徹底解説!電熱ヒートベスト「フィックスアンダーウォーマー(フィッシュアイ)」〜プールで実験&NGリストも!〜
現在FIX UNDER WARMER HEAT VESTはウエットスーツでの使用、水洗いをメーカーから推奨されておりませんのでご注意ください。
▶︎公式サイトからの注意
2019年10月に発売された、水中で使える電熱ヒートベスト、FIX UNDER WARMER HEAT VEST(フィックスアンダーウォーマーヒートベスト)。
発売時には、オーシャナでも、いち早くニュースをお知らせしました。
発売以来、問い合わせが続出しているそうです!
冬のダイビングを快適にしてくれる新器材、ダイバーのみなさんも注目されているんですね。
ダイバーのみなさんの“気になる!”にお応えすべく、今回オーシャナでは、全3回の連載にて、FIX UNDER WARMER HEAT VEST(フィックスアンダーウォーマーヒートベスト)を掘り下げます!
▶︎【第二回目】フィッシュアイの電熱ヒートベストを着てダイビングしてみた!〜冬の海でウエット&ドライでTRY!〜
▶︎【第三回目】電熱ヒートベスト「フィックスアンダーウォーマー(フィッシュアイ)」座談会〜開発秘話と今後の展開に迫る!〜
初回は、基本的な性能を徹底解説。
さらに、「本当に温かいのか……!?」を検証すべく、プールでも温度計測の実験をしてきたので、その様子と結果をお伝えします。
プール実験の際には、FIX UNDER WARMER HEAT VEST(フィックスアンダーウォーマーヒートベスト)を開発されたフィッシュアイ代表・大村さんと、最近編集部に体ばかり張らされている(!?)うみカメラマン・むらいさちさんにご協力いただきました。
(ありがとうございました!)
最後には、使用上の注意点もご紹介します。
FIX UNDER WARMER HEAT VEST(フィックスアンダーウォーマーヒートベスト)の購入を検討されている方、また、購入したけれどしっかり理解したい方、注目の内容です。
ぜひ、ご覧ください(^^)/
■Index
徹底解説!
フィックスアンダーウォーマーヒートベストとは!?
FIX UNDER WARMER HEAT VEST(フィックスアンダーウォーマーヒートベスト)は、ウエットスーツやドライスーツのインナーとして使える、電熱ヒートベストです。
この電熱ヒートベスト、実は、耐圧水深100mという、ハイスペック……!
ではさっそく、商品の特徴を細かく見ていきましょう。
電熱線で、ベストが発熱
即応性の速い特殊素材のヒーターと、大容量バッテリーの使用により、すぐに発熱します。
スイッチを入れてから、30秒以内であたたかさを感じられます。
ドライスーツ・ウエットスーツどちらでも使用可能
水中ライトやハウジングなど数多くの水中撮影機材を手がけてきたフィッシュアイの経験と技術により、水深100mの使用に耐える耐圧防水構造を実現しています。
3段階の温度調節が可能
ボタン操作で、LOW→MED→HIGHの3段階に切り替えが可能です。
それぞれの温度、持続時間は以下の表をご参照ください。
モード | LOW | MED | HIGH |
---|---|---|---|
温度 | 45℃ | 50℃ | 55℃ |
持続時間 | 310分(5.2時間) | 180分(3時間) | 150分(2.5時間) |
ボタン1つのシンプル操作
操作を行う、ワイヤレスリモートコントローラーは、厚手のグローブ装着時でも、確実に操作できるストロークの長いプッシュ式スイッチです。
1プッシュで温度、長押しでON/OFFの切り替えができ、操作方法にも困りません。
切り替えが完了すると、ヒートベスト本体のリモコン感知部が振動します。
伸縮性と耐久性を兼ね備えたミックス素材
電熱ヒートベストの生地には、伸縮性の高い素材と、耐久性の高い素材がミックスされています。
この、さらりとした触感のしなやかな生地が、抜群のフィット感と着やすさを生み出します。
最大約5.2時間の連続使用可
大容量バッテリー2基の使用により、LOW状態で5.2時間の長時間使用が可能です。
充電を気にせず、1日、ダイビングを楽しむことができます。
定価39,800(税抜き)から、選べる3モデルと9つのサイズ展開
目的・用途に合わせて、3つのモデルから選ぶことが出来ます。
また、XXS~4XLの9つのサイズ展開により、幅広い体型の方に対応可能です。
ドライスーツ・ウエットスーツ対応は2モデル
ドライスーツの上からでも、操作可能なワイヤレスリモコン式は、両面ウォームアップのWL5200FBと、背面ウォームアップのWL2600Bの2モデルが用意されています。
電熱線搭載部 | サイズ展開 | 定価(税抜き) | |
---|---|---|---|
WL5200FB | 前面・背面 | XXS~4XL | ¥64,800 |
WL2600B | 背面のみ | XXS~3XL | ¥49,800 |
有線式コントローラータイプは39,800円(税別)!
WD2600Bは、電源や、温度調整を行うコントローラーが、ワイヤレスでなく、ケーブルでベスト本体と、繋がった有線コントローラータイプです。
ドライスーツで利用すると、水中で温度調整やON/OFF操作ができないため、ウェットスーツ利用の方や、サーファーの方にオススメです。
肩口からコントローラーがケーブルで繋がっているので、首筋からコントローラーをスーツの外に取り出して操作します。
電熱線搭載部 | サイズ展開 | 定価(税抜き) | |
---|---|---|---|
WD2600B | 背面のみ | XS~XL | ¥39,800 |
オナカぽっこりの方にも優しいオプション!
ウエスト部分が窮屈な方は、別売のエクステンションスリップ(税別1,980円)を追加することで、10~20cmずつ幅調整が可能です。
その際、エクステンションケーブルを追加することで、本体と背面ポケットのバッテリー接続にも、対応できます。
電熱ヒートベストをプールで実験!
実際にスーツ内部がどんな具合に暖まるのか調べてみました
では、「水中で本当にあたたかいのか?」という疑問にお答えすべく、開発者のフィッシュアイ代表・大村さんと共に、実験をしてきました。
被験者は、うみカメラマンのむらいさちさんと私、オーシャナ営業部のスイカです!
実験の大きな目的は、電熱ヒートベスト利用時のあたたかさを可視化すること。
そのため、
・すぐあたたまるのか?
・どれくらいあたたかいのか?
・着用箇所以外もあたたかいのか?
・動くと変化があるのか?
を知るために、
・温度変化が現れる時間
・温度がどこまで上昇するか
・お腹・背中・太もも・足首それぞれの温度変化と温度差
・バタ足時の温度変化
をプールで計測することに。
計測に使用したのは、こちらの温度ロガー。
白いセンサーが、温度変化を10秒ごとに自動で記録し、アプリからその様子を見ることができます。
この温度ロガーは、フィッシュアイ代表・大村さんにご用意いただいたものですが、今回の実験のためにセンサーに繋げるコードに防水処理を施していただきました。
さ、さすがです……!!
計測パターンは以下の通り。
1、ウエットスーツのみ着用
2、ウエットスーツ+電熱ヒートベスト着用
3、ドライスーツのみ着用
4、ドライスーツ+電熱ヒートベスト着用
実験の舞台となるのは、三浦 海の学校のプールです。
実験を行ったのは、11月末でした。
はい、この日の水温はなんと、14度……!
いいお天気ですが、気温は9度。
なかなか寒いです、、、が、この寒さの中でこそ、ヒートベストの真価が発揮されるはず。
さっそく実験開始です。
ウエットスーツの被験者となるのは、うみカメラマンのむらいさちさん。
お腹・背中・太もも・足首に、コードを繋げています。
これで、各装着箇所の、ウエットスーツと体の間の水温変化を計測します。
まずは、電熱ヒートベストOFFの状態で計測。
ロクハン(6.5mmウエットスーツ)とはいえ、さすがに寒い様子。
顔を歪めながらも、真剣に実験に取り組んでくださっています……!
エントリーから5分くらいの間に、どんどん温度が下がり、10分程度で変化がなくなったため、終了。
この10分で約4度、一気に下がりました。
5分のインターバルを挟み、次はヒートベストをONにします。
強さはHIGHに設定しました。
すると1分も経たないうちにむらいさんから「あったかくなってきた〜!!!」の声が。
iPadに目を移すと、確かにどんどん温度が上昇しています・・・!
早い・・・!
背中の方が温度変化が大きく、15分経たないうちに30度まで上昇しました!
お腹側も29度まで上がって落ち着いた・・・のですが、、
“30度まで上がって欲しい!”と願いを込めて「頑張れ!頑張れ!」と応援する大村さんと私。
もはや主旨が変わっています。笑
その後、温度変化がなくなったところで、バタ足を10分程度実施。
これにて、ウエットスーツの部、終了です。
さて、ドライスーツの被験者は営業部のスイカこと、私が担当。
ウエットスーツと同じ流れで、実験を行いました。
ドライスーツは、寒さとの戦いもありませんでした(笑)ので、割愛しますね。
果たして、実験結果は・・・!?
プール実験結果発表!
電熱ヒートベスト着用時の温度変化は?感想は??
いよいよ実験結果の発表です。
・温度変化が現れる時間
・温度がどこまで上昇するか
・お腹・背中・太もも・足首それぞれの温度変化と温度差
・バタ足時の温度変化
ウエットスーツ+電熱ヒートベスト、ドライスーツ+電熱ヒートベストそれぞれで、計測箇所の温度変化をグラフ化したものをみていきましょう。
【実験結果】ウエットスーツ+ヒートベスト
・1分程度で温度上昇
・お腹と背中は30度以上に上昇
・太ももと足首の温度はほとんど変化なし
・太ももと足首の温度差が約10度
・バタ足時、背中のみ温度上昇
太ももと足首は、電熱ヒートベストをONにしてもほとんど変化なし・・だったため、体感的には寒かったようです。
特に足首は17度と低く、14度の水温とほとんど変わりがありません。
これでは体温もどんどん奪われていきます。
実験後半は、むらいさんも「早くあがりたいよ〜」とちょっと辛そうでした。
しかし、温度上昇のスピードには目を見張るものがありました。
むらいさんも、電熱ヒートベストをONにして1分足らずで「あったか〜い!」と言っていたので、即効性は間違いなさそうです。
また、実験中「温泉みた〜い」と言っていたむらいさん。
お腹、背中は30度と体温よりは低いものの、体感的には気持ちが良いくらいなのかもしれません。
確かに、水温30度でダイビングした時って、「お湯だ・・」と思うくらい暖かいですよね?
実際に、プールの水温との差は16度(倍以上!)もあるので、暖かく感じるのも当然ですよね!
(なぜ、お腹の温度が一回下がってから上昇したのかは謎ですが、これがリアルな計測結果です)
【おまけ】ヒートベストをONにした瞬間の、むらいさち氏↓
【実験結果】ドライスーツ+ヒートベスト
・1分程度で温度上昇
・お腹は40度、背中は46度まで上昇
・お腹は一度下降し、再度上昇
・太ももははじめに温度上昇して、緩やかに下降
・足首の温度はほとんど変化なし
・太ももと足首の温度差はほとんどなし
・バタ足時、背中のみ上昇
お腹・背中の温度上昇スピードはやはり1分程度と、電熱ONのウエットスーツと同様でした。
大きく違うのは最高温度。
電熱ONのウエットスーツの時と違って、40度以上になっていました。
体感的にも、ドライスーツを着用しているとはいえ、電熱ヒートベストOFF時とは比べ物にならないほどあたたかかったです。
バタ足時、ウエットスーツの時と同様、背中の温度が上昇しています。
これはおそらく、バタ足姿勢になった際に、背中が水面から出たためだと思われます。
そのため、今回の実験では、バタ足の時の温度変化は、あまりないと結論づけました。
また、ウエットスーツの時と違うのは、太もも・足首の温度差。
水に直接触れていない分、温度変化も少なく、体温も奪われにくいです。
ドライスーツと電熱ヒートベスト、最強なんじゃ・・・!?
実験結果まとめ
電熱ヒートベストをONにしてから1分も経たずに温度が上昇
すぐにあたたまるので、あたたまるまで寒さに耐える必要はほとんどありません!
ウエットスーツだと30度、ドライスーツだと46度まで温度上昇
体感的なあたたかさはバッチリ。
暑すぎる時は、モードをLOW、OFFに切り替えるなど工夫で対策できそうです。
着用箇所以外は、電熱ヒートベストの影響を受けない。
水温に合わせて、ドライスーツかウエットスーツかを選ぶことで、あたたかさを調整しましょう。
バタ足による温度変化はなし。
動くことで、スーツと体の間の空気、水が逃げて寒くなってしまう、ということはなさそうです。
激しく動いた場合は、その限りではありませんので、注意は必要です。
フィックスアンダーウォーマーNGリスト
これだけはやっちゃダメ!な注意点
さあ、電熱ヒートベスト、だんだん欲しくなってきたのではないでしょうか・・・。
とはいえ、水中で使える電熱ヒートベストって、今までになかなかない製品なので、取り扱いが気になりますよね。
そこで、長く、安全に使用していただくための注意点も、大村さんに聞いてきました!
注意点1、ヒートベスト本体を、直接AC電源につながない
電熱ヒートベストを利用するためには、バッテリーを充電しておく必要があります。
その時に注意したいのが電熱ヒートベスト本体の端子を、AC電源に繋いでしまうことです。
これをしてしまうと、電熱ヒートベストがショートして壊れてしまいます。
バッテリーの端子と、電熱ヒートベスト本体の端子の形状が同じなので、注意が必要です。
注意点2、バッテリー同士を繋げない
電熱ヒートベストには、バッテリーが2つ付いてきます。
この2つを繋げてしまうと、注意点1と同様、ショートして壊れてしまいます。
注意点3、バッテリを1つだけつないで使用しない
電熱ヒートベスト使用時には、必ず2つのバッテリーを使うようにしましょう。
これには2つ、理由があります。
1つ目は、電流が流れている、ベスト側コネクター部が、バッテリーを繋がないまま海中に浸かると、「電触」という腐食を起こしてコネクター端子を傷めてしまうからです。
もう1つは、最大40W(2600タイプは20W)の、大きな電力を消費する製品なので、バッテリーを片方だけで使用すると、容量的に余裕が無く、過放電されてしまうことにより、バッテリーの寿命を縮めたり、液漏れを起こしたりする原因になりえるからです。
注意点4、陸上で電源を入れたままや、バッテリーを繋いだまま放置しない
電熱ヒートベストの電源をONにした状態で、陸上で放置しておくと、ベスト前面と背面が接触し、コイル効果などにより、設定以上の温度が、発生することがあります。
この高熱により、内蔵ヒーターを傷めたり、場合によって、ベスト本体が焦げたり、溶けたりしてしまう可能性があります。
また、バッテリーを繋いだまま放置すると、何かの弾みで電源がONになってしまう可能性もあります。
必ず電源をOFFにしてから、脱ぐだけでなく、脱いだらバッテリーまで外す習慣をつけておくと良いでしょう。
注意点5、バッテリーを繋がずに、バッテリーと電熱ヒートベストを水中に入れない
バッテリーを電熱ヒートベストに繋いでいない状態で、両方水中に入れてしまうと、端子が海中で通電し、腐食してしまい、使用できなくなります。
海に入る前には、バッテリーをしっかり電熱ヒートベストに繋げたか、ご自身、バディ同士でも確認しましょう。
FIX UNDER WARMER HEAT VEST(フィックスアンダーウォーマーヒートベスト)
すでに購入された方も、検討されている方も、FIX UNDER WARMER HEAT VEST(フィックスアンダーウォーマーヒートベスト)がどんなものなのか、ご理解いただけたのではないでしょうか。
これからどんどん寒くなる季節、FIX UNDER WARMER HEAT VEST(フィックスアンダーウォーマーヒートベスト)で冬のダイビングをさらに快適に、楽しんでみてはいかがでしょうか。
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代表の大村謙二さんが、水中撮影機材の商社として、1995年に創業。
Nauticamハウジングなど世界中の水中撮影機材のブランドの日本総代理店を務めつつ、オリジナルの製品開発も積極的に行う。25年に渡って数多くの展示会、イベントに参加。
世界中に販売ネットワークを持ち、オリジナルブランド FIX Light Systemなどは国内外に数多くのファンを獲得。
2019年に、FIX UNDERWARMERシリーズの第1段である、FIX UNDER WARMER HEAT VESTを発売し、こちらも世界中でブレーク中だ。
HP/http://www.fisheye-jp.com/
Tel/03-5996-5637
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むらいさちProfile
うみカメラマン。沖縄でダイビングガイドを経て、写真の世界へ。現在は、水中からオーロラまで地球全体をフィールドに「しあせな瞬間」を求めて撮影している。著書に『FantaSea』(BUNKADO)、『きせきのしま』(小学館)、『よるのこどもの あかるいゆめ』(マイクロマガジン社)などがある。