
洞窟内に住む南大東島のホウセキキントキは侵入者を恐れずに堂々と生きている。大光量の水中ライトで照らされてもあまり逃げず、顔の前を横切っていくこともあった。要素が少ない水中洞窟内で、真っ赤な体色の魚は被写体としてのアクセントにちょうどいい
![南大東島の水中洞窟にカノコイセエビ](https://oceana.ne.jp/wordpress/wp-content/uploads/2024/12/Minamidaito-White4.webp)
洞窟の奥に進むにつれて、カノコイセエビの姿が増えてくる。侵入者を拒むように悠然と待ち構えていた
![南大東島のイセエビとダイバー](https://oceana.ne.jp/wordpress/wp-content/uploads/2024/12/Minamidaito-White3.webp)
イセエビは威嚇することも逃げ回ることもなく、とぼとぼ歩いてその場を去り、道をゆずってくれた
このあたりから真っ暗な環境になり、サンゴも藻類も生息せず、岩肌が白い石灰岩の姿に変化していく。
ホワイトホールを泳ぎ進んでいくと大きくカーブして、上に向かって洞窟が続く。中性浮力とフィンキックのコントロールが難しいが、水が澄んでおりとても透視度が高いので安心して進むことができる。
![真っ白な石灰岩の水中洞窟](https://oceana.ne.jp/wordpress/wp-content/uploads/2024/12/Minamidaito-White5.webp)
このように付着物がまったく存在しない岩壁は珍しい。まるでコンクリートの建築物のような真っ白な石灰岩の姿が特徴だ
水深が浅くなるにつれて島の地下から流れ出る淡水の層に突入し、洞窟の中ほどでは、淡水と海水の境界線「ハロクライン」が出現する。
メキシコのセノーテで知られるこの現象が、南大東島の海でも見られるのは驚きである。
ハロクラインを通り抜けると、淡水と海水が混ざり、視界がぼんやりと揺らぎ、先を進むガイドの姿も見えなくなることがある。しかし、このハロクラインを抜けると淡水域に到達し、さらに澄み切った視界が広がる。
![淡水層と海水層の境界線「ハロクライン」](https://oceana.ne.jp/wordpress/wp-content/uploads/2024/12/Minamidaito-White6.webp)
淡水が海に流れ込むことで2つの塩分濃度の違う水が混ざり合う。その淡水層と海水層の境界線「ハロクライン」
洞窟の奥へ進むと、生物がほとんど存在せず、岩壁と水以外に藻類や砂すら見られない。真っ白な壁と水だけで構成されるミニマルな光景は、他のダイビングポイントでは体験できない異世界のような雰囲気である。
まるで固まった粉洗剤のように真っ白で、このポイントを潜ると、器材の汚れが落ちてしまいそうな感覚すら覚えるほど。
11月の海水温は26〜27℃あったが、この淡水層は水温が24℃だった。短時間なので震えるほどではないが、寒がりダイバーはフードを被った方がいいかもしれない。天井に頭をぶつけるリスクからも保護することができる。
![固まった粉洗剤のような岩壁](https://oceana.ne.jp/wordpress/wp-content/uploads/2024/12/Minamidaito-White7.webp)
固まった粉洗剤のような岩壁
洞窟の終盤では水深が浅くなり、最終的にエアドームへ浮上することができる。ただし、この通路は人ひとり分の幅しかなく、カメラ機材などを通すのは難しい場合がある。
今回は断念したものの、この先にはさらに魅力的な光景が広がっているのかもしれない。
![南大東島の水中洞窟「ホワイトホール」の出口](https://oceana.ne.jp/wordpress/wp-content/uploads/2024/12/Minamidaito-White8.webp)
ホワイトホールの出口
Uターンして再び来た道を戻ると、海水域に戻る。暖かい水が体を包み込み、再びボロジノブルーの海に出る瞬間は感動的だ。
この洞窟ダイビングは、ホワイトホール独自の地形や光景を存分に堪能できる特別な体験である。
![ホワイトホールの外は美しい砂紋の砂地が広がる](https://oceana.ne.jp/wordpress/wp-content/uploads/2024/12/Minamidaito-White9.webp)
ホワイトホールの外は美しい砂紋の砂地が広がる
また、洞窟から外に出る際には、大きなパラオハマサンゴや砂紋の広がる美しい砂地も見どころである。
安全停止前には巨大なナポレオンフィッシュが登場し、このダイブの締めくくりとして最高の瞬間を楽しむことができた。
ホワイトホールは、地形好きなダイバーにとって必見のポイントであり、まさに南大東島ならではの冒険心をくすぐる場所だ。
![南大東島のパラオハマサンゴの群生](https://oceana.ne.jp/wordpress/wp-content/uploads/2024/12/Minamidaito-White10.webp)
パラオハマサンゴの群生
前回の南大東島ダイビング紹介記事でも触れたように、現在、島の地下にある地底湖や鍾乳洞をテクニカルダイバーが開拓している。
このホワイトホールを陸側から潜るような「地底湖から海へ抜ける洞窟」を発見する日が来るかもしれない。
Sponsorede by 南大東島のダイビングショップ「BORODINOダイブ」
![南大東島のボロジノDIVE](https://oceana.ne.jp/wordpress/wp-content/uploads/2024/12/Minamidaito-White11.webp)
ボロジノDIVEのゲストは島内在住のダイバーも多い
今回ダイビングと宿泊のセットでお世話になったのは南大東島で生まれ育った素潜り漁師がオーナーガイドのダイビングショップ「ボロジノDIVE」。絶海の孤島、南大東島を拠点に、北大東島の遠征ダイブまで自社船で案内をしてくれる。
一人旅からグループ旅行まで対応可能な5棟の宿泊施設が2024年に完成し、国内のダイバーから海外のダイバーまで訪れている。
ファンダイビング料金
2ボートダイブ 20,000円
3ボートダイブ 26,000円
器材レンタル料金
フルレンタル 5,000円
重器材セットレンタル 3,000円
軽器材セットレンタル 1,500円
ウェットスーツレンタル 1,500円
ダイブコンピューターレンタル 1,500円
宿泊料金
コテージタイプ(一棟貸し 4名様まで)
25,000円/1棟
コンテナタイプ(1部屋2名様まで)
6,000円/1名
ダイビング&宿泊セット割引
コテージタイプ
1日の合計料金から5,000円割引
コンテナタイプ
1日の合計料金から1,000円割引
ダイバー向けの割引があるので、4名のグループで宿泊とダイビングを予約すれば、1人あたりの宿泊代は5,000円になる。飛行機代が割高な分、宿泊費を抑えられるのはありがたい。メンバーを集って潜りに行けば、ダイビング後はテラスでのバーベキューも盛り上がるだろう。
![南大東島の一棟貸し宿泊施設](https://oceana.ne.jp/wordpress/wp-content/uploads/2024/12/Corazon-Resort.webp)
カップルやグループにおすすめの一棟貸しコテージ
初めてご利用する方は、航空券やフェリーの予約をする前にまずはダイビングショップWebサイトのお問い合わせフォーム、InstagramのDMやLINEで相談しよう。空き日程はもちろん、島の観光や食事も含めておすすめのプランを紹介してくれるだろう。