海中ジオパークを潜る
Tajiri / 田後
日本海のもうひとつの顔と、そこに棲む生物たち
Tajiri / 田後
日本海のもうひとつの顔と、そこに棲む生物たち
- Photo&Text
- 中村卓哉
- Special Thanks
- ブルーライン田後
- Design
- Panari Design
「ジオダイブ」。
この言葉が初めて使われたのは田後の海だという。
荒波が印象的な冬の日本海だが、
それによって創り出されたダイナミックな景観。
壮大な地球の息吹が刻まれた岩肌やアーチは、もはやアートだ。
季節が巡って夏になると、岩の隙間から神々しい光が差し、
タジリアンブルーに包まれながら漂っているだけで
五感が解放されていく。
そこには荒々しい日本海のイメージが覆るほどの、
蒼く静かな海中の景色が待っていた。
奇跡の地形が創り出す絶景
東西120km、南北30kmにおよぶ山陰海岸ジオパーク。ジオパークと呼ばれる地域は多いが、世界ジオパークネットワーク(GGN)に認定されているエリアは日本で8ヶ所しかない。
<世界ジオパークネットワーク(GNN)に認定されているジオパーク>
北海道 | 洞爺湖有珠山 |
北海道 | アポイ岳 |
新潟県 | 糸魚川 |
鳥取県 | 山陰海岸 |
長崎県 | 壱岐 |
高知県 | 室戸 |
熊本県 | 阿蘇 |
長崎県 | 島原半島 |
そのうちの1つであり、地質学的にも貴重な地層や岩石の宝庫であるこのエリアには、多くの地質遺産が存在する。
そのうち東西約15kmの浦富海岸エリアにダイビングサービス・ブルーライン田後のある岩美町がある。“岩美”町の名の通り、海食された花崗岩でできた美しい岩や、岩石の規則的な割れ目である節理が多く見られ、海の中にもそのような地形が続いている。
岩美町を代表する景勝地、菜種島周辺の大パノラマは一見の価値あり。その美しいリアス式の海岸線は、日本の渚100選にも選ばれているほどだ。高さ60mまでそびえる断崖絶壁のすぐ近くまで寄れる遊覧船は特に人気。
幸福なことに、菜種島の周囲も夏場イチオシのダイビングスポットとなっている。世界的に貴重な海岸線を船上から楽しんだ後、そのままダイビングで海中へと続く絶景を堪能できてしまうのだから、なんとも贅沢な体験である。