震災をテーマにした鍵井靖章写真展でのトークショーレポート
2014年3月7日(金)より、六本木ミッドタウンにあるフジフイルムスクエアにて、水中写真家・鍵井靖章さんの写真展が開催されています。
私は8日に行われたトークショーに参加してきました。
トークショーは、鍵井靖章さんと、鍵井さんを古くから知る新潮社の金川功さんによる対談方式。
話しは二人の出会いから今に至るまで、そして写真集「ダンゴウオ 海の底から見た震災と再生」が出来上がるまでの経緯を入稿当初のPDF(最終的には変更されている部分もあるけれど、元となった原稿のことです)を見せながら進んでいきました。
二人が出会ったのは鍵井さんが26~27歳のころ。
たまたま編集部の電話を取ったのが金川さんだったということから付き合いが始まったのだそう。
当時を振り返って鍵井さんは、
「金川さんは、僕が良いと思って持っていった写真を使ってくれなかった。でも使ってくれなかったんじゃなくて、写真を選ぶ力とはこういうことなんだって、カメラマンにはわからない視点で写真を評価してくれた」と語っていました。
それに対して金川さんは、
「実際、何人もの人は編集部に写真を持ってくる。でも全員に写真集を出しましょうなんて言えるはずがない。鍵井さんの写真は一目見てこれはすごいと思えました」と話していました。
また、印象に残ったのは、「日経ナショナルジオグラフィック写真賞2013」の「ネイチャー部門」で優秀賞を受賞したという話になった時の鍵井さんの言葉。
「コンテストには5枚1セットで出すのですが、実は候補写真を2パターン作っていたんです。今回優秀賞を頂いた震災の海を写した写真と、もう一つは自分の得意とする色彩で写した写真。ぎりぎりまで迷ったのですが、よく考えて出た結論は、“今、日本から発信すべきは震災の海だ”ということ。それであの写真を出すことにしました。」
金川さんも「きっかけはなんであれ、震災後3週間目の海に潜ろうと思ったことがすごいこと。そして、普通のジャーナリストは当時行って帰ってきてそれでおしまい。その後も潜り続けることはなかなかできるもんじゃない。」と労をねぎらい、「ただ一つだけお願いがあるの。早めに原稿ちょうだいね、短くてもいいから。」と付け加え、会場は爆笑の渦に包まれていました。
1時間半のトークショーはむしろ足りないくらいでした。
写真集が出来るまでの裏側を見せてくれるのは新鮮で、笑いを誘う場面も多くあり、会場のみなさんも楽しんでいた様子でした。
写真展には、約30点の写真が飾られていました。
鍵井さんから「写真を見る時に、初めに写真だけをみてもらって、そのあとでキャプションを見てもらえますか?違いを楽しんで欲しいんです。」とキャプションの紙を渡されました。
なんのことやら見てみると、そこはまるで“ウォーリーを探せ”の世界。
実はキャプション紙にも書いていなく、私が最も感動した写真があるのでここでご紹介しますね。
こちらの写真です。
わかりますか?
実は私、ただの長靴だと思っていたんですが、鍵井さんに「お魚がいるのわかりましたか?」って言われてびっくり!
え、どこ?魚!?
お恥ずかしながら冗談抜きに全く気付きませんでした・・・。
長靴とウニ以外全く目に入っていませんでしたが、言われてみると右にちょこんと覗いているオレンジのお魚さんがお一人。
はぁぁ!こういうことか!
一旦見えてしまうと何回見ても目がいくのですが、思い込みというか、見えていないって恐ろしいなと思いました。
テーマは震災ということで少し重たくも感じますが、そんな中に命が写し出されている写真はとても素敵です。
鍵井靖章写真展は2014年3月20日(木)まで。
また15日(土)には、第2回トークショーが予定されています。
40名限定、事前予約が必要です。
奮ってご参加ください!
富士フイルムフォトサロン企画展 鍵井靖章写真展「3.11- あの日から From the date of disaster.」詳細
●期間
2014年3月7日(金)~3月20日(木)
●時間
10:00~19:00(入館は18:50まで/最終日は16:00まで)
●会場
富士フイルムフォトサロン スペース2
ミッドタウン内です。
・東京メトロ日比谷線「六本木駅」4a出口より徒歩5分または、地下通路にて直結
・都営大江戸線「六本木駅」8番出口と直結
・東京メトロ千代田線「乃木坂駅」3番出口より徒歩5分
交通アクセス | 写真展・ フジフイルムスクエア(FUJIFILM SQUARE)
●作品点数
約30点(予定)
●入場料
無料
鍵井靖章スライドトークショー詳細
●開催日程
2014年3月8日(土) 鍵井靖章×金川功(新潮社)
2014年3月15日(土) 鍵井靖章×和井内京子(デザイナー)
●時間
14:00~15:30(開場 13:30)
●会場
フジフイルムスクエア 2F
●入場料
無料
●定員
40名(予約制)
●参加申込
フジフイルム スクエア受付もしくはお電話(03-6271-3350)にて。
「3月8日(土)は、写真集「ダンゴウオ 海の底から見た震災と再生」の編集者・金川功氏(新潮社)と対談します。
私がフリーランスフォトグラファーとして独立して以来、もっとも長くお付き合いさせて頂いている金川さんと、写真集の制作過程、秘話、込められた思い。そして、今後などをお話させてもらう予定です。
3月15日(土)は、今回の写真展のキュレーションを行ってもらっているイギリス在住のデザイナー・和井内京子氏との対談。こちらもこの写真展の意図、思い、また海外から見た視点での震災などをお話させてもらう予定です。」(鍵井さんブログより引用)