【屋久島】オトメベラの屋久島での社会構造その2 by 原崎森
【ポイント】 一湊タンク下No.1
【水温】 22.3℃
【透明度】 15m
【海況】 凪ぎ
【天候】 晴れ
【潜水時間帯】 10:11-12:28
【潮まわり】 06:04 184cm 満潮 / 11:37 108cm 干潮 /17:06 198cm 満潮 / 大潮(月齢:12.9)
【日の出・日の入】 日出07:02 日没17:17
昨日の観察でまだオトメベラが繁殖しているような気がしたので、今日は産卵を狙って午前中にエントリーした。
通常(シーズン中)、オトメベラは屋久島では午前10持くらいから正午にかけての時間帯に産卵が見られることが多いのだ。
しかも、シーズン中はほぼ毎日。
結論から言うと、産卵行動はまったく見られなかった。
雄は全然婚姻色(眩しいくらいに真っ青な体色)になっていないし、派手な求愛もほとんど見られなかった。
もうひとつの目的である「チビのくせに婚姻色になる子」も当然、見つからなかった。。。(ーー;)
もう繁殖期は終わったのか、たんにピークは過ぎているので毎日は産卵していないのか、はたまた季節に応じて産卵時間をスライドさせているのか。。。
ひとまず今日は産卵は見られなかったけど、東地区のハレムのボスである二次オスを2時間以上ストーカーしていたので、彼のテリトリーと囲っている雌相の数はだいたい把握できた。
二次オスはある一定の範囲を巡回しているようで、必ず決まった場所にいる雌相の子たち(10-12匹)をチェックして回っているようだった。
その範囲は思いの外狭く、だいたいバレーボール・コート1枚分くらいではないだろうか?
継続観察は割としやすいかも。
ほんとごくごくたま〜に雌に求愛らしき行動をとるのだが、その時だけ多少青味を強めるのだが、それ以外の時の体色は雌とさほど変わらない。。。
ただ明らかに体が突出して大きく(15-18cmはある)、尾ビレの先端が長い事、そして興奮色が褪めていても頭部にやや青味が残る事で簡単に「あんたボスでしょ?」と分かるのだけど。(笑)
たまに雌相の子に体の側面を寄せるようにして上から迫るのだが(右写真参照)、シーズン中のように頻繁に行うわけではなく、また執拗に行なっているわけでもない。
これは求愛なのか脅しなのかわからないが(笑)、すべての雌相の子に行なっているわけではないようなので、その辺にこの雌相の子が一次雄なのか?雌なのか?を見分ける術があるかもしれない。。。
さっきから「雌相」という言葉を連呼しているけど、この「雌相」というのは”雌のような体色”くらいの意味で、決して繁殖活動を行う上でのメス(♀)の事を言っているわけじゃない。
このオトメベラは産まれながらの雄である一次オス(体色はメスとほぼ同じ体色)と雌から性転換する二次オス(雌相とは異なる派手な体色=大抵はハレムのボスとなる)がいる事が知られている。
つまり、ここで言う雌相には繁殖活動を行う上でのメス以外に一次オスも含んでいるのだ。
外見上ではこの一次雄と純粋な雌を見分ける術は今のところない。
これを見分けるためには産卵時の行動(動き)を見るしかないと思っているのだが、こりゃ、これを確認できるのは来年かな。。。(・_・;
ところで、このオトメベラを含むニシキベラ属の繁殖には間男(ボスが雌とペア産卵している時に横から出てきてどさくさに紛れて精子をかける雄)の存在は知られているのだが(僕は見たことがないけど。。。)、スニーカー(ボスのテリトリー内で隠れてコソコソと雌を奪ってペア産卵する雄)というのはまだ聞いたことがないし、見たこともない。
屋久島のように、群れ産卵は見られず、しっかりとしたテリトリーを持ってペア産卵のみが行われるような環境では、もしかしたらアカササノハベラやムナテンベラのように間男やスニーカーがいるかもしれない。。。
いるのならぜひ見てみたい!!!
で、それが多分「チビのくせに婚姻色になる子」だと睨んでいるのだが、今日は見つからなかった。
しかし、普段から通常の雌相の子よりもやや青味がある子はちらほら見られる。
「え〜!!!これって単に写真の露出の違いじゃないの?ストロボの光が届いていないのでは?」と言われかねないので(笑)、2匹が一緖に写っている写真も一応掲載しておく。
って言うか、これも分かり難いか。。。(・_・;
現場で見ると特に顔のあたりに薄っすら青味がかかっているんだけど。。。
この青味の強い子たちは繁殖時にはスニーキングしていそうな気がするのだけど。
今現在、常識のように言われているニシキベラ属の繁殖生態(これがどんなモノなのかはまたの機会に。。。(^_^;))が、生息数や生息環境の違いでまったく違うものになっているような気がして、何かワクワクしてくる。(^^)