【玄界灘:DAY4】半端ない群れと圧倒的なカラフルさを誇る、沖ノ島の実力を見よ!
台風7号は通過したが、梅雨前線が停滞し、西日本に甚大な被害を出し始めた頃、もう玄界灘は潜れないだろうと諦めていた5日目(1日は台風直撃で潜れず、宿泊所待機)のこと。「雨の予報ですが、海は安定しているようです」とSUNSの木村尚之さんから連絡が入った。
しかも、目指すのは初日を最後に、もう潜れないだろうと諦めていた、玄界灘のメインスポット・沖ノ島!
まさかこのコンディションで再度潜りに行けるとは思っていなかった。
台風7号と、強烈な梅雨前線の影響を受けながら、6日間のダイビングスケジュール中、糸島に1日、玄界灘に3日、沖ノ島に2日潜りに行けたことは、不幸中の幸い、いや、奇跡に近いかも。
これも、初日に沖ノ島に手を合わせたおかげかなと感謝して、クルーザー・STINGRAYに乗り込んだ。
精神統一して
シキシマハナダイ撮影に挑む
初日と違い、いつ雨が降ってもおかしくないような曇天。
しかし、海は奇跡的にべた凪。海だけでいえば、初日よりも全然穏やかだった。この日の沖ノ島は、雲に覆われ、神秘的な雰囲気を醸し出していた。
最初に潜ったのは、「インペリアル」。浅場から、根のトップが7m、15m、20mほどもある巨大な根が立ち並び、海中に遺跡のような階段状の地形や、クレバスがあることから命名されたポイントだ。しかし、この日は透明度が悪く、全容がわからなかった。
地形ポイント「インペリアル」で最初に向かったのは、水深40mくらいにいるというシキシマハナダイの生息するドロップオフ。マクロ撮影が狙いだ。
事前に、「群れがすごくても無視して、シキシマ撮影に集中しましょう。その後、遺跡っぽい地形、カラフルなクレバス、根のトップでキンギョハナダイと移動します」と木村さんと打ち合わせしていたのだが・・・・。
いざエントリーすると、すっごい数のヒラマサが僕らにまとわりついてくる。
それは、水深30mを超えて、シキシマハナダイを見つけてからも続いた。ドロップオフで、マクロカメラを構えても、目の前でヒラマサは「俺らを撮影しろよ〜、しろよ〜」的に旋回を繰り返す。
せ、精神集中ができない・・・。群れを撮影したい衝動を抑えながら、シキシマハナダイにカメラを向ける。
このシキシマハナダイ、他の海では、見られるのは水深50mくらいからと深いのだけど、ここではシーズンによっては、25mくらいまで上がってくるという、ハナダイ好きにはたまらないネタだ。情報として、撮影しないわけにはいかない。
今回は、水深30mほどで、20数個体を目撃。
一緒にいるのは、サクラダイ。シキシマハナダイは初めて見たし、サクラダイもあまり見ないのだけど、どちらもキンギョハナダイ同様、個体のサイズが大きいように感じた。
回遊魚の群れとキンギョハナダイの
コラボ撮影の裏側
どうにかシキシマハナダイの撮影を終了して向かったのは、階段状の地形とカラフルなソフトコーラルに覆われたクレバス。
ソフトコーラルのカラフルさも、玄界灘の海の大きな特徴と言っていいだろう。
撮影を終えると、岩礁の潮上に群れる、キンギョハナダイ撮影に。潮の当たり具合がよかったのか、初日の「祇園」よりもハナダイの群れ具合が半端無い。
しかも、そこに先ほどのヒラマサの大群がぶわ〜っと回遊してくる。
普通、これだけの回遊魚が向かってきたら、岩陰に逃げ込むのが普通のハナダイ。しかし、サイズが大きいからか、群れがすごすぎるから強気なのか、ハナダイたちは逃げない。
わかる人にしかわかってもらえないかもしれないが、迫ってくる回遊魚の群れとキンギョハナダイの群れを1枚の写真で一緒に映り込ませることは、かなり難しいこと。しかし、ここならできるかもしれないと思い始めた。
回遊魚が回って来ると、普通は根から飛び出して撮影するのだが、今回は、根から動かずにキンギョハナダイの群れの背後から、回遊魚を絡めての撮影を試みた。
粘るが、なかなか思うようにまとまらない。途中から、自分の意図を理解し始めた木村さんは、僕の背後でボンボンとペットボトルを鳴らして、ブリやヒラマサなどの回遊魚を呼び寄せ続ける。
この試みは、2ダイブ目でも続いた。二人して、1本目と同じ場所にとどまり、回ってくる回遊魚をじっと待ち、木村さんはけんしょう炎になるのではないかというくらいに、ペットボトルを叩き続けてくれた。カメラを構えたダイバーの真後ろで、ペットボトルを鳴らし続けるダイバー。はたからみていたら、変な宗教みたいにも見えたかもしれない。
艶やかに圧倒される
ソフトコーラルの群生
3本目に潜ったのは、「トライアングル」。
まったりと楽しめるアーチポイントだが、そのアーチの中のソフトコーラルの群生は目を引く。最初に冊子で目を通して以来、撮影したいと思っていたポイントでもあった。
そして、水深25mのオーバーハングもソフトコーラルに覆われた小窓のようになっていて、手前が白砂の海底なので、美しい景観が撮影できる
回遊魚の群れ!群れ!
圧倒的な数で海中を彩るキンギョハナダイたち。
海中を埋め尽くすように成長したソフトコーラルの美しさ。
どれもが素晴らしい海中景観に、圧倒された玄界灘、沖ノ島でのダイビング。
今回は、悪天候もあり、すべてを潜りに行くことはできなかったが、「群れの規模は、夏、そして秋にかけてさらに大きくなります。是非また秋に潜りに来てください!」と木村さん。
ええ!群れの規模はこれ以上になるってことですか!?
まだまだ、玄界灘の本領を見ていないということか!おそるべし、玄界灘。
そして、こんな海が今までベールに包まれていたこと、その海を開拓し世に知らしめた木村さん、そして松本さんの行動力、開拓精神に改めて、敬意を表したい。
次回は、沖ノ島だけでなく、壱岐島、小呂島、そして二神島と、玄界灘のすべてのポイントを、できれば、ベストオブベストのコンディションで潜り倒したい。それが、今後の夢の一つになった。
■supported by Diver’s Guide SUNS
福岡で唯一、海辺のリゾート糸島にベースを置くダイビングサービス。
2隻のボートを駆使して、糸島エリア、玄界灘を潜る。しかも、そのポイントは全てSUNSのオリジナルポイントという、まさに玄界灘の開拓者。
今回のロケでは、14人乗りのクルーザーSTINGRAYを駆使して、沖ノ島、小呂島、壱岐島などの玄界灘の海を案内してくれた。オーナーガイドの木村尚之さんは、玄界灘の開拓者であり、また、鹿児島のトカラ列島でのチャータークルーズにも力を注いでいる。
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