小田原セミナー
「第10回潜水医学講座 小田原セミナー」が、
2月14日(日)小田原市民会館にて開催。
以下、講演で気になった2つの言葉を紹介します。
■DAN JAPANについて
国際DANによる、救急救助活動とそれにともなう
再圧治療体勢の世界的ネットワーク作りの具体的な実践の動き。
実現すれば、DANの会員は世界の潜水スポットで、
一定水準以上の医療を速やかに受けることができる。
しかし、DANアメリカの会員は15万人に対し(アメリカの研究費は年間5千万!)、
DAN日本の会員は1万8000人ほど。
以上のことから、日本は会員を増やさないことには、
その他の地域は日本と連携するメリットも少なく、
保険体勢の確立も困難で日本だけ孤立する恐れがある。
印象に残った言葉は、会場からの
「国際DANとの連携はうまくいっているのか?」という質問に対する返答。
国際DANの研究資料など、有効な情報は集まっているが
「英訳する人がいない。つまり、マンパワーが足りていない」
との理由で会員に還元できていないとの返答。
批判しまくっていい発言だが正直過ぎて脱力。
今のところ、DANの会員を増やすことが安全潜水確立の
近道だと考えるので、サポートしたいとも思うが……。
■ 水中での純酸素吸引について
今回の講演の中で最も印象に残ったのは、
「水中での酸素吸引は絶対にやめてください」という
潜水医学の権威・眞野先生の言葉。
僕の認識では水中での純酸素吸引は窒素排出に非常に有効で、
最近、僕が足を突っ込んでいるテックでも当たり前のように
純酸素を水中に持ち込んでいる。
また、酸素による安全停止を模索しているダイバーもいる。
なので、これまで僕の問題意識は、
純酸素を水中で吸引することの是非は、
商業的なことを含め「現実にフィットするかどうか」であった。
2つのガス利用はダイビングの敷居を高くしてしまうので、
どこまでのリスクを許容するべきかを考えていたわけだ。
しかし、潜水医学の権威たる眞野先生の発言は、
それ以前に安全性の問題の指摘であり、正直、驚いた。
「水中での酸素吸引をやめるべき」ということの根拠は、
「発作に対するバックアップの問題」とおっしゃっていたが、
水深4㍍以浅の純酸素吸引であれば酸素中毒のリスクは計算上はないので、
酸素に対する個人の適性を指しているのかと想像される。
ししかし、窒素排出による減圧症予防とのプライオリティーを検討すると、
根拠としては弱い。
おそらく多くの人は「水中で酸素を吸っちゃ危ないんだ〜」と思っただけだろうが、
個人的にはどうにもこうにも引っかかる。
ここからは僕の勝手な推測だが、
安全の問題より、医師法によるグレーな部分と、
DAN JAPANN代表理事や医師という眞野先生のお立場という
政治的な背景による発言なのかもしれない。
引き続き、上記テーマを追っていきたい。
誰も興味ないだろうけど、いいの(笑)。