力作揃い!宮古島フォトコンテスト2013の入賞作品たち

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オーシャナで審査をつとめさせていただいた、宮古島フォトコンテスト2013

800点を超える応募作品の中から見事入賞を果たした作品を、審査員の越智隆治と寺山英樹の寸評と共にご紹介します。

※受賞者の声はいずれ機会を改めてご紹介する予定です。

グランプリ

「笑顔に包まれて」00092 前田パパさん

宮古島フォトコンテスト

(越智)
プロが撮る写真ですね。いや、プロでも撮りたくてもなかなか撮れない瞬間を見事に切り撮っていると思います。
構図といい、笑いボヤの上から顔を出すイシガキカエルウオの笑顔も、目の向きも、フォーカスも、バックのボケ具合や、邪魔な物が入っていないすっきりした感じも、全てにおいて、パーフェクトだと思います。
多くの作品が応募されていましたけど、自分はグランプリの写真として、まったく迷うことなく、この写真をセレクトしました。

前田パパさんは、他の写真もしっかり構図を考えて撮影されていて、スキルの高さを感じました。
ガイドの人が教えてくれるのは、「被写体になる魚がいる」とか、「笑いボヤがある」というところまで。
この瞬間は、笑いボヤを撮影してるところに、タイミング良くカエルウオがやってきたのか、カエルウオを撮影していたら、タイミング良く笑いボヤの上で止まってくれたのか、どちらが先なのかわかりませんが、いずれにしても、自分の好きなように動かすことが絶対にできない被写体。

それを、一つの被写体だけでなく、「笑顔」をテーマにしっかりプラスαな写真にしているところが、運であり、実力だと感じます。
自分でも、「こんな瞬間を撮りたい!」、「こんな瞬間に遭遇できて羨ましい!」と思える写真です。

(寺山)
越智と同じく、迷うことなく、この作品が最初に目を引きました。
カメラの性能が上がり、露出や絞りなど、技術的な差がなくなってきて、“技術”より“機会”や“想像力”が求められるようになってきています。
そういう意味では、笑いボヤの上に笑ったようなカエルウオが乗っている“その場にいた”ことに価値があり、そして、一瞬のうちに、構図や“笑い”というテーマを見出してモノにした、素晴らしい写真だと思います。
単純に、見ていてウキウキと心が躍る写真です。

準グランプリ

 
「異次元トンネル」00746 どてちんさん DIVE HOUSE 南風(ぱいかじ)

宮古島フォトコンテスト

(越智)
白、緑、黒、青グラデーションが「通り池」の不思議な空間をとても良く象徴していると思います。
何点か同じようなイメージで撮影しっている写真がありましたが、全体的な構図、グラデーションの配置、モデルとなるダイバーの配置、ポージング、バブルの出具合、どれもしっかりと計算された写真の美しさが、この1枚にはあります。
「異次元トンネル」というタイトルも、その不思議な空間のイメージにとても良く合っていると思います。

グランプリの写真と違い、フィッシュアイのレンズさえあれば、狙おうと思えば、誰でも狙えるテーマです。
そこに、他の写真とは違うインパクトを+αさせるのには、ほんの数センチ、数ミリの微妙な構図取り。加えて、いかに自分の撮りたいイメージを1枚の写真の中に具現化させるかにかかっています。

どてちんさんは、他の写真を見ていても、撮影時にしっかり自分の撮りたい構図とイメージが出来上がっているように感じます。この写真は、そこをしっかり意識して撮影されていると思います。

僕は、撮影のときに、よく、斜めの対角線を意識して撮影します。対角線を上手に利用することで、写真にインパクトを与えることができます。この写真はそこもしっかり考えて撮影していますね。

特筆すべきは、モデルとなるダイバーの配置、ポージング。
上を見上げて、マスクに光を当ててるところも、テーマに合ってますね。偶然こういうポーズを取ってくれたのか、二人で打ち合わせして撮影したのかは、わかりませんが、モデルのガイドさん(?)にも感謝ですね。

自分が撮影しても、お気に入りにセレクトする作品です。

(寺山)
「え? どうやって、これを撮ったのだろう?」と思わせてくれる一枚です。
その秘密は、まさに舞台となった「通り池」自体が特殊な自然環境におかれているためで、初めて潜った時に、「え? なんで、こんな不思議な色をしているの?」という感想を、そのまま写真にしたようです。
さらに、モデルの位置、光の入り方などなど、構図が完璧に“決まっている”ので、宮古島を代表するダイビングポイントの幻想的な世界を最大化したような写真です。
どこかの沖縄でなく、宮古島の「通り池」に潜ってみたい、撮ってみたいと思わせてくれますよね。

オーシャナ賞

 
「はぐれメタルがあらわれた」0030 もっちん Fish a go go

宮古島フォトコンテスト

(越智)
2013年のオーシャナロケでは、地形の宮古島にあって、「岩やサンゴがモンスターの顔に見える」という、発想で取材を行なったりしていました。
それに今流行りの「ご当地ゆるキャラ」的な感じが加味された、かわいいキャラクターの誕生!って感じですね。見た瞬間に、きっと多くの人が、なんかほっこりさせてくれる、そんな笑顔になれる写真です。

他にも何点か、サンゴや地形が顔に見える写真がありました。どれも、「なるほど!」と思わせてくれる新たな発見でしたが、「かわいらしさ」でこの写真が個人的に一番気に入りました。

スキル的には、決して上手い写真とは言えませんが、その下手さ加減も味の一つになっている写真ですね。特に、おへその部分の穴にすっぽりハマったウニ(?)がポイントですね。

「宮古島サンゴくん」とかって、まじでご当地ゆるキャラにしても、ウケるんじゃないですかね〜。あ、すでにマモル君とマル子ちゃんがいるからダメか(笑)。

(寺山)
「写真って自由だよね!」というオーシャナのスピリッツを表している写真。みんながみんなプロになるわけじゃないし、撮り方も楽しみ方も自由。こういうのも楽しいですよね! 

安易な擬人化だとあれこれ言われる厳しい世界もあるかもしれませんが、“何かに見える”ってことは、楽しい発見であり、その楽しさは人と共有しやすいもの。どうやって撮るかばかり考えずに、手軽に写真と遊べる素敵なテーマだと思います。

今回も、ゴリラや赤ちゃん、笑顔などなど、何かに見える系写真があって、とても悩んだのですが、最後は、「若い人はわからないかもね~」と思いつつも、越智カメラマンが幸せそうににやけていたのを見て、はぐれメタルにしました(笑)

地形部門

1/「オーロラを行く」0013

宮古島フォトコンテスト

(越智)
地形の宮古島の中の写真としては、一番印象に残った写真の一つです。
光の筋をオーロラに見立てて、明るい部分と暗い部分の明暗をしっかり分けた事で、そのイメージをさらに強く出ていると思います。しかも、意図してそうしたのかわかりませんが、ダイバーがあまりエアを出していない瞬間なので、「静寂」を感じさせてくれます。ダイバーの配置も、こちらに向かって来るのではなくて、向うに泳いでいくところが、「この光の筋の先には何があるんだろう」と、空想させてくれる写真です。とても秀逸な写真だと思います。

(寺山)
さすが、“地形の宮古島”。力作ぞろいでしたが、この作品はオリジナリティという点で目をひきました。
宮島といえば地形というイメージがあるため、これまでも多くの地形写真を目にすることがありましたが、そのほとんどがあおって(カメラを下から上に向けて)撮った写真。
この作品は数少ないふかんで(カメラを上から下に向けて)撮った写真で、光の表現の仕方に工夫が感じられて際立っていたように思います。
また、地形写真では、ピタッと止まったダイバーが見上げる写真が多いですが、この作品は、ダイバーの向きや、写真のスペースを上手に使ったことにより、動きと想像力の余地があるのが楽しいですね。

2/「位置について〜〜」00250 コミカルブレニーさん アクアストーリー

宮古島フォトコンテスト

(寺山)
透明が良く、青のグラデーションが美しく、そしてダイナミックな地形のある宮古島ならでの作品で、地球と海そのものを感じさせてくれます。同時に、ダイバーのポーズがアクセントとなって、ダイビングの気持ちよさ、楽しさも伝わってきます。

3/「息吹」00543 FUK8780 カラカラ先生

宮古島フォトコンテスト

(寺山)
キンメモドキが大群となって、まるでひとつの生き物であるかのように大きくうねっている瞬間をとらえています。“生命力”を感じます。

サンゴ部門

1/シンフォニー 00066 シンさん ニイ・ヨン・ノース

宮古島フォトコンテスト

(寺山)
ブルーバックに強烈な赤色が栄え、透き通った体のスカシテンジクダイが煌めき、とにかく、見ていて気持ちいい!
サンゴ部門ということで、緑色のハードコーラルが多い中、色彩に目を奪われました。

2/鏡の部屋 00125  せっちゃん Fish a go go

宮古島フォトコンテスト

(寺山)
地形だけでなく、実はサンゴも元気な宮古島の海。テーブルサンゴそのものだけでなく、水面に映るサンゴと波紋の様子も美しいです。

3/「サンゴが住処」00443 ブリーさん ココナッツ

宮古島フォトコンテスト

(寺山)
サンゴ部門といったとき、サンゴの中に住む生物に目をつけた着眼点が新鮮でした。
生命の源と呼ばれるサンゴには、多くの命が宿っているんですね。

マクロ部門

1/「至彩(しさい)」00303 武田さん セントラルマリンクラブ

宮古島フォトコンテスト

(寺山)
生き物としての、そのフォルムと色合いの絶妙さがおもしろい。カラフルな帽子をかぶったような様子もファニーで、「なんだろう、この子?」と思わず目がいってしまいます。

2/「目指せ!東京オリンピック」00744 tsutchyさん タイムマリン宮古島

宮古島フォトコンテスト

(寺山)
タイトルを見て、思わず「うまい!」と声をあげてしまいました。代表に選ばれることを願ってやみません。

3/「ブチウミウシ」00238 shin さん アクアストーリー

宮古島フォトコンテスト

(寺山)
美しい色彩とお手本のような構図。ツノにピントを合わせる、背景をぼかして奥行きを出す、白飛びさせない、そして、左側のあえてのスペースなどなど、ウミウシに動物としての命が吹き込まれたようです。

ビギナー部門

1/「救出」00298 たけおさん ビックホリディ

宮古島フォトコンテスト

(寺山)
首に刺さった釣り針を抜こうとしている瞬間。痛々しいですが、人と海の生物との関わりを考えさせられる、メッセージ性の強い作品。右前足が動かなくなっていたとのことで、無事回復することを祈るばかりです…。

2/「ハート」00228 クラさん アクアストーリー

宮古島フォトコンテスト

(寺山)
魚の大群は、その迫力あるシーンを、ときに川、壁、渦、雲などに例えられますが、このハートの瞬間には思わずニンマリ。写真を撮っているダイバーの構図も決まっていますね。

3/「悲しくて涙が・・・。」00708  宮古島調査隊さん ココナッツ

宮古島フォトコンテスト

(寺山)
ビギナー部門は、タイトルを見て「なるほど~」という写真が多いですが、この写真も確かに泣いて見えますね。いやきっと泣いています。涙がこぼれないように空を見上げるカエルアンコウ君に何があったのでしょう…。

海の見える風景部門

1/「彼氏募集中」00565 テルマエさん アクアストーリー

宮古島フォトコンテスト

(寺山)
“海の見える風景部門”ということで、この写真でいいのだろうか…と一瞬悩んだのですが、そんな悩みも吹っ飛ばす破壊力(笑)。
うら若き(?)乙女にここまで体を張ってもらったら選ばざるを得ません。彼氏に名乗りをあげる勇者の登場を生温かく見守りたいと思います。と、写真のノリでコメントしましたが、「ダイビングって理屈抜きに楽しいよね!」って伝わる、見るものを幸せな気分にさせてくれる大好きな作品。あくまで好きなのは作品ですけど(笑)。

2/「ゲストハウスの記憶と記録」00732 waiwai さん ビックホリディ

宮古島フォトコンテスト

(寺山)
窓枠のシルエットの使い方が素敵ですね。皆、海を見つめて何を思うのでしょうか…。

3/「幻の下地ブルー に」00363 りゅうちゃん 一般応募

宮古島フォトコンテスト

(寺山)
まさに、一瞬のチャンスを活かした写真です。海と砂浜の美しさもさることながら、ダイビングポイントの集中する下地島は、パイロット訓練が行われている島。間近で見られる航空機は、まさに宮古島を象徴するシーン。

■主催:宮古島市
■主観:宮古島ダイビング事業組合

■協賛
・JTA
・(株)宮古TV
・(株)宮古島東急リゾート
・ホテルアトールエメラルド宮古島
・ホテル共和
・ホテルニュー丸勝
・宮古第一ホテル
・ミヤコセントラルホテル
・セイルイン宮古島
・ホテルオアシティ共和
・ホテルサザンコースト宮古島
・(株)多良川
・(有)アプロ
・ocean+α 
・RGBlue
・SCUBAPRO

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writer
PROFILE
法政大学アクアダイビング時にダイビングインストラクター資格を取得。
卒業後は、ダイビング誌の編集者として世界の海を行脚。
潜ったダイビングポイントは500を超え、夢は誰よりもいろんな海を潜ること。
ダイビング入門誌副編集長を経て、「ocean+α」を立ち上げ初代編集長に。

現在、フリーランスとして、ダイバーがより安全に楽しく潜るため、新しい選択肢を提供するため、
そして、ダイビング業界で働く人が幸せになれる環境を作るために、深海に潜伏して活動中。

〇詳細プロフィール/コンタクト
https://divingman.co.jp/profile/
〇NPOプロジェクトセーフダイブ
http://safedive.or.jp/
〇問い合わせ・連絡先
teraniku@gmail.com

■著書:「スキルアップ寺子屋」、「スキルアップ寺子屋NEO」
■DVD:「絶対☆ダイビングスキル10」、「奥義☆ダイビングスキル20」
■安全ダイビング提言集
http://safedive.or.jp/journal
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