サイドマウントのデメリットとなる不向きな環境とは

GWですね!
皆さんはどんな海を潜られているでしょうか?

ちょうどバレンタインデーで知り合ったダイバー同士で初旅行、なんてシチュエーションがあるんでしょうね。
ええ、ちっとも羨ましくないですよ。本当です。全然羨ましくないです。

…ま、少しは心のほんの片隅にジェラシーの炎が大室山の山焼きのように燃え盛っておりますが…。

サイドマウントでのダイビング

さて、今回もサイドマウントのデメリットの続きです。

前回までは器材を中心にお話させていただきました。
今回からは実際にサイドマウントで潜る際のデメリットについてお話しさせて頂きます。

サイドマウントの良さは段々広まっているようですね。

■サイドマウントは水中撮影に有効か
サイドマウントは水中撮影に有効か?パラオでマクロからワイドまで試してみた結果|オーシャナ

でも、サイドマウントが全てのダイビングに適している訳ではありません。
今回は環境も交えてお話しさせて頂きます。

サイドマウントに不向きな環境とは!?

ビーチダイビング

日本のファンダイビングのほとんどはビーチからのエントリーが主といっても過言ではありません。
本州の名だたるダイビングポイントはビーチエントリーが主でしょう。

ところが、サイドマウントの場合、環境にもよりますがビーチエントリーには適していません。

例えば東伊豆の名ポイントI.O.P。
ここはエントリー・エキジット口で波がある事でも有名です。
もちろん、しっかり波を読んで行動すれば問題ありません。

ですが、サイドマウントの場合、タンクは水面で装着した方が楽です。
そのため、シングルタンクでは担いで(または引きずって)、ダブルタンクでは陸上で装着してエントリーする必要があります。

サイドマウントでのダイビング

ビーチエントリー用にタンク上部にもクリップを着けて固定しています

サイドマウントはタンクをタンクバンドで固定するのではなく、クリップ(スナップ)で腰のDリングとバンジーで上部を止めているだけ。
そのため、陸上では逆に不安定になり、タンクを装着して歩くのは結構大変です。

また、丁度タンク底部が太ももに当たるので、痛いのなんの…。
やはりタンクを水面で装着するのが理想です。

ただ、波の無い穏やかなポイントや砂浜等であれば、器材を先に装着する前にタンクをエントリー口付近に置き、器材装着後エントリー口でタンクを拾ってエントリーすれば楽にエントリーできます。

また、海中(水深1m程)にタンクのクリップを留められる人工物等があれば、先にタンクを海中に置き、後からエントリーして装着する事が可能です。
これはかなり楽です。

最初にタンクを持って行く手間はかかりますが、エントリーエキジットは快適に行えます。
ただ、これが出来るポイントは限られますが…。

サイドマウントでのダイビング

写真は獅子浜ビーチの桟橋。このように海面に桟橋があるとタンクの装着は非常に楽です

波のある海況

そして先の文でも触れましたが、波のある海況もサイドマウントに向きません。

ビーチポイントですと、エントリーが非常に困難になります。
タンクを先に装着した場合、重心が低い分、バックマウントより楽ですが、タンクが固定されていない為、波にタンクが揺られ体が不安定になります。

タンクを後で装着する場合、波の中タンクを持って海に入らなければなりません。
想像しただけでも大変そうですよね。

また、波のある海面でのタンク装着も至難の業。
慣れないとそれだけで疲れてしまいます。

ボートエントリーでも、後からタンクを受け取って装着する場合、同様の事が言えます。
ただ、これらも経験等で解決する事ができます。

波を見てエントリーするのはバックマウントでも同じですし、タンク装着に慣れてしまえば、そんなに疲労する事もなく、また素早く装着が可能になります。
慣れればタンクを持ったままレギュのセカンドステージだけくわえてそのままエントリー、潜降中に装着なんてことも出来ます。

逆にエキジットの時に、先にタンクを外せるのはビーチ、ボート問わずバックマウントよりは有利になります。
例えば、ビーチで波のあるエキジットの場合、先にタンクを外し、フィンも脱いじゃいます。
(ダブルタンクの場合は1本だけ外します)

そうして片手はフィンを通した手でロープを持ち、もう片手でタンクを杖代わりにすると、結構楽に上がれます。(I.O.Pの潜水禁止1歩手前の海況で実証済みです!(笑))

つまり経験によって十分補えるデメリットだとも言えますね。

スチールタンク

これも日本のダイビング環境では大きな問題と言えるかもしれません。
前回の記事でも少しだけお話ししましたが、サイドマウントにはアルミタンクが軽くて適しています。

ですが、日本に多いのはメタリコンが施されたスチールタンク、重いです。
この重さのコントロールが本当に大変。

私自身、色んなポイントで来札を問わず試しましたが、メリットが少なかったです。
(雲見の洞窟では、十分メリットがありましたが(笑))

まず、ダブルタンクの場合、タンクの重さのためサイドマウント用BCでも十分に浮力を確保できないタイプもあります。
またバランスが取れてもかなりのマイナス浮力のため、サイドマウント特有の軽快さは減少するでしょう。

シングルタンクの場合、体の片方に重量物が偏る為、何もしないと体は傾きます(笑)
その場合、ウエイトの移動で調整するのですが、これが慣れないと厄介。

例えば10Lスチールタンクをウエットスーツでバランス取ろうとしたら、タンクの反対側に8kg付けないとバランスとれません。
これ、かなりオーバーウエイトですよね?
潜れなくはないです、がそこまでして潜らなくても…という気はします。

そう考えると、やっぱり浮力変化があるとはいえ、アルミタンクの方がストレスがなくて楽しいです。
ただ、アルミタンクを置いている現地サービスが少ないですよねぇ。

状況に応じて選択したいサイドマウント

ちょっとまとめますね。

環境において、サイドマウントで潜るメリットとデメリットを比較し、このダイビングではどちらを優先すべきか?とダイバー自身で考えなければなりません。
私自身はサイドマウントが好きなので、ほとんどサイドマウントで潜っています。

でも、その考え方がダイバーの皆さんに全て当てはまるかと考えたら、そうは思いません。
自分自身でその日の潜る環境に合わせて器材をチョイスする、そういった柔軟な思考も大切だと思います。

サイドマウントでのダイビング

さて、まだまだサイドマウントが向かないダイビングはありますが、今回はここまでにさせて頂きたいと思います。
次回も日本の環境にあった問題点を紹介させていただきます。

冒頭のバレンタインデーネタが厳しくなってきた、と寺山編集長に相談した所「面白いから続けてください!」と嬉しい血も涙もない激励のお言葉。
田原さんではないですが、お偉い方の言う事なので、ニシキヘビのように巻かれさせて頂きます。

さてさて、何処までこのネタを引っ張れるか乞うご期待!!

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writer
PROFILE
40近くになり、家族で行ったグアム旅行、そこで嫁さんに体験ダイビングを勧められ初ダイビング。
その時の担当インストラクターに「ダイビングうまいねぇ。始めてみれば?」と言われてその気になる。

帰国後、地元のダイビングショップの門を叩き、ダイバーとなる。
この時40歳。

その後、調子に乗ってインストラクターまで一気に取得、

大手ダイビングショップで非常勤インストラクターとして勤務するも、もっとダイビングは自由で良いのでは?と考え始め、そんな中テクニカルダイビングに出会う。

自分の求めていたのはこれかもしれないと勘違いし、IANTDの小さな巨人・豊田聡氏(現PADIテクニカルダイビングアドバイザー)からテクニカルダイビングを教わる。

近年、サイドマウントダイビングを知り、その自由なスタイルに魅了され、ドンドン妄想はエスカレート。

終いにはサイドマウントを極めたいと、これまた大きな勘違いをし、オーシャナ執筆でおなじみの夜の帝王・田原浩一氏に「サイドマウントがうまくなりたいから教えてください!」と無茶な要求でケーブ系のトレーニングを始め、現在に至る。

 そんな訳でダイビング経験年数は6年(2013年11月現在)、経験本数は1500本(2013年12月現在)のお調子者若輩ダイバーです。

私は他のオーシャナ執筆者の方々のような著名人ではありません。
一人のダイバーの目線でサイドマウントの魅力をお伝えできればと思っています。

より安全に、より自由に、より楽しく。
レクリエーションサイドマウントダイビングはその可能性を秘めていると信じています。

是非、皆様の生暖かい目で今後もご支援いただければ幸いです。

主な資格等
■IANTD Normoxic Trimix インストラクター
■IANTD Trimix CCR Diver
■IANTD Trimix Diver
■IANTD Technical Wreck Diver
■PADI OWSIインストラクター MSDT
■PADI テックサイドマウントインストラクター
■PADI テックディープインストラクター
■日本テレビ系「いのちのいろいろ」映像提供多数
■小田原ダイビングスクール非常勤インストラクター
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