玄界灘ダイビング、メディア初取材!水中カメラマン・越智隆治が福岡の海の魅力に迫る(第3回)

【玄界灘:DAY2】台風が接近する中、小呂島で潜る!アカオビハナダイのコロニー、そして、クルーザーSTINGRAYの話

この記事は約6分で読めます。

玄界灘(撮影:越智 隆治)

玄界灘ロケ2日目は、『無数のヒラマサがイワシの群れを囲い込む、「玄界灘のサーディンラン」を激写!』で、書いたように、台風が接近する中、フィッシングチャーターのクルーザーSTINGRAYに乗船して小呂島で潜ることになった。

結果、すごいシーンに遭遇して、福岡のダイビング業界のみならず、フィッシング業界でも話題になったと聞いた。

しかし、小呂島でのダイビングに関しては、まったく触れていなかったので、今回紹介することにする。嬉しいハプニングもあったが、3本小呂島の海を潜ることができた。

とにかくどこを見ても群れ!
小呂島の海をご紹介

ここでのメインのターゲットは、鹿児島の錦江湾でも取り上げた、アカオビハナダイのコロニーの撮影。SUNSのオーナーガイド、木村尚之さん曰く、「ここのアカオビハナダイは、白砂のフラットな海底に群れるので、とても明るい感じで撮影が可能です。白砂バックグランドでアカオビハナダイの群れが撮影できるのは珍しくないですか?」と。

ということで潜ったのが、水深25mにあるアカオビハナダイのコロニーのある砂地。ダイバー全員でアカオビを一方向に追い込み、砂地バックに撮影を開始。

しかし!

アカオビハナダイは、群れるのだけど、色のうっすいオカマちゃんばかり。さらにその上には、イワシが天の川のように群れているし、そのイワシを狙って、ヒラマサがこれまた大群で暴れまわる。
集中しろと言われても気になってしょうがない。

玄界灘(撮影:越智 隆治)

撮影するが良く見えなくなるほどのイワシの群れ、その先には、ヒラマサの大群も姿を見せていた

玄界灘という海は、本当にどこを潜っても何かしらの魚の群れに遭遇する。

そんな群れを気にしながら、撮影できたのが、こんな写真。

玄界灘(撮影:越智 隆治)

手前にアカオビハナダイのオカマたち。後ろに無数のイワシたち。これはこれで、宇宙っぽいイメージ?

玄界灘(撮影:越智 隆治)

木村さんに反対側からもプレッシャーをかけてもらい、どうにか集まったアカオビハナダイのオスを絡めて

オスが集まるとこんな感じで撮影できるそうで、次回はこれくらい集まってくれるといいな〜

玄界灘(提供:Takahisa Ishida)

台風の前線の影響で空は曇天だったので、なかなか青抜きの明るい感じでの撮影はできなかったけど、マクロではどうにかこんな感じの撮影も。確かに、アカオビハナダイでこれだけ青抜きで撮影できるのは珍しいかもしれない。Yahoo!などで「アカオビハナダイ 画像」で検索しても、青抜きバックの綺麗な写真は見当らない。

玄界灘(撮影:越智 隆治)

青抜きバックで綺麗に撮影できたアカオビハナダイのオス。次回は、もっとヒレが開いた瞬間を狙ってみたい

玄界灘(撮影:越智 隆治)

淡い色をしたオカマちゃんも、見ようによっては、パステル調で綺麗

そして、「サウスメイズ」の人工のスロープやテトラポット、人口漁礁には、カリフラワーのようなソフトコーラルが群生し、海中に彩りを添えていた。

玄界灘(撮影:越智 隆治)

人工スロープに密生していた、ソフトコーラル

玄界灘(撮影:越智 隆治)

テトラポットにもカラフルなソフトコーラルが

そして、最後には、イサキの壁が出現!

玄界灘(撮影:越智 隆治)

3本目の「ボウズロック」では、フィッシングチームが狙っている大物アラを探して、少し深場を捜索し、3匹のアラを見つけたが、なかなか寄らせてくれず、撮影は断念。

浅い根の上は、ザ・スズメダイが群れ群れだった。色は地味だけど、これだけ群れているとやはり圧倒させられる。

玄界灘(撮影:越智 隆治)

玄界灘開拓に必要不可欠だった、
クルーザーSTINGRAYの話

玄界灘(撮影:越智 隆治)

未開の海、玄界灘を開拓して行く上で、今使用しているクルーザーSTINGRAYと出合えたことが、大きな転機となったそうだ。
それまでは、ゲスト6人乗りの小さなクルーザー、初代STINGRAYで荒波を乗り越えて、玄界灘を潜っていた。

「できれば、こんな感じの船が欲しいよね」と木村さんとSTINGRAYのオーナーであり、船長である松本圭司さんは、理想のクルーザーの絵を何度も描いていたのだそうだ。そこに、まさに神の啓示のごとく、その絵通りのクルーザーが見つかった。
それが現SRINGRAYだったとか。

船長の松本さん曰く、「僕もダイバーで、木村さんと共に8年来、薩南トカラや玄界灘を潜ってきました。ポイント開拓をより高い精度でやれるようにするために、今回の船を買う時に、海の中の様子を把握するための高性能なコンピュータ(海底の地形、底質、潮流、ある程度の魚種がわかる魚群探知機)を導入しています」とのこと。

玄界灘(撮影:越智 隆治)

高性能コンピュータを導入しているSTINGRAYの操船席

「また、玄界灘は人気ポイントまでの距離が遠いため(沖ノ島はSTINGRAYで片道90分)、和船タイプのダイビングボートや漁船ではさらに時間がかかる上に、移動が辛いという弱点があり、あえてクルーザー型を選び、ドライルームでゆっくり過ごせるよう、キャビンの大きさに重点を置いています」

玄界灘(撮影:越智 隆治)

広々としたキャビン。奥では、3人が楽に横になれるスペースもあり、雨が降っても、操船室も含めて、定員14名全員がドライルームでくつろぐことが可能

そして、松本さんのこだわりは、皆に出すランチにも表れている。

「船の食事については、『山登りはメシを本気で作る文化があるのだから、海潜りも弁当じゃなくて本気メシを作ってもいいはず』という想いで、本格カレーを作ることにしました。船内の小さなキッチンで出来る範囲ですが、レトルトとかではなく、ちゃんとスパイスから作り、土鍋ご飯を炊きます。このカレーを楽しみに乗船される常連のお客さんもいらっしゃいます。メニューはトリプルキーマ、バターチキン、グリーン、そしてラム&チーズの4種類で、近々、新作、タイ生まれのマッサマンカレーが加わる予定です。どのカレーも、福岡のインド調味料店「マルハバ」さんの監修で作っています」

玄界灘(撮影:越智 隆治) 玄界灘(撮影:越智 隆治)

と、これだけでもすごいこだわりなのだが、さらに!松本さんの奥さんの愛子さんがご飯作りの担当なのだが、新メニューのマッサマンカレー作りをマスターするために、何と今年5月に本場タイまで修行に訪れたのだとか!

玄界灘(撮影:越智 隆治)
玄界灘(撮影:越智 隆治)

マッサマンカレー作りを修行するために、本場タイを訪れた愛子さん

さらに!さらに!「飲み物は、27種類あって、ドリップ珈琲やミルクセーキや、色々な種類のスープもあって、全て無料サービスです」という驚くべきサービス。

「何でこんなにこだわってるのですか?」

「もともと、愛子が看護師で、本人も結構ストレスダイバーで、特にボートダイビングはストレスを感じるものですから、それを和らげてあげたいという想いで、お客さんダイバーに接しています。それで飲み物やら、何やら、色々準備しているのもあるようです」

ゲストを思いやる気持ち。
ダイビングだけでなく、何を仕事にするにしても、大切なことだと思いますね。こういうおもてなしの気持ちがあるから、皆さん、玄界灘のハードな海でも、気持ちよくダイビングが楽しめているのだと思います。

個人やグループでの乗船のお申し込みも、こちらのWEBサイトで受け付けているので、チェックしてみて下さい。
STINGRAYのHP

玄界灘(撮影:越智 隆治)

ゲストは、ダイビングも大満足、クルーザーの乗り心地と、美味しいカレー、細やかなおもてなしにも大満足!

■supported by Diver’s Guide SUNS

玄界灘(撮影:越智 隆治)

福岡で唯一、海辺のリゾート糸島にベースを置くダイビングサービス。
2隻のボートを駆使して、糸島エリア、玄界灘を潜る。しかも、そのポイントは全てSUNSのオリジナルポイントという、まさに玄界灘の開拓者。

玄界灘(撮影:越智 隆治)

玄界灘専用クルーザーSTINGRAY

玄界灘(撮影:越智 隆治)

糸島ダイビング専用ボートのKASASAGI

今回のロケでは、14人乗りのクルーザーSTINGRAYを駆使して、沖ノ島、小呂島、壱岐島などの玄界灘の海を案内してくれた。オーナーガイドの木村尚之さんは、玄界灘の開拓者であり、また、鹿児島のトカラ列島でのチャータークルーズにも力を注いでいる。

Diver’s Guide SUNS
〒819-0201
福岡県福岡市西区宮浦2129-21
TEL:092-809-2378
http://www.sun-project.info/

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PROFILE
慶応大学文学部人間関係学科卒業。
産経新聞写真報道局(同紙潜水取材班に所属)を経てフリーのフォトグラファー&ライターに。
以降、南の島や暖かい海などを中心に、自然環境をテーマに取材を続けている。
与那国島の海底遺跡、バハマ・ビミニ島の海に沈むアトランティス・ロード、核実験でビキニ環礁に沈められた戦艦長門、南オーストラリア でのホオジロザメ取材などの水中取材経験もある。
ダイビング経験本数5500本以上。
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