week5, 水中ビデオカメラマン古島茂さんと撮影

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メキシコのバショウカジキスイム(撮影:越智隆治)

プロの水中ビデオカメラマン、古島茂さんたちが島に入った。7日間一緒に乗船して、バショウカジキを探す。
撮影は、2D、そして3Dのカメラで行なう。

初日(自分にとっても今年22日目)。いつも乗船していた船のキャプテン、ロヘリオのお母さんが亡くなり、お葬式などのために海に出れないことになり、急遽、もう一隻のスピードボートの方に乗船することに。キャプテンは、セビーチェ作り名人(?)のダビッド。クルーはいつものウワンが乗船。

撮影機材が多く、場所を取る。海は、荒れてはいるが、それほどでもない。プロの人たちに取ってみれば朝飯前の波だ。しかし、風は南東。ムヘーレス島からかなり北へ離れて、鳥山を探す。午前中に群れを発見。エントリーを試みる。

見れなくは無いが、移動している。僕が追いつくくらいのスピード。泳いでいる間に、いつの間にか、カンクンからのスイムボート2隻が来ていた。無線を聞きつけてやってきたらしい。各ボートに5人前後の人が乗船していた。

キャプテンのダビッドの話によると、昨日、一昨日、そして今日の3日間でカンクンのダイビングサービスの船をチャーターしてスイミングを行いに来ていたグループだそうだ。昨日、一昨日とバショウカジキに遭遇することが無かったために、これが最後のチャンスなのだという。

全員がエントリーすると、僕らを含めて15人ほどになり、群れを追いかけての競争のような状態になった。これでは群れに追いつけないと、前を泳ぐ人のフィンキックの泡しか見えなくて、きっとまともには見れないかもしれない。ほとんどの人が通過する群れを撮影しては船に戻り、また前に回り込んで撮影。そんな状態を繰り返していた。

メキシコのバショウカジキスイム(撮影:越智隆治)

まあ、群れが止まったところで、この人数で取り囲めば、あっという間にバショウカジキたちはイワシの群れを残して去って行く可能性も高い、

泳力の違いで、皆バラバラになり、荒れた海の上は、スキンダイバーが、あちこちに散らばって、船にピックアップしてもらうのを待つ状態。安全面的にも問題がある。

様子を見るために、一度船に戻ると、僕が先頭にいると写り込んでしまうということだったので、群れについて泳いで、イワシが少なくなってきたところで、止める作戦を諦めて、途中から、僕は古島さんのカメラ1台を持って後について泳ぐことした。

まあ、群れと泳いでイワシ玉が小さくなったところで、止められたとしても、この人数ではまともに、撮影はできないだろうという判断もあった。

結局この群れは止まる前に、イワシの群れが逃げ切って、終了した。カンクンからのチャーターボートは、それで引き返した。

僕らは、3時まで捜索を続けたけど、この日はこれ以上鳥山を発見できずに終了した。
この日の収穫は、まだ他の船が来る前に、バショウカジキの群れに混じって、マヒマヒが捕食をしていたことだ、その捕食のときの体色の美しさに感動した。しかし、最初のエントリーのときには、僕はガイド役のつもりで入ったので、カメラを持っていなかったために、撮影ができなかった。

皆が追いついてから即効で船に戻り、カメラを持って入り、なんとか遠目に撮影した。捕食ピーク時の体色は撮影できなかったのが心残りだ。

セールフィッシュスイムday23 。巨大なイワシ玉

week5、プロの水中ビデオカメラマンの古島さんたちとの乗船2日目。キャプテンのロヘリオが戻ってきたので、いつもの船で海に出る。出会って早々にお悔やみを伝えた。

ロヘリオが「昨日はどうだった?」とか「あっちの船とこっちとどっちがいい?」とか聞いてきたので、他の船が合流して、人が多くて大変だったとか、やっぱりこっちの船がいいよと伝えた。

ロヘリオは「今日は絶対他の会社の船が来ないようにしよう」と意気込んでいた。撮影に支障をきたすからというだけでなく、昨日乗船した船のキャプテンに負けたく無いという思いもあったように思う。「オレはあいつより凄いものを見せてやる」。そういう男の意地みたいなものかもしれない。

快晴。昨日よりも風もおさまり、穏やかになっている。ロヘリオは延々と船を北へ走らせた。グンカンドリのいるコントイ島の北端にある灯台をあっさりと通過して、さらに船を走らせる。クルーのウワンが、「ボッシュまで行くつもりかな」と僕に耳打ちをした。

ボッシュとは、ホルボッシュという地名で、ジンベエスイムで有名な場所。行ったことは無いけど、相当な数のジンベエザメが集まるとか。ただ、透明度が悪いらしい。

とにかく、灯台も見えなくなってやっと目の前に鳥山を発見した。しかし、微妙な動きをしている。海が穏やかなので、船の上からウワンが確認すると、巨大なイワシ玉だとのこと。しかも、水面まで浮いてきていないので、鳥たちも躊躇しながら飛んでいるようだ。しかし、バショウカジキの数は少ないが、いるとのこと。

どうしようと考えていたら、ロヘリオが、「タカ!入れ!鳥たちが諦めたら群れがどこにいるかわからなくなる。とにかく入って群れを確認しろ!」というので急いで海に入った。透明度は悪い。

少なくなっていく鳥たちを目印に移動していくと、巨大なイワシ玉を発見。周囲にバショウカジキが10数匹ついていた。

メキシコのバショウカジキスイム(撮影:越智隆治)

イワシの群れが大きいとあっという間に移動してしまうことの方が大半だけど、今回の群れはあまり動かない。これはなら落ち着いて撮影できる。皆を呼び、撮影を行なった。いつも捕食と群れがメインの撮影になりがちだけど、これなら、バショウカジキに追い立てられたイワシの群れが変幻自在に群れの形を変えるシーンを撮影できる。その様子は見ていてほれぼれするものだった。

自分も今までに無い写真が撮影できた。

メキシコのバショウカジキスイム(撮影:越智隆治)

しかし、古島さんと水面に顔を上げて、タンクをつけて撮影できないかの相談をされたので、「試しにつけてみますか?」と言って再度海中を覗くと、群れの姿が消えていた。もう少し時間をかけて撮影したかった。

その後、また別の群れに遭遇してエントリー。今度は先ほどの群れより小振り。こちらもあまり動かない状態だったので、ゆっくり撮影できた。しかし、しばらくして、同じ会社の船で、バショウカジキの調査のためにタグ付けしてる船が来て、タンクをつけて近よってきた途端に、ほとんどのバショウカジキが逃げてしまった。

明らかにタンクのせいなのかどうかは定かでは無いけど、その可能性は高そうだった。
古島さんも、「なんか微妙だな」と自分がタンクを使うことを躊躇っていた。

それでも、2日間連続で撮影ができて、昨日と違い、ゆっくり、しかもほとんど独占状態で撮影ができたので、満足そうだった。

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PROFILE
慶応大学文学部人間関係学科卒業。
産経新聞写真報道局(同紙潜水取材班に所属)を経てフリーのフォトグラファー&ライターに。
以降、南の島や暖かい海などを中心に、自然環境をテーマに取材を続けている。
与那国島の海底遺跡、バハマ・ビミニ島の海に沈むアトランティス・ロード、核実験でビキニ環礁に沈められた戦艦長門、南オーストラリア でのホオジロザメ取材などの水中取材経験もある。
ダイビング経験本数5500本以上。
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