岩手で潜る。2日目

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岩手での2日目、昨日とは違う港に潜っての海中ガレ撤去作業を行なった。ガレを動かすたびに、沈殿していた堆積物が巻上がり、あっという間に視界が0になる。
湾内には、いくつものフロートが浮いている。これは、ゴールデンウィークに訪れたボランティアダイバーたちととももに、くまちゃんたちが、サルベージ船が来た時に、引き上げ易いようにと、自分たちでは撤去しきれない大きなガレにマーキングしてあるものだ。
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ダイバーが地元の漁師さんたちと連携して行なう、この作業。今後も続けていくべきとは思うのだけど、一つだけ不満に感じている事がある。
漁師の方たちや、サルベージ作業に従事するプロ潜水士の潜水作業は、国からの要請があり、作業に対しての対価が支払われる。危険な作業なのだから、当然だ。しかし、彼らファンダイバーが行なうこのボランティア活動には、国からの援助は一切降りない。ボランティアなのだから、参加する人間が対価を求めるわけではないけど、少なくとも中心に立つ人には、危険を覚悟での作業なだけに、何らかの国からの援助が受けれてもいいのではないかと感じる。ボランティア保険ですら、海中作業では適用されないのだそうだ。
クマちゃん自身の活動は、多くの賛同者から得られた義援金によってのみ、成り立っている。知っているダイバーの中には、自分自信が被災してしまっている人もいる。クマちゃん自身は、自らのダイビングフィールドが津波の被害でダメージを受けてしまったものの、自身の家は内陸にあり、被災は免れている。
自分たちが生活していくことに、精一杯の人たちに、「くまちゃんと同じように活動すべきだ」とは、言えない。
昨日は、くまちゃんが活動を続ける大船渡ではなくて、南三陸町の漁師の方から、大船渡の漁協の方に、沈んだ船を引き上げようと思うのだけど、海中でロープか何かが絡まって、引き上げられないから、ボランティアで活動するダイバーに潜ってロープを切ってもらえないかとの依頼が来た。
もしかしたら、とても危険を伴う作業で、プロ潜水士に任せるべき状態かもしれない。しかしながら、プロに払うお金は無いから、ボランティアで潜っているくまちゃんのところへ問い合わせてきたわけだ。
多くの場所で、今後も彼らのような活動が必要になってくるのは、間違いない。国からの支援が頼れないのであれば、個々からの支援に頼るしかない。
自分は、そのことに、彼が潜水清掃活動を始めた当初からどうにかしなければと感じていた。今、海外のダイバーの協力を得て、資金を集める計画をすすめているところだ。
くまちゃんが、フィールドにしているサケが遡上する川。震災直後よりは奇麗になったものの、サケ達に遡上してもらうには、もっと奇麗な川に戻す必要があるのではと感じる。
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「かなり奇麗になりましたよ」とくまちゃんは言うけれど、川の方側では、2ヶ月以上たつというのに、このような惨状が残っている。
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反対側では、被災した小学校のグランドで、体育の授業をする子供たちの姿が見られた。
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作業で濁ってしまった湾内で見つけたサビハゼ。健気に生きる、彼の虹色に輝く瞳は、意色々な事で悩む自分を勇気づけてくれた。
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PROFILE
慶応大学文学部人間関係学科卒業。
産経新聞写真報道局(同紙潜水取材班に所属)を経てフリーのフォトグラファー&ライターに。
以降、南の島や暖かい海などを中心に、自然環境をテーマに取材を続けている。
与那国島の海底遺跡、バハマ・ビミニ島の海に沈むアトランティス・ロード、核実験でビキニ環礁に沈められた戦艦長門、南オーストラリア でのホオジロザメ取材などの水中取材経験もある。
ダイビング経験本数5500本以上。
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