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Tajiri / 田後

海中ジオパークを潜る

日本海のもうひとつの顔と、そこに棲む生物たち

Photo&Text
中村卓哉
Special Thanks
ブルーライン田後
Design
Panari Design
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タツのハートマークを激写

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田後の海を一躍有名にしたのがタツノオトシゴ。有名なドキュメンタリー番組の撮影班が、この海でタツノオトシゴの産卵と出産の瞬間をカメラに収めた。そのとき裏方のガイド役に徹した最大の功労者が、ブルーライン田後のオーナーガイド、山崎英治さんである。

タツノオトシゴは産卵の際、オスの育児嚢の中にメスが卵を産みつける。そのシルエットがハートマークに見え、縁起が良いことからゲストからのリクエストも多い。だが、深夜未明に行われる出産の瞬間にも立ち会うとなると、おのずとこの時期は眠れなくなる。それでも山崎さんはこの時期ほぼ不眠不休で海に潜り、データを取ることを欠かさない。そんな苦労をしながらも、見られる産卵シーンはなんと10秒あまり。なぜ休まず潜り続けるのか問うと、「日を追うごとに可能性は絞られていくのに、途中で棄権するなんてもったいない」と笑みを浮かべた。

5月某日、その日産卵するかもしれないペアが2組いるという情報を聞き、田後を訪れた。実はこの1ヶ月前に同じ2組のペアの産卵を狙っていたのだが、想定と異なりあまりに一瞬で終わってしまったため、中途半端な写真しか撮れていなかった。

こちらがその時の様子。

リベンジということで今回は失敗できない。

そしてその瞬間は突然訪れた。しかも1ダイブで2ペアの産卵シーンを写真に収めることができた。念願のタツノオトシゴのハートマークを2ペア同時にゲットできるなんて、人生で最も幸せなダイビングとなった。

<撮影裏話>
瞬きすれば終わってしまうようなタツの産卵シーンの瞬間を逃すまいと、タツノオトシゴと対峙する山崎さん。その姿には哀愁すら感じる。冗談で、来年から「山崎は眠れない」というイベントのタイトルにしよう! と提案してみた(笑)。
「山猫は眠らない」というスナイパーを題材にした有名なハリウッド映画が元ネタだが、その瞬間が訪れるまでただひたすら寝ずに待つ姿が山崎さんの姿と重なったのだ。

「1ショット2キル」。これは文字通り1発で2人を倒すことを意味する、「山猫は眠らない」の中の主人公の名台詞である。
今回、1ダイブで2ペアの産卵シーンを写真に収めることができ、まさに「1ショット2キル」。もうこのイベント名でいくしかないだろう。

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ちなみに、2017年10月31日付けで、タツノオトシゴ種群に属する新種の記載論文が発表された。
学名は「Hippocampinae haema」、標準和名は「ヒメタツ」。タツノオトシゴよりも体のサイズが小さいという特徴が、お姫さまを連想させることに由来する。

今回撮影した2ペアのタツノオトシゴ。撮影したのは発表前だったので認識していなかったものの、特徴などを見ると、ヒメタツの可能性が高い。

Special Thanks

ブルーライン田後
http://blueline.lolipop.jp

港まで徒歩10歩の好立地にありながら、広々とした店内に屋根付きテラスありという快適さ。メインのダイビングポイントまではボートで10~15分くらいと非常に近い。

フォト派もうなるほど充実したカメラやパーツ類も揃っている。忘れ物やトラブルにも即対応可能だ。 おまけにナイトロックスも完備。まさにいたれりつくせりで、訪れるゲストさんへの細やかな気配りが随所につまった気持ちの良いお店だ。

〒681-0071
鳥取県岩美郡岩美町田後37-1
Tel & Fax:0857-72-8520

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