世界初の両足がないダイビングインストラクターを目指す退役軍人

「今日の私があるのもデプセラピー(Deptherapy)のおかげだ」

爆風で両足を失くした、一人のアフガン戦争の退役軍人クリス・ミドルトンさん。
先週ご紹介したデプセラピーと出会い、世界初の両脚切断ダイビングインストラクターを目指しています。

2011年、21歳の誕生日を迎える9日前、ヘルマンド州の道路沿いの爆発で両足を失くしました。

しかし、水中で泳いでいたら、普通の自分に戻ったと感じ、「僕も健常者が普段やっている事ができるんだな」と思ったそうです。

23歳になったクリスさんは、デプセラピーというチャリティーのおかげで、将来が楽しみだと話しています。

デプセラピーは、ダイビングを通して、重傷を負った軍隊の方などにリハビリを施し、プールでのトレーニング後、海でオープンウォーターのトレーニングを行ないます。

デプセラピーのおかげで潜れるようになった人は、自分に自信を持つようになり、社会復帰が少し楽になったと言います。

クリスさんは2011年8月に重傷を負い、2012年3月にフロリダ州キー・ラーゴで初めて潜りました。
彼はこう話しています。

「ダイビングをやっているから、自分が元に戻った、皆と同じだという気持ちになります。
水中は無重力環境で気持ちよく、健常者が普段やっている事もできるんです。障害を忘れる事ができます。
最近はエジプトに行って、もっと深く潜れるようになるためのトレーニングを受けています」

2014年8月の時点で、クリスさんはPADIのディープ・ダイバー・コースを修了し、今は40mの深さでディー・ダイバー・スペシャルティ・コースを受けています。

「40メートルは、かなり深くて寒くて、生物などあまりいないです!僕は、世界初の両脚切断ダイビングインストラクターになって、同じ障害を抱えている世界中の人にダイビングを教えたいです」とクリスさんは言います。

彼は、父親のお友達からデプセラピーの事を聞きました。

デプセラピーの調査や研究によると、ダイビングは重傷や障害を負っている人の治療やリハビリに大変効果的で、心的外傷後ストレス障害や外傷性脳損傷の症状をやわらげるそうです。

23歳になったクリスさんは、 ダイビングなど新しい事に挑戦できるのが楽しみだそうです。

デプセラピーのリチャード・カレンさんはこう言います。

「クリスは本当にすごい人です。足がないのでフィンも使えないし、トレーニングがどれだけ大変なのかを考えると、彼の努力は素晴らしいです。
クリスは重傷を負っている軍隊の方などに呼びかけ、デプセラピーのインストラクターになりたい方を探すなどいつも活躍してくれています。デプセラピーのコースにはいつも参加し、皆に自分の経験を話し、生徒達が練習出来るようにいつもプールに入ってくれます。
デプセラピーのおかげでクリスは両脚がなくても簡単に潜れるようになり、非常に頑張っています」

そしてクリスの最後のコメントは?

「本気で言います。今日の僕があるのもデプセラピーとリチャード・カレンのおかげです。」

※今週の原稿は下記の英語記事に基づいたものです。

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PROFILE
イギリス生まれ、8歳から13歳まで日本で育ったイギリス人と日本人のハーフ。

2006年に再度来日し、ナレーター、翻訳者、ライターとしてNHKテレビ、ラジオ、日本駐在外国人向けのウェブサイトなどで活躍。
2010年ニューカレドニアで体験ダイビングをしたのを機にライセンスを取り、2011年以降定期的に日本で潜っている。

日本の海の魅力、多様な生物や地形等に感動し、海外であまり知られていない日本のダイビングを紹介する目的で、2011年にブログ(Rising Bubbles)を立ち上げた。

外国人向けのサイトや海外のダイビングサイトで日本のダイビングスポットを定期的に紹介しており、スコットランドのセントアンドリューズ大学で水産養殖も勉強中。

「ダイビングをきっかけに、日本の海がどれだけ魅力的なのかをすごく実感しました。この連載では、たくさんの情報を届けていきながら、海外からのトピックを取り上げ、日本と海外の違いや海外の視点等をシェアするのを楽しみにしております」
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