初めての神子元、最後に大どんでん返しでハンマー登場!
「神子元に行って、初めての神子元、というテーマで記事を書け」
編集長の寺山さんからそんな指令をいただきまして、生まれて初めて神子元にダイビングしに来ております。
今回越智カメラマンと同行しているとはいえ、来る前は不安が絶えませんでした。
以前からオーシャナでライターをしているぼくですが、実はダイビングのロケはこれが初めてです。
神子元でのハンマーヘッドシャークを探すダイビングは、言わばギャンブルのようなもので、つまり、ハンマーが見れないということも全然あり得るそうです。
(ちなみに編集長の寺山さんは15年目にしてやっと初めて見れたのだとか)
また、普段ぼくは大瀬崎でダイビングをしているもので、潮に流される神子元でのドリフトダイビングは、慣れないダイビングのスタイルでもあります。
果たしてぼくは無事にハンマーに遭遇することができるのか…。
そんな、ぶっちゃけ 楽しみ:不安=3:7くらいの気持ちで今回乗り込んだ、というわけです。
AM10:00、港からボートに乗り込み15分、いざエントリー。
すぐに目に飛び込むタカベの群れや、1m近いブダイ。
透明度も15mほど、決して悪くはないです。
大瀬崎育ちのぼくは、「伊豆でこんな光景が見れるのか」と、心を奪われました。
そんな神子元での光景も素晴らしいものだとおもうのですが、越智さんを始めとする周りのベテランダイバーたちはそれらに目もくれません。
「そうか、これはハンマーを探すダイビングなんだ…」
すぐに目的を思い出し、周りに集中します。
ちなみに、毎週神子元に通っている常連さんによると、
「ウミウシを探してたらアウト」
だそうです(笑)。
ます最初は「Aポイント」という地点で根に掴まりハンマーを待ちます。
潮当たりの特に良いここでは、運が良ければ何十匹、いや、100匹単位での群れも見られるそう。
強い潮に煽られるという慣れない状況、ハンマーが現れるかもしれないという期待。
ドキドキしながら根に掴まり続けますが、そこでハンマーが現れることはありませんでした。
ここでガイドの有松真さんの判断でAポイントを離れます。
後で聞いた話なのですが、このとき真さんは「Aポイントを離れるかどうか」凄く迷われたそうです。
経験に基づく判断とはいえ、待っていればハンマーが現れるかもしれない、という状況。
自分の行動が吉と出るのか凶と出るのか、後になってみないとわからない、まさにギャンブル、といったところでしょうか。
周りに気を配りながら移動を続けます。
その間も目に入るタカベやイサキの群れ。
「綺麗だなぁ、カンパチも出るって言ってたなぁ、見たいなぁ…。いやいや、ハンマー探さなきゃ」
そんな堂々巡りを頭の中で繰り返しながら、ついにハンマーを見ることなく安全停止の時間が訪れます。
だめだったか…。
言葉にできなくとも、チーム全体がそんな雰囲気に包まれます。
「こんなことならゆっくり他の生物見ててもよかったな…」
正直、ぼくはそんなことも考えていました。
数分経ち悔しそうに真さんが浮上のサインを出し、全員がOKサインを出した、
まさにその時でした。
一気に真さんの形相が変わり、浮上のサインを出した右手がすごい速さでぼくたちの後方を指さします。
まさか!?
そう、ハンマーの群れが出たのです!!
5匹ほどの群れではありましたが、探し続けたハンマーがまさにぼくたちの背後にいました。
ハンマーの姿を認識した瞬間、全員が方向を変え全力でハンマーの群れに向かってダッシュします。
特徴的なハンマー型の頭部、悠然と泳ぐその巨体、潮になびかせる長い尾。
渾身のダッシュをしている中でも、その姿と動作の一つ一つが、神子元ビギナーのぼくの目と心を奪いました。
ハンマーたちはすぐに方向を変えぼくたちから離れますが、越智カメラマンはそこに回り込み、その姿を撮影します。
ぼくが認識できたのは5、6匹ほどでしたが、越智カメラマンによると群れはもう少し大きく10匹以上は確実にいたそうです
最後の最後で、ついに見れた……!!!
まるでドラマのような最後の大どんでん返しを迎え、浮上したチームは皆で喜びを分かち合います。
本当に凄い展開でした。
見れるかどうかもわからない、もう今回は見れないかもしれない。
チームの期待から不安まで、全てを弄んだ一本でしたが、今回のギャンブル、ぼくたちの逆転勝利と言っていいでしょう!!
以上、現場の神子元ハンマーズからでした!!