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2016年。3.11東日本大震災から5年の海から(第4回)

最高の環境で潜れるようになった女川の海 ~High bridgh(ハイブリッジ)オープン~閲覧無制限

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現地からレポート

ハイブリッジ(撮影:寺山)

「まさか、こんなことになるなんて5年前からは想像もしなかったですね。震災がなければ、きっと今でも葉山でNANAのガイドをしていましたよ。あ、輝さんにクビになっていなければですけどね(笑)」

そのお洒落な外観は表参道のカフェのようだが、ここはダイビングショップ。
宮城ダイビングサービスHigh bridge(ハイブリッジ)」だ。

ハイブリッジ(撮影:寺山)

店内に入ると、ゆったりとしたニットセーターに小洒落たアクセをつけて、短髪とヒゲをきれいに整えたマサ君(高橋正祥・たかはしまさひろ)が、ミニチュアダックスフントのナギサちゃんを抱っこして「お久しぶりで~す」と出迎えてくれる。

どこのオネェだよ! (笑)

「でなければ、銀座のママの休日ね」。
そんな軽口を叩いても、「ちょっと勘弁してくださいよ~」と屈託のない笑顔で返してくれるのが、親しみやすいマサ君のキャラ。
内面は、むしろ男くさい。と思う。

海よし、人よし、アクセスよし
女川の海を最高の環境で潜る

震災の被害が甚大であった、宮城県女川町・JR女川駅前にあるテナント型商業施設「シーパルピア女川」。
2015年12月23日、震災後の急激な人口減少が進む町ににぎわいを取り戻すべくオープンした。

温泉施設を併設する女川駅から、女川港に向けて延びるプロムナード沿いに木造平屋が6棟並んでいる。

■女川駅前商業エリアマップ
http://www.onagawa.org/ekimae/

シーパルピア女川(撮影:寺山)

この洒落たショッピングモール、あるいはテーマパークのような雰囲気の一角にハイブリッジもある。

ハイブリッジ(撮影:寺山)

東北のダイビングショップとしては好条件だろう。

立地は女川駅前で、ダイビングポイントまで車で10分。
葉山で鍛えたガイド力は折り紙付きで、アフターダイビングは温泉をはじめ、食事処も充実。
すっかり有名になった女川の海の幸が堪能できる「おかせい」も移転予定だという。
隣はおいしい珈琲ショップだ。
メディアで話題のダンボルギーニも目の前(笑)。

そして、肝心の海は、女川の象徴、クチバシカジカやダンゴウオ、フサギンポなど、めんこい北のアイドルが待っている。

課題としてはダイビングポイントの施設だが、これも漁師との協力で良い方向へ向かっている。

クチバシカジカ (撮影:高橋)

ゼンマイ仕掛けのようにトコトコ歩く姿が可愛い、クチバシカジカ ■写真提供/ハイブリッジ

女川でお店をオープンするならこれ以上ない好条件に見えるが、いきなり、ポンとこの場所にたどり着いたわけではない。
マサ君の5年の思い、行動、そして震災後に生まれた新しい絆がマサ君をこの場所に導いた。

宮城とダイバーのかけ橋に

震災までは、神奈川県・葉山の「ダイビングショップNANA」でガイドをしていた。
しかし、突然、故郷の石巻が飲み込まれる。

マサ君はNANAを辞め、石巻を拠点に遺体捜索や瓦礫撤去など、ダイバーとしてできる活動を始める。

一般社団法人 石巻海さくら」として、海中の瓦礫撤去や捜索、ビーチクリーンナップなど地道な活動を続け、誰とでも仲良くなってしまうキャラもあって、地元漁師にも受け入れられてきた。

これまでダイバーを受け入れていなかった女川のダイビングポイントを開放してもらえるほど確かな関係を築いている。

■女川・竹浦(たげな)の海がニューオープン!
https://oceana.ne.jp/webmagazine/201212_tohoku_summer/3

「大きな声で言えないんですけど、今年はちゃんと稼ぎたい。借金もしちゃいましたしね(笑)」

いや、大きな声で言いましょう!

女川駅周辺の電柱には「あたらしいスタートが世界一生まれる町へ。START ONAGAWA」と書かれた旗が掲げられ、須田善明町長も「町民も外から来た人も、たくさんのスタートが生まれる町にしたい」と述べている。

マサ君の真摯な姿勢で取り組んだ5年の結果が、東北の中でもひときわ前を向く女川町の商業施設の中心に、女川初のダイビングショップを導き、魅力ある女川の海をダイバーに開放するに至ったのだ。

また、この一角にダイビングショップを構えるということは、ダイバーの存在感を示しているともいえるのではないか。

もちろん、マサ君としては、「海さくら」の活動も続けていく思いは変わらない。

「一昨日も網にひっかかった骨をDNA鑑定したら身元が確認できたんですよね。5年経とうが思いは変わらない。女川湾の月に1回の瓦礫撤去と月に1回の捜索。そして、子供たちへのスノーケリング教室など、変わらず続けていきたい」

復興、振興とは経済活動の活発化に他ならない。
震災をチャンスに変えるのは決して後ろめたいことではない。

これまでは、「海さくら」の取材で来ていたが、今回、「ハイブリッジ」として紹介したのは、震災後の復興の地で繁盛するダイビングショップの姿を見たい、という個人的な思いから。
「海さくら」を取り上げて欲しそうなマサ君の思いもあったが、ダイビングショップとしての魅力をテーマにした。

これからは、店名の通り、ダイビングを通じて、全国のダイバーと宮城の海との“かけ橋”になってほしい。

大きな声で言います!

ダイバーの皆さん、ぜひ一度、北のアイドルに会いに、そしてマサ君に会いに女川に遊びにいってくださいね。

○宮城ダイビングサービスHigh bridgh
http://high-bridge1.com/
○石巻・海さくら
http://i-umisakura.com/

【女川のダイビングメモ】
■見どころ
通年 ダンゴウオ
3月 クチバシカジカのハッチアウト
4月 ヒメフタスジカジカの抱卵
6月 リュウグウハゼの産卵

女川のダンゴウオ(提供:ハイブリッジ)

ホヤ+ダンゴウオは女川の海ならでは ■提供/ハイブリッジ

■ポイント
ボートポイントが3つ ※出港して5分ほど
※ハイブリッジから女川の竹浦までは 10分、狐崎浜までは20分
※今後、ダイビング施設ができる可能性も

(フサギンポの抱卵 ■提供/ハイブリッジ)

(フサギンポの抱卵 ■提供/ハイブリッジ)

■アクセス
(電車)
○JR仙石線経由
 仙台駅(仙石線)→ 石巻駅(石巻線)→ 女川駅(約2時間)
○JR東北本線経由
 仙台駅(東北本線)→ 小牛田駅(石巻線)→ 女川駅(約2時間)

(バス)
仙台駅から(高速バス) 女川直通(1日1便)
※女川運動公園前(約2時間)から徒歩10分

(車)
↓東北自動車道
 仙台南IC → 仙台南部・東部道路経由 → 三陸自動車道石巻河南IC(約1時間)
↓三陸自動車道
 仙台港北IC → 石巻河南IC(約45分)
↓国道398号線
 石巻河南IC → 女川町(約30分)

生まれ変わった女川駅。「女川温泉ゆぽっぽ」も併設。大人500円とリーズナブル

生まれ変わった女川駅。「女川温泉ゆぽっぽ」も併設。大人500円とリーズナブル

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