BCインフレーターのキャップ、閉めていますか? ~意外と知らない器材の常識~

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「レギュレーターのダストキャップは必ず閉めなければならない」ということはみなさんご存知なのですが、BCインフレーターのキャップについてはいかがでしょうか?

BC(提供:高尾)

あまり意識されていないのではないでしょうか?

仕事柄、海に行ったとき、器材をセッティングしているところや洗っておられる様子を観察するのですが、インフレーターのキャップを閉めずにBCを水槽に浸けて洗われている様子をよく目にするので、器材の取扱いの中で初歩的なことではありますが、今回ご紹介することにいたしました。

インフレーターのダストキャップも、実はとても重要な部品。
飾りではなく、ちゃんと意味や必要性があってついています。

BC(提供:高尾)

キャップがついていないもの(メーカー・機種)もありますが、ついていれば器材の使用中以外(インフレーターホースを接続していない時)は、常にキャップをしておいてください。

特に、器材を洗う時にキャップをしていないとインフレーター内部に水が入り、水と共に異物を流し込んでしまう可能性があります。

たくさんの器材が入った水槽の水って、塩や砂などで汚れていることが多いですよね。

入り込んだ異物が、インフレーター内の部品に付着し、インフレーターの作動に不具合を生じさせることがあります。

例えば、オーバーホールしてあまり間もないインフレーターにも関わらず、「エアーが入りっ放しになる」とご連絡があり、器材を送っていただいたことがあります。

診断したところ、プラグ(インフレーターの差込口)から、スプリングやチルトバルブといった内部に続く部品には塩が付着しており、海水が浸入した痕跡が見受けられました。

こちらがチルトバルブシートという空気を遮断する最も重要な部品です。

BC(提供:高尾)

赤○の部分に、ゴミが付着しています。
エアーが入りっ放しになった原因はこれでした。

また、キャップをしないことは、器材を傷める(金属を腐食させる)原因にもなります。

 

メッキが剥がれ、エアーや水で運ばれ付着してはいけない箇所に付着したら、様々なトラブルを引き起こす原因となります。

例えば、これはインレットチューブという部品ですが、チューブ内部のメッキ剥がれ部分が、オリフィスのOリングとの接地面にあたっており、これでは十分にシールができず、エアー漏れが止まりません。

BC(提供:高尾)

こちらは給気ボタンとそれを裏側から留めるシートリティナーという部品。

BC(提供:高尾) BC(提供:高尾)

給気ボタンを押していないのに、空気が入りっ放しになるトラブルを引き起こします。

使用に際しても差し支えるし、金属部品が傷んで交換を要すると高額な部品代が余分にかかってしまうことになり、身体だけでなくお財布にも優しくありません。

以上のような理由により、キャップがついている場合は必ず取り付けをするようにしてください。

時々、もともとはキャップが装備されている機種のはずなのについていないことがあります。

前回のオーバーホール時に分解した後に、取付け損ねたり、紐のタイプですと使用しているうちに劣化して紐がちぎれてしまったり、だと思うのですが、キャップは部品として購入することが可能なので、紛失した場合はぜひ取り付けされることをおすすめします。

正しい使用と定期的なメンテナンスで器材のコンディションをキープし、安全快適なダイビングをなさってください。

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PROFILE
大学在学中、グアムで体験ダイビングをしたのを機にライセンスを取り、卒業と同時にダイビングの会社に就職。
その後、数店舗の都市型ダイビングショップで、スクールや器材販売、ツアーの企画・引率をし、2000年にインストラクターに。

数メーカーのメンテナンス講習を受けた後、ダイビング器材オーバーホール専門店「アイバディ」に10年間勤務。
現在はフリーインストラクターとして活動する傍ら、ダイビング器材・オーバーホールについて執筆活動中。

「器材の中身は見えない。だから伝えねばならない」がモットー。

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