海中ジオパークを潜る

Tajiri / 田後

日本海のもうひとつの顔と、そこに棲む生物たち

Photo&Text
中村卓哉
Special Thanks
ブルーライン田後
Design
Panari Design
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日本海のもうひとつの顔と、そこに棲む生物たち

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幻のポイント「イトグリ」に挑む

水深40m付近のV字の切れ込んだ根に群れるサクラダイ

水深40m付近のV字の切れ込んだ根に群れるサクラダイ

カメラマンを寄せつけない、幻のポイントがある。その名も「イトグリ」。表層は速いときにはブン流れとなるため、かなり上級者向けのポイントであることは間違いない。さらに日本海はコンディションが変わりやすいため、短期間の取材でタイミングよく潜れて撮影できたカメラマンはほとんどいないという。

今年6月、初めて「イトグリ」に潜れるチャンスが訪れた。沖合いへと向かう船上では山崎さんの目つきがいつもより真剣。それもそのはず、まずは根を見つけるだけでも大変なのだ。さらに魚探で根を確認しても、アンカーを落とすタイミングが少しでも遅れれば、ただ深場で流されるだけのダイビングになってしまう。

無事狙い通りの場所にアンカーを落とし、流れに逆らいながらガイドロープを伝って少しずつ深度を落としていくと、ぼんやり根の影が見えてくる。明らかに日本海でイメージする景色とは異なっていて、カラフルなヤギの群生などが目に飛び込んでくる。その先に目を凝らすと、根のVの字の窪みにサクラダイが集まっていた。根を覆い尽くすほどの数ではないが、この海にいること自体が奇跡的だ。

日本海では一際カラフルなサクラダイのオス

日本海では一際カラフルなサクラダイのオス

「ここは日本海、鳥取の海だよな」、何度も頭の中で自問自答する。
太平洋側の海に迷い込んできたような錯覚すらしてしまう、そんな不思議な体験だった。

ヤギ類が茂った根の上をスズメダイが乱舞する。これが日本海のもうひとつの顔

ヤギ類が茂った根の上をスズメダイが乱舞する。これが日本海のもうひとつの顔

潮に流されながらフロートを上げる

潮に流されながらフロートを上げる

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