【GULL連載】フリーダイバー・岡本美鈴がスキンダイビングを始めたい方に向け“マイフィン”の選び方を取材

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今年も海のシーズンが近づいてきました!GULL連載の第2回目となる今回は、フリーダイビング(※)の選手として活動するわたくし岡本美鈴が、スキンダイビングで大きな役割を持つ器材 「フィン」にフォーカスを当て、スキンダイビング で長年愛用されているメーカーである、株式会社キヌガワの飯森さんに「初心者向けのフィンの選び方」のアドバイスや、フィンのラインナップ、そしてKINUGAWAのフィン作りについて伺いました。
※フリーダイビング どれくらい長い距離を泳ぎ、深く潜ることができるかなどを目的とする競技的な要素のあるアクティビティ

この春、社会人となり新しい趣味として「海で潜ってみたい」とスキンダイビング を考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。スキンダイビングはいわゆる「素潜り」。息を止めて潜り、海中の景色や生き物を観察したり、泳いで浮遊感を楽しむことができるアクティビティです。

スキンダイビング ができるようになると、海で心がリフレッシュできるので心身の健康にも繋がえるだけでなく、仲間ができる楽しさや旅行先での過ごし方にも変化がでてきます。私も、30歳手前でスキンダイビング を始めましたが、イルカやフリーダイビング競技に出会い、今でも海での楽しみは、いつも新鮮で感動の連続です。

スキンダイビングは、ダイビングスクールやインストラクターの開催する講習で学ぶことができ、その時に器材の相談や購入もできますが、最初は「自分の器材は必要?」「どれを選べばいいの?」など、分からないこともあると思います。

今年の夏こそは自分にぴったりのお気に入りのマイフィンを選んで、スキンダイビングを始めてみませんか。

初めてのスキンダイビング 、自分に合うマイフィンを選ぼう

スキンダイビング に合うフィンとは?選び方は?

岡本

スキンダイビング は息を止めて海へ潜るので、息の長さにより水中で快適に泳げる時間が大きく変わります。加えて、フィンキックに使う力や運動量が多いと、体内の酸素を多く使い、すぐ浮上したくなってしまうのですが、フィンの選択でそこを回避できたりするのでしょうか?

飯森さん

スキンダイビングで使うフィン は、省エネルギーなキックで酸素消費を節約しながら、楽に進めることが大切です。楽に進むために、足の力が伝わりやすい形状のフルフットフィンをおすすめします。

潜るゲレンデに合わせてフィンを選んでしまうと、そのフィンを使いこなせない場合に問題になります。フィンワークは改善できても、フィンの硬さなど選択を間違えると、その日のダイビングが楽しめなかったり、宝の持ち腐れになることも。たとえば、野球でいいバットで打つと飛距離が違うように、スキンダイビングでも道具選びは重要な要素です。

岡本

「脚力にあわせたフィンを選ぶ」ことも大切ですが、初めての方にとっては脚力の判断も迷うと思います。

飯森さん

最初に脚力にあわせてフィンを選ぶのではなく、フィンワークを身につけてから、脚力を生かせる硬さのフィンを選ぶのがいいかと思います。それを踏まえ、これからスキンダイビングを始める方には柔らかいブレードの 「GULLミュー」や「スーパーソフトミュー」をフィンキックの練習・スキンダイビング 導入用として選ぶことがおすすめです。

岡本

たしかに、柔らかいフィンを選んでも、膝蹴りのような抵抗の大きいフィンキックをすれば酸素消費が増えてしまいます。効率のいい蹴り方でフィンキックができると、フィンが本当に自分の脚力に合っているか体感し選択できるようになりますよね。

飯森さん

スキンダイビング のスタイルも多様化していて、ただ単に横に泳ぐより、瞬発力が欲しいときもあります。スキンダイビングはスポーツだと思っているので、そう考えるとスポーツは基礎技術が大切ですね。

岡本

フィンワークの練習は、プール等で行うダイビングスクールのスキンダイビング講習や、インストラクター個人からレッスンを受けることができますよね。フィンで泳ぐと器材に慣れて、海で遊ぶ体力もついて健康にもつながりますね!

初心者におすすめの楽に泳ぐためのフィン

・ゴムフィン(しなりやすく推進力がでる)
・フルフットタイプ(足にフィットし、足首が伸ばしやすい)
・フィンソックスか、ブーツの状態で違和感なくフィットしている
・キックの練習のために柔らかめかつ、短めを選ぶ
フィンの選び方で気をつけたいポイント

・色やデザインだけで選ばない
・潜る海(ゲレンデ)に合わせて選ぶ

お気に入りのマイフィンを持とう!

岡本

海ではフィンは身体の一部となる大切な器材です。自分のマイフィンを持つことで、レンタル器材に左右されず、いつでもどこでも安心できるフィット感が得られることでスキンダイビングも快適になり、講習やフィンワーク練習が楽しめます。どんどん使って自分もフィンもステップアップしていけたらいいですね。

KINUGAWAのGULLフィンは、長年の経験とノウハウが詰まった高品質のフィンだと感じています。豊富なカラーバリエーションが有名で、毎年新色も出ています。器材やウエアを同系色で揃えることもできますね。

飯森さん

これから海でスキンダイビング を楽しむ方には、自分がウキウキするようなしっかりと自分に合ったフィンを選んでもらい、基礎の講習やレッスンを受けて、夢をかなえてもらいたいと思います。

一つひとつ手作りのKINUGAWAのフィン

KINUGAWAのフィンはどのように作られているのか?何でできているのか?こだわりなどを伺いました。

GULLのフィンはどう作られているの?

原材料となる天然ゴム(GULLがフィンのベースに選んでいるのは天然ゴム)

原材料となる天然ゴム(GULLがフィンのベースに選んでいるのは天然ゴム)

岡本

以前、天然ゴムだけでできたフィンを見せてもらいましたが、腰がなくふにゃふにゃだったのを覚えています。それをゴムフィン独特のしなりを出すために、合成ゴムや薬品を混ぜ、しなりのある形状にしていくんでしたよね。私たちの使うフィンがどのように作られるのか教えていただけますか。

飯森さん

まず不純物が少なく上質な天然ゴムを厳選するところから作業がスタートします。次に、フィンに必要な硬度や反発力になるよう、熟練の職人が気候や湿度に合わせて天然ゴムの配合を毎回調整しながら着色しロール状に練る。裁断の工程では、フィンの部位によって使うゴムの硬さや重さが違うので、ここも一つひとつ手作業で行なっていきます。

そして、ゴム生地を金型に挟み、上と下からゴムに熱と圧力を同時にかけプレス成型します。最後に型からはみ出たバリを職人がハサミで切り、初めて製品が完成します。

ゴムの流れ込み方や混ざり方の経験値や感性は、代々受け継がれている財産です。

岡本

私も以前に工場内を見学させてもらいましたが、ゴムを並べ、1枚ずつプレスし冷ましてゆく工程に驚きました。また、天然ゴムはもとの色が暗く、季節により材料の色も変わるため、同じ色に仕上げることは難しい技術と聞きました。一番難しい色は「白」とのことで、それを聞いてからは白フィンが貴重に思えてきました(笑)。

左下,硬い合成ゴム、右下,練りの工程を経て白に着色したゴム生地

左下:硬い合成ゴム、右下:練りの工程を経て白に着色したゴム生地

岡本

私のミューフィンも、この工程を経て、ハサミでバリを切りとってもらったのかと思うと切り口をしみじみ眺めてしまいます。スーパーソフトミューのような、2色使いのフィンも同じ模様はありませんね。

飯森さん

(プレスすることによる)色の流れ方も、手作業だからこそ一個一個違うわけで。ちょっとした色の風合いの違いは個性みたいなものです。一点ものと見てもらえると「愛着」が出てくるのではと思います。

岡本

GULLのフィンは、一つひとつが手作業で作られたオンリーワンの一点ものなんですね。受け継がれた伝統や、丁寧に作られている背景を知ると、さらに「愛着」が湧きますね。

色のこだわりと新色

毎年、テーマ性をもった新色がリリースされるGULL器材。色の名前も見え方も新しい色が毎年開発されて続けています。

飯森さん

ブルーサファリなど、同系統のブルーでも見え方が変わりますし、白の中でも種類があり感じ方違うので、色へのこだわりは強くあります。

メーカーとしては、基本的にフィン選びは色からではなく、ちゃんと初心者用フィンを選んで、基礎テクニックを一緒につけてもらいたいなと思っています。初心者向けフィンでも、カラー数はすごく多いので、その中からでも選択肢はたくさんあるので楽しんでいただけると思います。

初心者におすすめ3つのGULLフィン・ラインナップ

ここからは、スキンダイビングをこれから始める方へ向け、GULL ミューフィンシリーズのラインナップと、各フィンの特徴、おすすめのレベルや使用シーン、メーカーとしてのこだわりポイントを紹介していきます!

①スキンダイビングで一番人気「スーパーソフトミュー」

フィンの先端形状:ラウンド型(水を捕らえ、しなりの最後まで押してくれる形状)
特徴:ミューのリブの硬さに、ミューよりも柔らかいブレードを組み合わせたフィン。軽い力でフィン先がしなりやすい。
カラー:3色展開
向いている方:初心者
使用用途:スノーケリング・スキンダイビング ・フィンワーク練習用
飯森さんコメント:KINUGAWAの代名詞である「ミュー」を使い、スキンダイビング向けになにかできないかと考えて開発したフィンです。フィンワーク練習やスキンダイビング 基礎の導入モデルとしては最高だと思います。ミューでもいいですが、「スーパーソフトミュー」の方がより軽いキックでより進んでくれます。酸素消費が節約できるのでスキンダイビングには向いています。

②ロングセラー・定番の「ミュー」


フィンの先端形状:ラウンド型
特徴:フィンの横のリブが水を捕らえ、キックに強い構造なので、誰にでも使いやすく推進力があるモデル。フットポケットのゴムが柔らかく履き心地、着脱性よく幅広い層に使用されています。
カラー:9色展開
使用用途:スノーケリング・スキューバダイビング・スキンダイビング ・フィンワーク練習用
向いている方:初心者、フィンワークができる方
飯森さんコメント:フィンの先端がラウンド型で推進力に優れたミューフィンは、初心者からフィンワークができる方まで幅広い層におすすめです。

左:スーパーミュー、右:ミューフィン

左:スーパーミュー、右:ミューフィン

③ステップアップして使いたい中上級モデル「スーパーミュー」

フィンの先端形状:山切り型(水切れがよく、早いフィンキックが可能)
特徴:リブはミューと同等の硬さ、ブレードはミューよりも柔らかく、長さがあり、瞬発力とパワーがあるフィン。
カラー:10色展開
使用用途:スクーバダイビング・スキンダイビング
向いている方:スキンダイビング経験者、スキューバダイバー
飯森さんコメント:「ミュー」でのフィンワークを身につけた、その先の中上級者向けのフィンです。

どのフィンから始める?

上記3つのフィンの中では、フィンワーク練習の目的も兼ねて、柔らかめのフィンを(スーパーソフトミュー・ミュー)を選び、慣れてきたら中上級向けのフィン(ミュー・スーパーミュー)を選ぶといいでしょう。

飯森さん

いきなり冒険するよりも、まずは基礎を身につけやすいフィンを選んでその次に自分のレベルにあったフィンを選んでいくといいと思います。

「フィン+フィンワーク」でステップアップ

ここまで、フィンのGULLのこだわりやラインナップ、選び方を伺ってきましたが、ここではGULLのフィンを使用したスキンダイビングの楽しみ方もお伺いしていきます。

飯森さん

GULLのフィンのラインナップは、スキンダイビングの導入に「スーパーソフトミュー」、その先に「ミュー」・「スーパーミュー」やカーボン製のロングフィンがあり、レベルに応じステップアップできるようにしています。スキンダイビングの導入から、フリーダイビングの入り口まで、皆さんがどんどん先の楽しみを見つけられるように考えています。

これからも、GULLと一緒に海を楽しんでもらえると嬉しいです。

スキンダイビングの楽しみ方は無限大!

【スキンダイビング 初心者~】
・景色や生き物を観察
・海中の浮遊感
・ドルフィンスイム
・スキンダイビングツアーへの参加

【スキルアップすると】
・ロングフィン、モノフィンでさらに水中を楽しむ
・フリーダイビング(専門講習要)
・マーメイドスイム(専門講習要)
・レスキュースキンダイバーコースを受講する
・水中での撮影やSNS発信など

スキンダイビング はどこで始めるられの?

ダイビングスクールやインストラクターなど専門家によるスキンダイビングコースの受講をおすすめしています。インストラクターから器材の選び方、基礎知識と技術を学び、フィンワーク練習やスキンダイビング 経験を重ねるとスキルアップし息も長くなり、使える器材や楽しみ方も広がります。

ステップアップできるフィンワーク練習

飯森さん:フィンワーク練習には、「スーパーソフトミュー」、「ミュー」、私見では「エムデン」がおすすめです。エムデンはスノーケリングからスキンダイビングに向いていて、裏のキールがきいていて推進力もあります。

フィンの試着は必要?実際の購入方法

フィンは足に快適にフィットしていることが重要です。フィンソックスやブーツを併せて試着・試用してから購入しましょう。では実際に、試着はどこでできるのでしょうか。

飯森さん

フィンは陸上で履くのと水中での感覚の差異があるので、実際に海で試せるモニター会や、ダイビング器材販売店に足を運んで情報を聞くことをおすすめします。講習の情報や目から鱗の情報も得られるかもしれません。運動靴と同じで実際に水中で試着できれば、フィットしたものを安心して購入できますよ。

モニター会

ダイビング現地サービスにて、GULLが出展するモニターイベントが定期的に開催されています。ダイビングスクールやインストラクター引率のもと、様々なフィンを実際の海で試着でき、メーカーからの直接のアドバイスも聞くことができます。ただし時間が限られてしまう場合もあるのでご注意ください。
GULLのモニター会情報はこちら

メーカーからダイビングスクールへのフィン貸し出しで試着、購入

ダイビング器材の販売を行う、ダイビングスクールにてあらかじめ相談・予約しておくと、スクールのお店にて試着できます。スキンダイビング プログラムがあるスクールかどうか確認をして問い合わせましょう。

ダイビングスクールで、講習とセットで試着しながら購入

スキンダイビングの講習を受ける際にGULLのフィンを試し、気に入ったらそのまま購入。スキンダイビングを始める方には一番おすすめの方法です。

まとめ

・はじめてのマイフィンは練習・導入用として「スーパーソフトミュー」または、「ミュー」からスタート
・フィンとフィンワーク練習はセットと考えよう
・“一点もの”のマイフィンを持ち、色も楽しもう
・GULLミューシリーズは「スーパーソフトミュー」「ミュー」「スーパーミュー」の3つのラインナップ
・スキルアップ次第で、ロングカーボンフィンまで見えてくることも
・購入の際には試着がおすすめ

お気に入りのフィンで「青い宇宙」を楽しみましょう!
株式会社キヌガワ 飯森さんありがとうございました!

Sponsored by GULL(株式会社キヌガワ)

1983年にキヌガワグループのスタッフ数名によって立ち上げられたGULL 。シンプルで無駄のないデザインをポリシーとし、長い歴史に裏打ちされたテクノロジーとアイデアで、日本のダイビングシーンを牽引する商品を世の中に送り出しています。
GULLホームページ

岡本美鈴(おかもと みすず)

プロフリーダイバー
フリーダイビング世界選手権金メダリスト
NAUI Freediving コースディレクター
PADI Freediving マスターインストラクター
Apnea Academy Freediving インストラクター
プールナ フリーダイビングスクール代表
(一社)人魚JAPAN・フリーダイビング協会 理事
神奈川県真鶴町観光大使
2003年イルカに憧れカナヅチからフリーダイビングを始めた。
2006年以降日本アジア記録を更新し続け、世界選手権にて計4個の金メダルを獲得。昨年2021年バハマ国際大会にて夢の深度100mを達成。
競技普及と海洋保全PR活動 MarineActionも行っている。

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