[MORE企画連載]プロダイバーによる水中清掃で伊豆半島をつなぐ!海ごみ一掃プロジェクトin沼津市静浦漁港
伊豆半島を中心にごみ問題に取り組んでいるMORE企画です。私たちは、これまで山の中から水中まで様々な場所の掃除をしてきました。そんな私たちが2024年から新たに始めたプロジェクトが、この【伊豆半島の海ゴミ一掃プロジェクト】です。
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少し前の話になりますが昨年の6月3日、第一回目となる水中清掃を沼津市の静浦漁港(静浦マリーナ)の湾内で実施しました。一度も水中清掃をしたことがないこの場所には、下見の段階で色々なものが落ちていることを確認。
作業潜水に長けている熟練のスキューバダイバーを募り、有償のボランティアとして水中作業を実施しました。この記事では、プロジェクトの全貌を紹介していきます。
誰も潜ったことのないエリアでの清掃!
水中清掃の舞台となった静浦漁港(静浦マリーナ)は、普段から多くの船が停泊しており、付近は釣りのスポットとしても人気のエリアです。
海を訪れる人は絶えませんが、潜水禁止区域のため、水中の様子を知る機会はこれまでありませんでした。そんななか水中清掃を実施するきっかけとなったのは、静浦漁港を管理している(株)富士ボーディングからの依頼。

沼津市にある静浦マリーナは多くの船舶が停泊している
これまでも水中清掃を行なってきたMORE企画ですが、誰も潜ったことのない湾内での大規模な清掃は初めてでした。
事前に打ち合わせと下見を行い、岸壁に沿ってゴミが落ちていることを確認、潜水計画を立てながら、沼津市にかけ合いごみの無償回収を承諾していただきました。

下見で確認できたゴミ:バイク

タイヤ
また、清掃を行うのは私たちMORE企画ではなく、普段から作業潜水や救命救助を行うプロのスキューバダイバーへ有償ボランティアとして委託。
プロジェクトを行う資金は、日本財団、しずぎんふるさと環境保全基金、一般社団法人中部地域づくり協議会、伊東市SDGs補助金から助成金を得て実施しました。
さらに、周辺地域の飲食店、商店より協賛品を募り、昼食やダイビング休憩中の間食として提供していただきました。(協賛:はなぱん、Grandmaシーサイド店、沼津ふなとひもの屋など)

「みんなで少しずつ海に関わって、海に愛着を持つ」という考えのもと協賛を募っている

協賛品のシュークリーム
静浦漁港湾内での水中清掃
エントリーは岸壁から行い、海の作業ダイバー6名と撮影係1名が入水。
2チーム(1名水面、2名水中)に分け、水面係は水中と陸との連携に加え指示係を担ってもらいました。
漁港ということもあり、漁船の往来もあるため、フロートにダイバーが作業中であることを知らせるA旗と注意喚起の旗を用意し安全に清掃を行える環境を整えました。

作業していることが一目で分かるよう自作した旗を使用

万が一漁船が来た際の注意喚起となる
水中では2通りの方法でゴミを回収しました。
1つ目はダイビング器材を入れるメッシュバッグを使用する方法。空き缶やペットボトルなどの小さいゴミをバッグの中に入れ、いっぱいになったところで回収用ロープに括り付け、ロープを引っ張ることで水面係に合図を出し、引き上げます。

耐久性もありロープへの固定もしやすいメッシュバッグ

引き上げを行う陸班
2つ目は回収用ロープに直接ゴミを括り付ける方法。
バッテリーやタイヤのような大きなゴミをロープで固定し、1つ目と同様水面係に合図を出し引き上げます。
重たくて持ち上がらないものに関しては、リフトバッグを使用しました。
水面まで上がったゴミは、陸班によって引き上げます。劣化が進み、引き上げた際に崩れそうなゴミ、重たいゴミはフォークリフトにて回収しました。

海水で劣化したバイク

鉄片のようなもの
作業時間は1本目は45分、2本目は60分で行い、約1トンものゴミを回収することができました。
水中から出てきたのは、便器、バッテリー、パイプ、ホース、バイク、鉄くず、空き缶、ペットボトル、トタン破片、陶器、釣り具、タイヤ、船のエンジン、船のスクリュー、ワイヤー、車のフレーム、電池、ハサミ、ホース、ガラス瓶、プラスチックケース、アルミ、衣服、バッグ、ビニール破片など…。誰でも出入りができる港であることから、ごみの種類も多岐にわたっていました。
(③④)
静浦漁港での清掃の様子は、動画でも紹介しています。ぜひチェックしてみてください。
周辺地域や行政に協力いただき、ダイバー同士のつながりを強化し、他業種間の交流にもなる、そんな大旗をあげて始めたこのプロジェクト。第一回目の沼津市・静浦での清掃活動を終えて、私たちが作ろうとしている未来に一歩近づいたと感じました。
そして、ものの2時間程度の水中清掃で約1トンものごみが引き上げられている現状を見ると、ごみ問題は想像を超えて危機的状況にあることも明らかになりました。一人でも多くの方に指先だけでも関わって協力してもらい、自分事にしてもらうこと。
それが、自分たちの自然環境を自分たちで守っていくことに繋がると私たちは思っています。
P.S. 読んでいるあなたも、この記事をシェアするだけで「協力」したことになります。
NPO法人MORE企画
▶プロダイバーが水中清掃したら…2時間でごみ1トン超!(東京新聞)
▶春の海ごみゼロウィーク~アンバサダイバー白井さんによる「伊豆半島一掃!海と日本プロジェクトin静浦」(PADI)
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