海を守るためにイギリスの団体が行っている様々な海洋保護施策とは

海の生態系や生物多様性の保全に対する意識の高まりから、生物多様性の保全を推進する動きが世界的に活発になっており、イギリスでも「海」に注目が集まっています。

1977年に設立されたイギリスの海洋保護協会・Marine Conservation Society (MCS)はその代表格。

イギリスの海洋保護協会Marine Conservation Society

乱獲、海岸ゴミの増加と不十分な海洋環境保護政策等の懸念から慈善団体として活躍をはじめ、今では海の未来を確実なものにするための努力をしており、海が大好きな人々の「声」にもなっています。

広報活動や環境教育等を通して多くの関係者が海洋環境の保全に参加できるような施策を推進していますので、今回はそれをご紹介します。

「ビーチウォッチ 」
Beachwatch

MCSの調査によりますと、イギリスの海岸のゴミは劇的に増加しております。
ゴミの量はこの15年で2倍に上がり、海鳥や亀等を危険にさらしています。

MCSは2015年までにゴミの量を半分にまで削減したいという考えから、 オンライン署名を始め、3,000人以上のボランティアと海岸の大掃除も実施しています。

その結果、海岸沿いに散らかっていたゴミは少なくなったものの、まだ大量のゴミが残っていることが明らかになってきています。

イギリス環境省は、ゴミは持ち帰るよう人々に呼びかけています。
ボランティアは参加するだけでなく、「オーガナイザー」として自分の地域で海岸大掃除をアレンジする事もできます。

近くの海岸ゴミが心配な方は自分で海岸大掃除をアレンジしてみてはいかがでしょうか。

「グッドビーチガイド」
Good Beach Guide

イギリスのGood Beach Guide

このガイドは、イギリスの最も汚れていないビーチをリストアップした 便利な無料ガイドです。
イギリスの海水浴場の水質調査を基に、水のきれいなビーチをリストしたものです。

様々な地域の水質が調査されておりますが、35年前に制定されたヨーロッパ法の水質基準が見直され、2015年からもっと厳格になるため、イギリスのすべてのビーチが基準をクリア出来るよう頑張っています。

イギリスでビーチバカンスをお考えの方はGood Beach Guideを見てから行き先を決めましょう!

「シーサーチ」
Seasearch

Seasearchとは、海洋生物に興味があり、更に詳しく学びたいだけでなくイギリスの海洋環境を守りたいと考えているボランティアダイバー向けのMCSのプロジェクトです。

シーサーチの最大の目的は、どのような海洋生物がどこに暮らしているのかを調べ、海洋生物が最も多い海域と少ない海域、さらに海洋保護が必要な海域等をまとめ、政府機関等と情報をシェアし、記録をとることです。

PADI、BSAC等のダイビング団体や様々な政府関連機関、非営利団体も関わっており、ボランティア活動を始める前は海洋生物、海洋保護等のセミナーを通してトレーニングを受けることも出来ます。

Seasearchは多くのダイバーにとってダイビングを楽しみながら海洋生物の知識を深め海の保護に貢献できる貴重な経験です。

「食べていい魚のリスト」
The Good Fish Guide

イギリスのFish Online

私達が食べる魚はどこから来ているのか考えた事ありますか?

MCSは、魚の種類を「eat(食べてOK)」、「avoid(避ける)」と2つのカテゴリーに分けています。
これは栄養等に基づいたものではなく、生態系がどう守られているかによります。

一つ一つの魚介類について、捕獲地や養殖地によって食べてもOKか避けるべきかという情報を、MCSが提供しています。

内容が簡単にまとまったカードもあり、これを携帯できるようにもなっていますので、気になっている人はスーパーやレストランで注文する時ちょっと参考にと利用することもできます。

また、ウェブサイトには「今月の魚」というレシピも載っていますので、それを試すのも楽しいかもしれません。

海辺の美しい景観や海洋動物を守るためにも、何かを変えなければならない時がきています。

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PROFILE
イギリス生まれ、8歳から13歳まで日本で育ったイギリス人と日本人のハーフ。

2006年に再度来日し、ナレーター、翻訳者、ライターとしてNHKテレビ、ラジオ、日本駐在外国人向けのウェブサイトなどで活躍。
2010年ニューカレドニアで体験ダイビングをしたのを機にライセンスを取り、2011年以降定期的に日本で潜っている。

日本の海の魅力、多様な生物や地形等に感動し、海外であまり知られていない日本のダイビングを紹介する目的で、2011年にブログ(Rising Bubbles)を立ち上げた。

外国人向けのサイトや海外のダイビングサイトで日本のダイビングスポットを定期的に紹介しており、スコットランドのセントアンドリューズ大学で水産養殖も勉強中。

「ダイビングをきっかけに、日本の海がどれだけ魅力的なのかをすごく実感しました。この連載では、たくさんの情報を届けていきながら、海外からのトピックを取り上げ、日本と海外の違いや海外の視点等をシェアするのを楽しみにしております」
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