トンガのホエールスイムを支えてくれた恩人のお墓参りをした日

日曜日は、トンガの法律で、基本的に働いてはいけない事になっている。
そのため、ババウでは、ホエールスイミングも行なわれない。

何もやれることが無いから、というわけでは無いのだけど、毎年、ババウに来て日曜日になると、ある人のお墓参りをすることにしている。

それは、初めてババウに来てクジラと泳いだときから、ずっとスキッパーをしてくれていた、トンガ人のオンゴという人のお墓。
この島でクジラと泳ぐ事に関して、多くの事を教えてくれた、尊敬できるクジラの師匠のような人だ。

リピーターでオンゴにスキッパーをしてもらった経験のある木村夫妻と、寺山君と一緒にお参りに出来かけた。

トンガでのお墓参り(撮影:越智隆治)

彼が亡くなってすぐの頃に僕らの企画するホエールスイムに参加してくれた人の名前を全て書き記して持って来た日の丸の旗も、献花も、お墓には無くて、寂しい限りだった。
9月の日曜日には、献花を用意してまた訪れよう。

今年の3月には、オンゴの奥さんも亡くなったと聞いた。
スキッパーとして、お世話になった息子たちも、トンガタプやニュージーランドに移り住んでいる。

今回、お墓参りに案内してくれたのは、オンゴの一番下の妹と結婚した義弟、2年前スキッパーとして世話になった、シオネだった。

日曜日の朝電話をくれて、一緒に教会に行こうと誘われたけど、書かなければいけない原稿とかもあったので、午後からと約束して出かけた。

お墓参りが終わったあと、「家でランチを用意していたんだ。取っといたから、ホテルで食べてくれ」と手作りのトンガ料理を渡された。
申し訳無いことをした。

オンゴの妹さんには、「毎年お墓参りに来てくれて、本当に感謝しています。きっとオンゴも喜んでいるわ」と言われた。
僕が今でもこの島で、クジラたちと生き続けていられるのは、オンゴのおかげだ。

感謝するのは、僕の方だ。

トンガのクジラ
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PROFILE
慶応大学文学部人間関係学科卒業。
産経新聞写真報道局(同紙潜水取材班に所属)を経てフリーのフォトグラファー&ライターに。
以降、南の島や暖かい海などを中心に、自然環境をテーマに取材を続けている。
与那国島の海底遺跡、バハマ・ビミニ島の海に沈むアトランティス・ロード、核実験でビキニ環礁に沈められた戦艦長門、南オーストラリア でのホオジロザメ取材などの水中取材経験もある。
ダイビング経験本数5500本以上。
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