念願が叶って海中でのシロナガスクジラの撮影に成功!

※4日目までのレポートはこちらをご覧ください。

4日目、リサーチ前半最終日。
フィッシャーマンからの情報で、少し遠出してクジラを探すことになった。

まだ暗いうちに船を出し、南へ。

数時間走ったところで、最初に見つけたのは、クジラではなくて、人の身長サイズのかわいいジンベエザメ。そして、モブラ。

一応、両方とも海に入って撮影。
しかし、モブラは、撮影前に泳ぎ去ってしまった。

スリランカのジンベエザメ(撮影(越智隆治)

さらに船を進める。

西の方角、船の進行方向3時方向をぼ〜っと眺めていると、行きかうタンカーの間で、ブローらしきものが上がった。
しかし、確証が無い。操船デッキに上がるが、誰も気づいていないようだ。
4人のクルーは皆前方を眺めている。

誰にも伝えず、再度そちらの方角を見ていると、再度ブローが上がる。

スリランカのボートクルー(撮影:越智隆治)

確証を得たところで、「3時の方向にブロー、2回上がったよ。クジラは南に向かって移動してる」とキャプテンに伝える。
皆がそちらの方向に向き直り、船も進行方向を変更した。

しばらくすると、2つのブローが同時に上がる。

(どうかニタリでなくて、シロナガスクジラでありますように)
そう思いながら、ブローに接近。

船上から浮上してきたクジラの頭部に注目した。
ニタリクジラには、頭部に3本の筋が入り鋭角なので、シロナガスクジラの丸みを帯びてフラットな頭部とは明らかに違う。

スリランカのシロナガスクジラ(ドワーフ・ブルーホエール?)(撮影:越智隆治)

「間違いない!シロナガスクジラ(ドワーフ・ブルーホエール?)だ!」とクルーの一人が叫ぶ。
自分もそれに同意した。

しかし、やはりドワーフ。
昨年スリランカ北東岸海域で遭遇したクジラもドワーフなはずだけど、それよりも小さい印象。
「子クジラなのかな?」と思うくらいに、サイズはニタリクジラとそう変わらない。

スリランカのシロナガスクジラ(撮影:越智隆治)

サイズだけでは、確かに区別が着かないかもしれない。

船上からの撮影は早々に切り上げて、早速海に入る準備をして、キャプテンの指示を待つ。
しかし、ことクジラへのアプローチに関しては、彼等もこちらを信頼しているらしく、「入るタイミングとか、指示してくれ」と言ってきた。

ということで、間にクルーを介して、キャプテンへ指示を伝えながらのエントリー。

しかし、かなり外洋であるにも関わらず、やはり透明度が悪い。
最初は何回か、かなり前に回り込んで、海にドロップしてもらい、静かにクジラの接近を待つ方法でチャンスを待ったが、直前で潜ってしまったり、方向を変えてしまい、この透明度では海中での追跡が困難なために、アプローチのスタイルを変更した。

どのみち、ザトウクジラやマッコウクジラと違い、留まることがほとんどない、シロナガスクジラ。
一発狙いで、真横につけてもらい、船が少し前に回り込んだところで、エントリーさせてもらった。

最初は、船が上手く前に回り込めず、サイド、あるいは後方からの撮影だけで、特徴となる頭部の撮影がなかなかできなかった。

それでも、初水中シロナガスクジラ。
撮れただけでも興奮しないわけでは無かったけど、人の欲というものは、望みがかなえばかなう程に、高いものに変わっていく。

スリランカのシロナガスクジラ(撮影:越智隆治)

キャプテンも回を重ねる事に、慣れてきて、前に回り込み、すぐにドロップしてもらい、何度目かに、側面前方側からシロナガスクジラの頭部を撮影することができた。

スリランカのシロナガスクジラ(撮影:越智隆治)

気づくと、周囲には、7頭程のシロナガスクジラがブローを上げていた。

50頭には及ばないし、透明度は悪い状況ではあるけど、どうにか、海中での撮影に成功。
後半への足がかりが掴めた感じになった。

気になったのが、このオレンジ色の浮遊物。
おそらく、シロナガスクジラの糞だと思うのだけど、ネットで調べても良くわからないので、確証は無い。

スリランカのシロナガスクジラの糞?(撮影:越智隆治)

帰路、ウミガメが交尾しているのにも遭遇。
出会えない時には、まったく何も見れないのに、見られる日には、色々な物が見られる。

海は本当に気まぐれだ。だから、面白いし、いつかそういう日に巡り会えると信じて海に出てるから、どれだけ会えない日が続いても我慢できる。
あと4日、今度は何を見せてくれるかな。

スリランカのウミガメの交尾(撮影:越智隆治)

来年は、シロナガスクジラと泳ぐスペシャルトリップを企画する予定。
もし、興味のある方はお問い合わせ下さい。

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PROFILE
慶応大学文学部人間関係学科卒業。
産経新聞写真報道局(同紙潜水取材班に所属)を経てフリーのフォトグラファー&ライターに。
以降、南の島や暖かい海などを中心に、自然環境をテーマに取材を続けている。
与那国島の海底遺跡、バハマ・ビミニ島の海に沈むアトランティス・ロード、核実験でビキニ環礁に沈められた戦艦長門、南オーストラリア でのホオジロザメ取材などの水中取材経験もある。
ダイビング経験本数5500本以上。
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