ゲージへの優しさも、お財布と自分への優しさ~続・オーバーホールの達人に聞く!プチ裏技~
先日ご紹介した器材のケアに関する記事。
大変好評でしたので、再びオーバーホールの専門店「アイバディ」の
園田万伍当(ソノダマコト)さんに、器材を長持ちさせるプチ裏技をお聞きしました。
元マツダ勤務で自動車整備士資格を持つことからもわかるように、
もともと機械いじりは大の得意。好きが高じて、ショップ経営後、
2006年にオーバーホール専門店《アイバディ》を設立。オーバーホール歴13年。
ゲージを長持ちさせるプチ裏技
ゲージ、特に残圧計のケアを怠るとどうなるのでしょうか?
こんなことになります。
こんなこと:結露
炎天下に器材がさらされたゲージは外気温で熱を持ち、
そのまま海へ入ると一気に水温が下がって結露してしまうというわけです。
「特に金属製のゲージは熱伝導率が高いので結露しやすいです。
結露は残圧計の針を腐らす原因にもなりかねません。
逆に樹脂製のゲージは結露しにくいのですが、
一度結露して水滴が発生すると熱が入りにくいので乾きにくいです」
と、いずれにせよゲージの大敵は水滴だと指摘する園田さん。
では、どうやったら防げるのでしょうか?
「直射日光が当たらないように、
ゲージをBCのポケットに入れたり、タオルなんかで巻いておくだけでも長持ちします。
保管の際は、やはり直射日光を避け、風通しのよい日陰というのが基本です。
日射しの強い南国では特にオススメします」
予防の方法は至ってシンプル。誰でもすぐにできそうですが、
意外と実践している人は見かけません。
また、こんなトラブルもあります。
こんなトラブル:水没
原因は“外部からの衝撃”。
「衝撃が加わることで、中の管(ブルドン管)に亀裂が生じたり
小さな穴が開いて、文字盤とガラスとの空間にエアが漏れ出し、
そのエアの圧力が前面ガラスを押し上げ、水が入ってしまいます。
写真のゲージのように弁がついていないタイプのものは、
水が内部に溜まった状態になり、弁がついているタイプのものは、
弁からエアが放出され弁がはずれます。
そして陸上で残圧ゲージを振ると、弁から水が出てきます」
予防の方法はこちらも至ってシンプル。
衝撃を与えないよう、丁寧に器材を扱うしかありません。
広い意味では、先ほどの結露しない予防法も丁寧な扱いのひとつです。
直射日光と衝撃。
2つの大敵に気をつけながらも器材は消耗品。
定期的なオーバーホールをせず長期放置していると、
致命的なダメージに繋がると園田さんは言います。
致命的なダメージ:金属の腐食
「塩がついたまま長期放置していると金属が腐り、洗浄にかけて塩を取り除くと、
メッキ剥がれを起こしている状態です(写真)。
一度メッキが剥がれると、あとは広がっていくのみで元には戻りません。
剥がれたメッキ片がOリングに付着するとエア漏れを起こす事もあります」
最悪の場合……。
「ゲージジョイント部(残圧計と高圧ホースの接続部)のOリングが劣化し、
エア漏れを起こしたり、湿気が入ってブルドン管が腐って計器が狂う原因になります。
最悪の場合、破裂することもあります」
前回の繰り返しになりますが、
器材の劣化具合によって料金はかなり変わってきます。
さらに、ダイビングのリスクを減らして安全なダイビングを楽しむ上でも
日々の器材のケア、定期的なオーバーホールは欠かせません。
器材への優しさは、お財布と自分自身への優しさです。
■情報・写真提供/アイバディ