フリーダイバー・木下紗佑里さん、BSACスノーケルインストラクター&スキンダイビングインストラクター取得!〜知識・技術を得て意識が変わりました〜
フリーダイバー・木下紗佑里さん
BSACスキンダイビングインストラクター取得!
フリーダイバーの木下紗佑里さんが、BSACスノーケルインストラクター&スキンダイビングインストラクター資格を取得されました!
まずは、受講した感想を問いかけると・・・、
「講習を受け、“スノーケリングを教えたい”っていう気持ちが高まっています。こんなに変わるんだ〜って、びっくりしてます!」と目を輝かせました。
木下紗佑里さんといえば、2018年7月にバハマで開催されたフリーダイビングの世界大会「Vertical Blue 2018」で、FIM種目(フリーイマージョン)で、世界新記録97mを樹立されたフリーダイビングの現役選手です。
同大会では、総合順位でも準優勝という快挙を果たされています。
なぜ、BSACスノーケルインストラクター&スキンダイビングインストラクターの資格を取得しようと思ったのか、そして、講習で学んだことや感想を聞きました。
「BSACスノーケルインストラクター」と「BSACスキンダイビングインストラクター」の2つです。それぞれ、指導者としてのスキルを身につけるもので、受講者にCカードを発行することが可能となります。
BSACスノーケルインストラクター▶︎安全で楽しいスノーケリングプログラムを開催することができる。
BSACスキンダイビングインストラクター▶︎「BSACスノーケルインストラクター」からのステップアップ資格。安全で楽しいスキンダイビングプログラムを開催することができる。
スノーケリングほぼ未経験!?
木下紗佑里さんとスノーケリングの関係
ーーまずは、BSACのスノーケルインストラクターとスキンダイビングインストラクターを受講しようと思ったきっかけを教えてください。
木下さん
ずっと水泳をやっていて、そこからフリーダイビングの競技をぱっと始めてしまったんです。スキューバダイビングは数回したことがあるんですが、実は、スノーケリングの経験ってないんです・・・。
2年くらい前に、地元のスイミングスクールで、泳げる子どもを対象にしたスノーケリング教室やリゾートへ行く前に道具の使い方を教える教室を開催したんですが、なんかちょっとうまくいかなかったんですね。
ーー自分でやるのと教えるのとでは、勝手が違ったんですね。
木下さん
私自身は、道具を使えるし、潜ることもできる。
けれど、道具の使い方に関する基本的な知識や泳げない人や海が怖い人に対して教える方法が自分の中にないことに気がづきました。
また、競技で潜っているために、「海で遊ぶ」ということも知らないなぁと。
だから、スノーケリングを本業としてやっている団体から、ちゃんと知識を得たかったんです。
木下さん
また、フリーダイビングのインストラクター資格は海外で取ったんです。
海外の資格とはいえ、もちろん日本でも活動できるんですが、ゲストの皆さんが安心してもらえるようなものがないのが、不安でした。
看板を持って、フリーダイビングのインストラクターとしてやる以上は、知識も資格も保険もあったほうがいいと思ったんです。
ーーその点、BSACには海に慣れていない方から教えることができるスノーケリングのプログラムに加え、次のステップとしてスキンダイビングのプログラムも用意されています。これから海で遊びたいと思っている方から、木下さんのようにフリーダイビングの世界を目指す方まで、一から教えることができるのは強みですね。
さらに、インストラクターが賠償責任保険に加入していることは、教える側にとっても教わる側にとっても非常に重要なことでしょう。
いざインストラクター講習開始
毎日が発見の連続!
ーー今回、沖縄・石垣島のシュノーケリング専門店の青井さんが講習を受け持ってくださいましたが、どういうところが難しかったですか?
木下さん
やっぱり私、ちゃんと知らないことがすごく多いなって実感しました。
器材に関する知識をあまり知らなかったんです。
海洋実習に入ってからは、自分のやってきたことである程度、対応できたんですけど、まず最初に座学でつまずきました。
ゲストに器材の説明をし、装備をしてもらうところが特に難しかったです。
ーー例えば、どういうところでしょうか?
木下さん
スノーケリングって、ライフジャケットを着けますよね。
私は、ライフジャケットを着けて泳いだことさえ、ほとんどなかったので・・・そんな状態からのスタート。(笑)
でも、青井さんは丁寧に、お客さんに装着してもらう手順、装着してもらう理由、ライフジャケットの基本的な構造などをしっかりと教えてくれました。
もちろん、「何でか知ってる?」って、いっぱい突っ込まれながら!
ライフジャケットにも、ボート用、釣り用、スノーケル用など、種類があり、どれでもいいわけじゃないんです。
スノーケリングに適しているのは、泳いだ時に外れないように股の下にちゃんと股掛けが付いているものということも、はじめて知りました。
ーーフリーダイビングとは、使用する器材はも異なりますよね。
木下さん
フリーダイビングでは、スノーケルも使わないんです。
マスクに付けず水面に浮かせた状態で使い、口から離して潜っていきます。だから、左右どちらに装着してもいいと思っていたんです。
でも、スキューバダイビングのレギュレーターとの兼ね合い、また、スノーケル自体が左に付ける構造になっていることから、左でなくてはならないんですね。
木下さん
あと、マスク・・・。
いつも使っているフリーダイビング用のマスクって、プラスチックなんです。
レンズ部分が湾曲していて、内容積が少ない。フリーダイビングにはすごく適しているんですが、すごく壊れやすいし、歪んでいるので見づらいんですね。
だから、スノーケリング初心者には全然向いていないんです。やっぱりガラスのものがいい。
どういう目的で、どういう構造で作られているのかまで、ちゃんと理解したうえで、解りやすいように説明するーーーそして、ゲストに情報をいっぱい伝えすぎても、「?」になっちゃうので、必要最低限のことだけを分かりやすく伝えることについても、丁寧に教えてもらえました。
相手に合わせたインストラクション・
プレゼンテーションの大切さ
ーー勉強になったのは、どういった点でしょうか?
木下さん
カリキュラムの内容はもちろんですが、青井さんの長年の経験からくる技術も教えてもらえました。
いつも私が相手にしている生徒さんやお客さんは、基本的に泳いだり潜ったりできる人ばかりだったのですが、スノーケリング、そして、初心者となってくると、見るべきポイントが変わってきます。
「はじめてスノーケリングの道具を着けて、はじめて海に行きます」っていうお客さんも想定して教えてもらったのが、すごくよかったです。
木下さん
例えば青井さんは、「手をちょっと触ってみて、震えているか確認する」「差し出した手をギュっと握り返す時は恐怖を感じている」など、そういうところまで目を配っています。
こういう部分は、やっぱりできるようになりたいなと思いました。
私は、泳げるし潜れるので、逆に、潜れない人、泳げない人、海が怖い人の立場になって気を使っていく余裕が必要なんだな、と痛感しています。
ーー相手のスキルによって、対応していくことが必要なんですね。
木下さん
普段やっている世界が違うので、相手によって変えられるこちら側の技術がないといけないなと気づかされました。
私、水中で、マスクやスノーケルを取りたくなっちゃうんですけど、「教える立場のインストラクターが取ったり、外したりしたら、それをゲストが真似しちゃうから、真似してほしくないことはやっちゃいけない」という、インストラクターとしての姿勢についても学ぶところが多かったです。
木下さん
フリーダイビングをする上でも、スノーケルとかスキンダイビングは、みんな通ってくる道だと思うんです。
一番最初にちゃんと教えてもらってからフリーダイビングをするのと、いきなりフリーダイビングをするのでは、意識が変わってくると思います。
私自身も、フリーダイビングで接するお客さんに対して、スノーケリング、スキンダイビングの基本的なことを教えられるようになったと思えることを誇りに感じています。
インストラクター資格を取得して
“教えたい”気持ちに火がついた
ーー晴れてインストラクター資格を取得されました(おめでとうございます!)が、今後、どういった活動をされていきたいですか?
木下さん
実は、受ける前は、スノーケルインストラクターとスキンダイビングインストラクターの資格を取っても、あまり使うことはないんじゃないかなと思っていたんです。
前述の通り、2年前にスノーケリングがなかなかうまく教えられなくて、自信がなくなっていたんです。敬遠していた部分もありました。
しかし、ちゃんと知識を得て、胸を張って教えられるようになった今、「ぜひ、やりたい!」という風に変わりました。かなり!
今回、基礎から勉強し、資格をしっかりもらえたことで、プロとしての自覚が芽生えてきたように思います。
ーー知識、技術を得たことで、意識が変わったんですね。
木下さん
かなり!!!(笑)
木下さん
海に一歩踏み出せない人にも胸を張って教えられるようになった。
海の楽しさを伝えられるようになった。
この自信を胸に、幅広く活動していきたいと思っています。
木下さん
もちろん、フリーダイビングを一生懸命やりたい人にも私の経験を教えていきたいですが、そこまでいかなくても、夏にどこかの海でライフジャケット着けてスノーケリングをしてみたい人が増えたら、すごくうれしいと思うんです。
そのお手伝いがしたいなとも思っています。
当面は選手での活動がメインになるので、講習はそんなにできないと思いますが、機会があれば、特に泳ぐのが苦手な方や、子どもたちにも教えていきたいです。
ーーありがとうございました。これからの活動も応援しています!
Profile
木下紗佑里さん
1988年長崎県生まれ。幼少期から競泳に励み、日本女子体育大学へ進学。その後、スイミングスクールのインストラクターを経て、2013年にフリーダイビングと出会い、選手として活動を始める。2015年に世界選手権でアジア人初の優勝、2016年にはCNF種目でアジア人初の世界記録72m(当時)、2018年にFIM種目(フリーイマージョン)で世界新記録97mを樹立している。
■「木下紗佑里さん」に関する過去記事はこちら
■「BSACスノーケルインストラクター&BSACスキンダイビングインストラクター」に関する過去記事はこちら
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沖縄県石垣島のスノーケリング・スキンダイビング専門店をしていた青井さんとダイビング専門店の丸山敦さんが2022年にオープンしたダイビングサービス。
それぞれ約二十年間ショップを運営してきたプロフェッショナルが同じ思いを胸に二人での運営を開始。
2008年3月就航の「miss.isana」と2019年3月21日に就航した「miss.isana2」は、船外にプロペラがなく、スノーケリング・スキンダイビングに適したウォータージェットボート。この2隻のボートで石垣島の海を案内する。
代表の青井さんは、安全・安心に強い思いを持って、日々のガイドやトレーニングを行っている。長年の経験に基づいた指導力は折り紙付き。スキルを高めていく楽しさをゲストに提案している。
初心者からベテラン、また、子どもから高齢者まで幅広いゲスト層に、それぞれに見合った“楽しみ”を提案している。特に、初めて海に入る方から、久しぶりでちょっと不安な初心者・中級者向けに、ゆったりとした時間配分でサポート。
そのストイックな姿勢が信頼を得て、リピーターも多く訪れる。
NEO MARINE石垣島
〒907-0004 沖縄県石垣市登野城398−2(MAP)
0980-82-8223
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Special Thanks
協力:BSAC JAPAN
撮影:杉森雄幸
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※通常オーシャナでは、シュノーケリング・シュノーケルと表記していますが、今回の記事では、BSACの表記に合わせ、スノーケリング・スノーケルで統一しています。